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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
ファイナルライブ編 杉谷寿奈よ、永遠なれ!
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先輩達の大会 その一

タクシーに乗って、僅か十分程で到達し、私はその会場を眺めていた。

 

 ロイヤル・アルバート・ホール。

 先輩達が踊るその会場の外観を見て感じたのは、『日本ライブドーム』程大きくないということだ。

 あの会場の収容人数が四万六千人。対してこのアルバートホールは精々七千人。

 大学のスクールアイドルの大会は、特別招待枠が千人まで、普通の客が六千人までと聞いた。

 私達は琴実先輩達がいた故に特別枠で無料入場出来たが、普通に見に来る六千人は、よっぽど運が良い人なのだろう。

 まあだが、会場の大きさは劣っているとは言え、盛り上がりは高校のスクールアイドル以上だった。

 各国から様々な店の屋台が来ており、大いに盛り上がっている。

 そしてなんと、『Rhododendron(ロードデンドロン)』感謝祭のチラシ配りまでやっている人まで。

「ん?」

 その配っている人間は、見覚えのある者だった。

 炎のような明るい髪に、同じ色の瞳の少女。

『ハイロガールズ』のリーダー・暑井火奈乃だ。

「火奈乃さーん!!」

 私は叫びながら、火奈乃に駆け寄った。

「お、寿奈さんじゃないですか!!

久しぶりです!」

 一方火奈乃も、私の叫びを聞いた後、待たずに負けないくらい大きな声で走ってきた。

「寿奈さん、優勝おめでとうございます!」

「え、あ、うん」

 相変わらずの熱さに戸惑いながらも、火奈乃が差し出した手を握り返す。

「でもあの大会、私の力で勝てたわけじゃないよ。

ほとんど、空良ちゃんのおかげだった。

だから、褒めてくれて嬉しいけど、後で空良ちゃんを褒めてあげて」

「ふむ、なるほど。

分かりました! 寿奈さんがそう仰るのなら!」

 良い笑顔で、火奈乃はそう答えた。

「ところで火奈乃さん、何故ここで宣伝を?」

 首を傾げながら、私は問う。

「簡単に言えば、アルバイトみたいな感じですよ。

部費が残り少ないので、来年の為のお金を調達中です!

勿論ハイロガールズ全員も連れてきました!」

 周りを見ると、確かにハイロガールズのメンバーがチラシ配りをしている。

「それに、今年度は完全燃焼出来た気がするんです。

それは『Rhododendron(ロードデンドロン)』の皆さんのおかげだと思いますし、こうして恩返しをしたいんです」

「火奈乃さん・・・・・・」

「それに、ここで働けば晩飯はホテルでディナーだと聞いたら涎が止まらなくて・・・・・・」

「ディナー目的!?」

 まあ分からなくも無いが。イギリス料理は、正直言って美味しいものが多かった。

「逆に私からも質問よろしいですか?」

「あ、どうぞ」

「他のメンバー・・・・・・というか空良さんと話したいのですが、秀未さん以外の方は?」

「あ・・・・・・」

 そう言えばすっかり忘れていた。

 てっきり私の後ろをついて来ていると思っていたが、いつの間にかいなくなっていた。

「二人、どこ行ったの?」

「私が気を探ろう」

 そう言って秀未は両目を閉じ、集中した。

 これは秀未の特技だ。

 如何やら剣道で勝つ為には、相手が次にどう動くかを外観ではなく、気配で感じるのが重要らしいが、このスキルは正直常人――のつもりの私には理解し難い。

「いた。二人一緒にいる」

 眼を開きつつ、凛とした表情で秀未が言う。

「分かった。

火奈乃さんも行きましょう!」

「は、はい!」

 

「あ、先輩。

探しましたよ!」

「いや探したのこっちだから!

というかかなり買ったね・・・・・・」

 秀未が向かった先にいたのは、屋台で買ったものを入れた紙袋を両腕に抱える二人だった。

「何てったって、世界大会ですからね!

色々な国の料理がありましたから、片っ端から買っていきましたよ!」

「太るよ・・・・・・?」

「大丈夫ですよ!

私いくら食べても太らない体質ですし」

「いや、真宙先輩。

昨日私、体重計に乗って慌ててる先輩見ましたよ?」

 空良の指摘に、ギクッと全身を震わせる真宙。

「本当は凄く危うい状態なんじゃないですか?」

 煽るような空良の言葉に耐えかねたのか、真宙は紙袋の一つを空良に渡す。

「紙袋一つで、今日は我慢するね」

「いやでも紙袋一つ分は食うのかよッ!」

 とツッコミを入れる私をよそに、火奈乃が空良に話しかけた。

「空良さん、大会が終わったら、話があります。

あとで来てください」

「何目的かは分からないけど、良いですよ」

 と、まあこんな感じで私達はワイワイしながらエントランスまで歩いた。


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