表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
ファイナルライブ編 杉谷寿奈よ、永遠なれ!
118/168

嘆き その三

空良が寿奈の家に戻ってから、二日が経過した。

 寿奈がいない事情を説明した途端、寿奈の母は不安な顔をしたのが、今でも頭に焼き付いている。

 やはり、不安なのは自分も母親も同じなのだろう。

 空良には、そんな経験はない。

 自分の両親は、生まれてすぐに死んだらしいのだから。

 それを恨んだことはあまりない。

 施設に預けられてからが、地獄ではあったが。

 そして今は、義姉もいる、義母もいる。

 二人共嫌な顔一つせず、自分を本当の家族のように扱ってくれている。

 イギリスに行く前、夕食を作ってくれた時は喜んで食べてくれた。

 だから、空良にとって本当の家族などどうでも良い存在・・・・・・。

 

 ピンポーン、とインターホンが鳴る。

 今は仕事で寿奈の母はいない。空良が代わりに、扉を開けた。

「はい」

『警察の者ですが』

 空良は首を傾げる。

 この家に、警察の世話になるような人物など一人もいない。

 あの時の事件なら、空良は無実という事で、拘留で済んだ筈なのに。

 そのまま扉を開ける。

 男性警官が苦痛な表情で、開口一番――

「ご愁傷様です・・・・・・」

 と暗い声で言った。

 空良は眉を潜める。

 男性が持つ箱には、イギリス警察のマークが描かれている。

 そして届いたのは寿奈の家。

 ご愁傷様という言葉。

 これが何を意味しているか、分からない筈が無かった。

「その箱の中身は・・・・・・」

 恐る恐る問う空良。

 怒りと悲しみを秘めた声で。

「杉谷寿奈さんの遺品――その一部です」

 

「うわああああああああああああああああああああああッ!!」

 

 夢なら覚めて欲しい。

 その一心で叫び、そして倒れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://ncode.syosetu.com/n1678eb/ 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ