近付く者の運命 その一
「ぐああッ!!」
また一人、重美の剣の前で命を散らした。
時刻は午前一時。研究員は重美以外いない時間帯。
故に、この研究を不審に思う国の人間達が近寄りやすい時間とも言える。
今も重美は、国の役人を名乗る六人の男女と交戦していた。
勿論、この場合は有無を言わさず始末だ。
口止めなどをしても、どうせ彼らは警察や自衛隊を率いて、計画を搔き乱すに決まっている。
計画にとって邪魔な存在は、重美の手によって死ななければならない。
残り五人。
今殺した一人も含めた六人は、一応対人戦闘スキルを持ち合わせているが、それは素人に毛が生えたレベルでしかない。
重美にとっては、退屈過ぎる相手だった。
「う、撃てッ!!」
命令した男を含めた全員が、重美に銃弾を放つ。
それに対して、重美の身体は半ば勝手に動いていた。
全ての銃弾を二本の刀で捌き、まず命令をしていた司令塔らしき男に接近する。
右の剣で袈裟切り、左の剣で逆袈裟を放ち、男の上半身にバツ印を描くように斬った。
「今だ! 狙え!」
男を斬った重美の背中に銃弾を撃ち込もうと、残り四人の役人が続けざまに引き金を引く。
だが重美は、それを読んでいた。
すぐ様身体を翻し、銃弾を全て二刀で切断する。
人間を超えた動きにはっとしていた女役員の心臓に左の刀を突き刺し、同時に男役員の一人を右の刀で刺し殺す。
返り血が波のように重美を飲み込むが、気にせず別の女役員を真っ二つに斬る。
下半身はその場で倒れ、上半身が血をまき散らしながら宙を舞った後、地面に叩きつけられた。
「香ッ!」
残った男役員が、今斬った女役員の名らしきものを叫ぶ。
重美は男役員に刀を向けるが、彼は怯えることも、命乞いをすることもなく。
「てめええええええッ!!」
怒りのまま、ナイフを構えて突撃してきた。
だが感情に身を任せた短絡的な攻撃が、重美に当たる筈もなく。
ナイフを持つ右手を、手首から切り落とした。
「――――ああああああッ!」
声にならない声を、役員が叫び散らす。
残った左手で、剥き出しの右手首を押さえ蹲る男の上半身を、重美は切り上げた。
「か、かはっ・・・・・・」
これで戦えまい、と背を向けたその時。
男は残る力全てで、銃の引き金を引いた。
予想外の行動で、ドクンと跳ねていた心臓の動きを感じながら、重美は左頬に銃弾を受けた。
男はその攻撃を最後に、今度こそ息絶えた。




