空良と火奈乃 その七
「そんな・・・・・・ことが」
空良の話の後、火奈乃は目を丸くしながら驚いていた。
当然だ。
空良のとった作戦は、まさしくスクールアイドルへの冒涜に過ぎない。
寿奈が何故、真友の不正を暴く為とはいえこのような作戦を使った自分を赦しているのか、今でも分からない。
スクールアイドルの為の会場とも言えるライブドームを破壊し、実行犯である自分は捕縛されなかった。
今でもこうして、外気を吸い、青い空を仰いでいる自分が信じられないのだ。
自分は、アイドル界の大罪人である筈なのに。
「だがやり方はどうあれ、貴女はスクールアイドル界の害を追放した。
私も、貴女のやったことは許されるべきではないと、正直思います。
だが、仲間を守ろうとする意思。
それだけは、素晴らしいと思いました」
「なるほど・・・・・・」
空良は、今でも思う。
他に方法は無かったかどうかと。
あの作戦は、失敗すれば誰かの命を奪うものだった。
そのような作戦を使わずとも、寿奈を助け、真友の不正を暴くことは出来たのではないか。
今でも時々考える。
「お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
貴女とは、また大会で会える日が来るでしょう。
その時は、正々堂々と私に挑んできて下さい。
それが、貴女が行うべき償いであると私は思います」
言い終えると、くるりと背を向けて火奈乃はそこを立ち去る。
どんな時も火奈乃の瞳は熱く、真っすぐな目をしていた。
「再び戦えるのが、楽しみですよ」
今はもう見えない背中に、空良はそう呟いた。




