表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
第三章 六月編 春季大会!
12/168

大会 その三

 

「寿奈さん! 服部さん!

そろそろ起きないと遅刻しますよ!?」

 琴実先輩の声で、私は目覚めた。

 時計を見る。もう朝八時、今から行かなければ会場に間に合わない。

「あ、今行きますッ!」

 だがそこで、呼ばれたもう一人が起きていないことに気付いて。

「服部先輩、起きて下さい」

「まだ八時じゃないか・・・・・・」

「今から行かないと遅れますよ!」

 まだ完全に起きていない服部先輩を強制連行し、チェックアウトした。

 

 秋葉原駅から水道橋駅まで電車で約三分。そしてそこから徒歩で九分。

 東京都文京区にある、会場は私の想像よりも遙かに大きかった。

『国立 日本ライブドーム』。それがアイドル大会の会場だ。

 三年前まで『東京ドーム』と言われていた建物を改築し、完全にコンサートのみに特化させた、スクールアイドル・プロアイドルを含めたアイドルの為のライブ会場。

 因みに東京ドームは、新東京ドームとしてここから少し離れた場所にある。

「こんな凄い会場で歌うんですか・・・・・・?」

「そうです・・・・・・。私も一年前、服部さん達とここで歌いましたよ」

 口をあんぐりと開けて驚く私に、冷静に琴実先輩が言う。

「行こうよ皆。ここで止まってても、仕方ないよ!」

 完全に覚醒した服部先輩はそう言うと、すぐに会場に駆け出した。

「待って下さいよー!」

 私もその背中を追いかける。

 

 凄いのは外観だけではなく、中身もだ。

 既に客も他のアイドルグループもおり、緊張は更に高まったが、それを抑えながら服部先輩を待つ。

「えー、『Rhododendron(ロードデンドロン)』の皆さんですね?

貴女方の出番は、先にお伝えした通り、一番手です。張り切って下さいね!」

 一番手。それは前に琴実先輩が言っていたように、前座ということだ。

 だけど、前回のように0票にはさせない。

 私というイレギュラーが入ったことで、どう変わるか。それが今回の私達の重要な点だ。

 楽屋で着替えと化粧を済ませてから、服部先輩と共に楽屋を出る。

 そこで、一組のアイドルグループを見つけた先輩が彼女達に声を掛けた。

「久しぶりね」

 そのグループは三人組だ。

 そのリーダーらしき、黒髪ツインテールのクールな女性が答える。

「だね、服部正子さん」

 この人達、服部先輩を知っている?

 リーダーらしき女性が、私を見やり、再び口を開く。

「見ない顔だね。新入り?」

「あ、私は杉谷寿奈です。一年生です」

 リーダーはバカにしたように笑ってから、服部先輩を見る。

「こんな子を入れてどうしようって言うの?

貴女達は去年の冬期大会、得票0で負けたの。だから今回も同じよ」

 それに反論したのは先輩ではなく私。

「そんなこと、やってみなきゃ分からないじゃないですか!」

「よく言うね、杉谷寿奈さん。

スクールアイドルになり立ての、ヒヨコにしては。

せいぜいこの世界の辛さを思い知ることね」

 リーダーはそれを言い残し、楽屋に戻ろうとしていたが。

 忘れていたように、「あ」と言ってから私に振り向き。

「あ、そうそう自己紹介を忘れていたわ。

私の名前は雪空(ゆきぞら)千尋(ちひろ)。チームは『Rabbitear(ラビッター) Iris(イリス)』よろしくね」

 雪空はドアを開け、楽屋に戻る。

「気を抜くなよ、寿奈。あいつら、前回の優勝者であり、優勝候補」

 優勝者であり優勝候補。私達にとって最大のライバル。

 私の緊張は、更に高まる。

 

 そして、私達の出番が来た。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://ncode.syosetu.com/n1678eb/ 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ