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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
ファイナルライブ編 杉谷寿奈よ、永遠なれ!
124/168

カフェにて 空良と秀未

「聞けたのか?」

「慌てないで下さいよ先輩。全て上手くいってます」

 空良はポケットからレコーダーを取り出し、秀未に投げる。

 そこには空良と真友の会話の全てが録音されていた。

 再生が終わった後、秀未が問う。

「何で刹那家の事を知っていたんだ?」

「まあ色々あったんですよ。冬季大会の前に」

 ――別に難しい事はしていない。真友と組むことになった時に、刹那家の中にも入れさせてもらった。真友が離れている隙に、少し刹那家の中についても調べた。

 そこで得た情報は五つ。

 一つ目は、刹那家次期当主は刹那芽衣の妹である事。

 二つ目は、執事の数は三十人である事。

 三つ目は、少し血の匂いがきつい部屋が存在する事。因みにそこへの入室は許可されなかった。

 四つ目は、真友が秘密裏に研究をしている事。

 重要なのは五つ目。二年間で執事が殺害される事件が相次いだ事だ。

 五つ目に関しては、流石に刹那家のどこにも資料が無かった。

 だが血の匂いがきつい部屋と、ある二つのものが、そこで殺人が行われた事をほぼ確信に導いた。

 片方は、焼却炉付近で発見されたものだ。一部が焦げてはいたが、服によく使われる素材であることは明らかだった。

 そしてその一部には、血痕が付着していた。

 殺人の際に着用していた服を焼却処分したのだろう。

 もう片方は、正子の家で見つけた。

 正子の持っていた、刹那芽衣と刹那家に関する資料。

 正子が生きていた当時、刹那家の執事は四十名以下。

 その内数人が今の刹那家の名簿から消えている。

 他には、芽衣の性格についてのデータ。

 教育係の言う通り、完璧な存在になろうとはしているが、それが出来ずに自分より強い他人は人知れず排除している、と書いてあった。

 その教育係が真友なら、真友は芽衣にそう教えられる器では残念ながらない。

 大会の為に、わざわざアシストスーツまで着るような人だと他に知られれば、刹那家での評価は下がってしまう。

 それは十分動機となり得ると判断した結果、真友をそれで脅したのだ。

 本当だと言われた時は、流石に驚いた。

 空良が言った事はほぼ仮説であり、本当にそうだったのか、は全く知らないのだから。

「なるほどな。

して、これからどうする?」

 秀未が空良に訊く。

「多分これ以上の調査の必要はありません。

あとは、どうするかです。

あの二刀流の研究員は、正直言って厄介です。

ですから、それなりの準備はするべきです」

 恐らく、それは秀未も十分理解していることだ。

 あの剣捌きは、人とは思えない。

 まるで、人を斬る為に造られた何か。そう表したいくらいのものだった。

「木刀ではなく、別の得物でなければ、恐らく勝てません。

私も、それなりの準備をしましょう。

共に、寿奈姉さんの仇をとるんです」

 空良は笑う。いつものように。

 これなら、勝てる。そう確信した笑みだ。

「そうだな。

私も、寿奈先輩の仇をうちたい。

だから、お前に協力してほしい」

 改めて、二人は握手した。


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