大会 その四
『では、トップは滋賀から来たスクールアイドル! 「〇×女子高校スクールアイドル部」改め「Rhododendron」!』
出番が来ると同時に、私達はステージに立つ。
これが、スクールアイドルが踊るときに見ている景色。
沢山の観客、沢山の視線を浴びながら、彼女達は歌い、踊るんだ。
それはサッカーでも同じだが、このスクールアイドルの舞台でも同じだ。
しかも今回、私がセンターだ。
この曲を作り、そしてこの大会で歌うと決まった時の服部先輩との会話が頭を過ぎる。
『いいか寿奈、今回センターはあんたよ。
この大会は、君に掛かってる。いいね?』
いつも通りに、いつも通りにやるんだ。
沢山の歓声を浴びながら、曲が始まる――。
◇◇◇
『希望があるから』作詞 松野心夜 歌 Rhododendron
(杉谷寿奈 服部正子 風魔琴実 百地優 伊賀崎道女)
I believe・・・・・・
I believe in the existence of hope
So even if there is despair you can get up
もし絶望しか 無かったとしても
いつか 希望が来る筈だから
運命は 残酷だけど
乗り越えた先にある ものはきっと凄いものさ
だから諦めないで 前に行こう
そこに 希望があるから
もし今は 出来なかったとしても
いつか それは出来る筈だから
神様は 厳しいけど
諦めない人を きっと見捨てたりはしない
だから諦めないで 抗ってみよう
そこに 奇蹟があるから
希望は 最初からあるものじゃない
だから 僕達が作るんだ
努力したその先に きっと ある筈なんだ
運命は 残酷だけど
乗り越えた先にある ものはきっと凄いものさ
だから諦めないで 前に行こう
そこに 希望があるから
I believe・・・・・・
I believe in the existence of hope
So even if there is despair you can get up
There is hope
◇◇◇
ライブが終了した。
結果は――。
「全十五グループ中、十三位・・・・・・。
得票数は、二十七」
優勝は出来なかったが、0ではなかった。
一応、私達の希望たる最下位脱出は出来たのだ――!
「やりましたよ先輩!」
「だね・・・・・・」
だが先輩達――特に服部先輩は『まだ足りない』、そんな顔で東京の街を見ていた。
『Rabbitear Iris』には負けてしまった。
そんな『Rabbitear Iris』の結果は、皆の予想通り優勝。
彼女達は満足そうに帰って行ったのを、さっき目撃した。
「次、頑張りましょうよ!
ここで終わったら、絶対後悔しますって!」
「だね! 寿奈の前向きな所、もっと見習わないと・・・・・・」
私の一言で、先輩は笑顔になった。
次回の大会は七月下旬。まだ私達は、始まったばかりだ。




