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第十八話 『忘れていた想いを』

 ――ここから逃げろ。


 エルフィの言葉に固まる。


 今、俺達に残された手は撤退だけだ。

 それは理解している。


 だが。

 そう言った本人に、逃げるつもりがないのが分かった。


「……お前はどうするんだ、エルフィ」

「逃げればあいつは追ってくる。だから、どちらかが残って時間稼ぎをする必要がある」

「……だから、お前が残るってのか?」

 

 力の入らない体に鞭を入れ、抗議しようとエルフィへ手を伸ばす。

 それが届くよりも早く、エルフィは勢い良く体を反転させた。


「……!」


 直後、無数の剣がこちらへ飛来した。

 手前で、魔眼の重力によって地面に叩き落とされる。


「はっ! この期に及んで相談かい!? 悠長なことだねぇ!」

 

 エルフィに騙し討ちを喰らったことで、ディオニスはかなり冷静さを失っていた。

 こちらを睨みつけながら、周囲に無数の剣を展開し始めている。


「伊織。早く逃げろ。あまり長くは持たない」

「……お前はどうするつもりだ。残ればどうなるかくらい分かっているだろ?」

「ああ、承知の上だ」


 素っ気なく、当然だとエルフィは頷いた。


「だが、忘れていないか? 私は元魔王だ。殺されたとしても、時間を掛ければ蘇ることが出来る。だから心配ない。私は大丈夫だ」


 膨大な魔力を内包した魔族は、殺されても蘇ることが出来る。

 だからこそ、エルフィは結界に封印されていたのだ。

 だが……。


「蘇るって……どれくらい掛かるんだよ」

「そうだな。今の状態なら、六百年もあれば蘇られるだろう。封印を破ろうと思ったら、千年といった所か」


 なんてことはないと、エルフィは普段通りの口調でそう言った。


「なに、魔族は元々長寿だ。数百年くらいなんともない。だが伊織、お前は私とは違う。お前は死んだら、終わりだ」


 死んだら終わり。

 確かに、そうだ。

 だが封印されるのは、お前にとって死ぬよりも辛いんじゃないのか。


 迷宮の外に出た時に、エルフィは言っていた。


 ――封印の中は世界と隔離されているから、真っ暗でな。光も音も何もない所だった。


 素っ気ない口調で、大して気にもしていない風に。

 だが、それは違った。

 カレンの屋敷で、エルフィは言っていた。


 ――嫌だ……嫌なんだ。暗いのは……もう。


 ――一人に、しないでくれ。

 

 これが、エルフィの本音だったのだろう。

 長い間、光も音もない世界にただ一人で閉じ込められていたのだ。

 それがどれだけ苦しいのか、俺には想像もつかない。


「――――」


 それを隠して、エルフィは俺に逃げろと言っている。

 怖くないはずがないのに。

 エルフィの声の震えに、俺は気付いていた。


「……ふざけるな。お前一人を置いていけるか。一緒に来い!」

「馬鹿なことを……! 長くは持たないと言っているだろう! 早くいけ!」

「――アマァツ。エルフィスザークの意を汲んであげなよぉ」


 やり取りに、粘着いた口調でディオニスが割り込んできた。


「逃げないんじゃない。エルフィスザークは逃げられないのさ」


 ニタニタと笑いながら、ディオニスが生み出した剣の一本を手に取る。

 そして何かを斬るようなジェスチャーをしながら、


「僕が散々甚振って上げたからさぁ、そいつはもう逃げる体力すら残ってないんだよ!!」

「……ッ」


 視線を向ければ、エルフィの足は震えていた。

 さっきから、ほとんど動いていない。


 クソ……ッ!

 よく考えれば分かったことだろうが!


 分身体とはいえ、痛覚はある。

 それに傷を修復する度に、魔力を消費するとも言っていた。

 あれだけの間、ディオニスの責めを受けたのだ。

 立っているだけでも、やっとだろうに……!


「僕の温情を裏切ったエルフィスザークは、散々甚振ってボロ布のようにしてから殺してやる」

「……伊織ッ! 頼む、早く逃げてくれ……!」


 ディオニスが指を鳴らす。

 瞬間、入り口に水の結界が発生した。


「はい、残念でしたぁ!」

「……ッ!」


 エルフィが魔眼を撃ちこむ。

 僅かに結界に亀裂が入り、次の瞬間には完全に修復されていた。


「意外と便利だよね、この石。人間には勿体無いくらいだ」

「要石か……!」


 ディオニスが手の中で要石を弄ぶ。

 結界の効力を強化し、維持してくれる魔力付与品マジックアイテム

 完全に退路は絶たれた。


「馬鹿者……! だから早く逃げろと言ったのだ!」

「最初から、逃げるつもりなんてねぇよ……!」

「へぇ、優しいねっ! でもさぁ、最初から逃がすつもりなんてないんだよ!!」


 持続式ポーションのお陰で、足の傷は癒えた。

 立ち上がることくらいは出来る。

 魔石を使って、どうにか反撃を――。


「ッ」


 ディオニスの魔剣が掃射される。

 数は優に五十を越え、その全てが禍々しい光を放っている。

 エルフィの魔眼を突破し、正面で一斉に爆発を起こした。


「"魔毀封殺イル・アタラクシア"……!」


 咄嗟に張った盾も砕かれ、視界が光に染まる。

 音が消えた。

 体が宙に浮かぶ。


「く……ぁ」


 地面に勢い良く叩き付けられ、呼吸が止まる。

 それでも起き上がろうと、地面に手を着くと同時だった。

 ズッ、と体に衝撃が走った。

 

「が……ああッ!?」


 両手両足。

 四肢に四本の剣が突き刺さっていた。

 刃が地面を貫通しており、俺は地面に貼り付けられている。


「……ぁ、」

 

 声が出ない。

 体内を貫いている鉄の冷たい感覚と傷口が放つ熱が同時に襲う。

 冷たい。熱い。

 息が出来ない。


「たっぷりと魔力を込めた特別製の剣だ。すぐには消えないよ」


 視界の端に倒れたエルフィが見える。

 砕け散りそうな意識を保てたのは、エルフィの存在を確認出来たからだった。


「……エル、フィ」


 突き刺さった剣を引き抜こうと、体に力を入れる。

 だが、四本の剣は微動だにもしなかった。

 流れだした血は生暖かくぬめっている。


「まだ他人の心配が出来るとは驚きだよ。そんなにあの売女が心配かい?」

「……ッ」

「だったら、早くその剣を抜きなよ。君が立ち上がれたら、エルフィスザークは見逃してあげてもいいよぉ?」

「……ッ! ……ッ!!」

「はい、時間切れ! 残念だけど、エルフィスザークを甚振るとするねぇ!!」


 倒れたままのエルフィへ、ディオニスが水を放った。

 放たれた水がエルフィを部屋の壁に叩き付ける。

 次の瞬間、


「はい、右手ェ!!」


 浮かんでいたエルフィの右手に、突き刺さった。

 手のひらと壁を貫通し、剣がエルフィの縫い付ける。


「ほら、どんどん行くよぉ!? 右足ィ!」

「……っ」

「どうしたの、アマツゥ! 愛しのエルフィスザークが苦しんでるよっ! 頑張らないと!」

「て……めぇええッ!!」


 肉が千切れるのも構わず、剣を抜こうと全身に力を込める。

 歯を食いしばり、叫び、魔力で体を強化しても、剣は動かない。


「エルフィスザーク。アマツは君を助けたくないみたいだよ? 薄情な奴だよねぇ。君が無駄に命を掛けて庇ったってのにさぁ! じゃあ、次は左足ッ!」

「か……ッ」

「ほら、左手ェ!! あっはははは! 元魔王の標本の完成だねぇ!」


 エルフィが四肢を壁に縫い付けられている。

 分身体ではない腕からはだくだくと夥しい血が流れていた。


「やめ……ろ」

「止めたければ、その剣を抜けばいいじゃないか! どうして抜かないのぉ?」

「……ッ」

「はい、じゃあ続行するね」


 剣が生み出され、エルフィの全身を串刺しにする。

 エルフィは悲鳴を上げず、くぐもった声を上げるだけだ。


「ただ剣を刺すだけじゃ芸がないね」


 ディオニスの周囲に、ナイフ程度の小さな剣が現れた。

 それが射出され、エルフィの腹部に突き刺さる。


「はい、ドカンッ!」

「か……ッ」


 突き刺さったナイフが小さな爆発を起こした。

 エルフィの腹部が弾け飛ぶ。

 腹部は分身体だが、痛覚はある。

 腹を吹き飛ばされた苦痛を、エルフィは味合わされている。


「あああァあああッ!!」

 

 剣が抜けない。

 力が足りない。


「あっははははははははッ!!」


 ディオニスの嘲笑が聞こえる。


「ほら爆発するよ!? ドカンッ!」

「………っ」

「君が! 僕の言うこと! 聞かないのが! 悪いんだよォ!!」


 剣が爆発する。

 エルフィの頬を刃が裂く。

 分身体ではない、両腕を小さな剣で何回も何回も、ディオニスは執拗に突き刺していく。


「結局さ、アマツ。君は"勇者"としての借り物の力がなければ、何も出来ないんだよ」


 否定しようと藻掻くが、依然として剣は動かない。


「君は努力した訳でも、特別な事をした訳でもない。ただたまたま偶然勇者として召喚されて、反則級の力を手に入れただけ。それは君の力でも何でもないんだよ。だから、それが無くなれば君はただの雑魚に成り下がる」

  

 剣がエルフィを傷付ける。


「傑作だよね。他人から貰った力で格好つけちゃってさ。それが無くなれば、こうして無様を晒すことしか出来ないのに」


 剣は抜けない。


「君、前に言ってたよね。自分は流されてばかりの人生を送ってきたから、この世界でそんな自分を変えたいってさ。ばぁああああかじゃないのぉ? 君は何も変わっていないよ。成り行きで貰った借り物の力に酔って、振り回されていただけなんだよ」


 エルフィがまた、剣で傷付けられていく。

 分身体が維持できず、ノイズが走りだしていた。

 容赦なく、剣はエルフィを抉っていく。


 それを俺は、ただ地面に縫い付けられたまま、見ていることしか出来なかった。


「大体、『戦争を終わらせて、世界を平和にしたい』っていう夢だって、ルシフィナが言っていたのに影響されただけだろ? 君自身は、そんな大層なことは考えてないのにさ」


 反論出来なかった。

 既に自覚している。

 俺はただ、尊敬するルシフィナの言葉に憧れただけだった。


「君はただ、自分は選ばれた"勇者"だからって陶酔して、安っぽい偽善を掲げていただけなんだよ。だから僕達に裏切られる。君は何も見えていなかったからねぇ! 世界を救う? 平和ァ? ねぇ、もう一度言ってみてよ! 君の夢なんだろぉ?」


 それが正しいのだと思ったから。

 流されてばかりの自分でも、何かを成したいと思ったから。


 ディオニスの嘲笑が響く。


「……言えないよねぇ! あははははははッ!! 自分の無様さを、自分の矮小さを知った君には! そんな分不相応なことは言えないよねぇ!」

「…………」

「ずっと! 君のそういう甘くて甘くて反吐の出る考え方が嫌いだった!! 自分の力でもないのに、自分で得た理想でもないのに!! 我が物顔でそれを掲げて、それで世界を救うなんておこがましいにも程があるんだよッ!」

「………」

「君は言ったねぇ? 仲間である僕も傷付かないようにしたいってさぁ。その言い方がムカつくんだよねぇ。まるで僕が君に劣るみたいな言い方しやがってさぁ……!」


 だから、と。


「僕は君の全てを踏み躙る。そのまま無様に地を這いながら、エルフィスザークが陵辱される所を見ていると良いさ。服を剥いで、裸を晒して、君の前で犯してあげるよ。愛しのエルフィが酷い目にあうんだ、辛いだろう、悔しいだろう? でも残念ッ! 何の力もない君には、何も出来ないのでしたァ!!」


 ……そうだ。

 俺には何の力もない。

 エルフィを助け出す力も、もう。


「それから、散々甚振ってから殺してあげる。これが君の、流されるだけの人生の結末だよ」


 ディオニスの言う通りだった。

 力も理想も、他人からの借り物だ。

 流されるだけで、自分で手に入れた訳じゃない。


「あ……あぁ」


 体から、力が抜けていく。

 血が流れすぎたのか。

 

 いや、違う。

 ディオニスの心に、気力が折れていた。


「俺は結局……流されてただけで……ッ」


 ディオニスが満面の笑みを浮かべるのが見えた。


 けれど、何も言い返せない。

 俺には、何も出来ない。


 剣を抜こうと込めていた力を、抜こうとした時だった。



「――本当に、そうか?」


 

 小さな声が聞こえた。

 それは、ガッシュの書庫で聞いたのと同じ言葉。


「お前は本当に……流されていただけなのか?」

「……黙れよ」


 口を開いたエルフィに、剣が突き刺さる。

 かふ……と小さく息を吐いてから。

 それでもエルフィは、言葉を続けた。


「三十年前……お前が戦っていたのは、本当に流されたからだけだったのか?」

「黙れってば!」


 剣がエルフィを傷付ける。

 だが、エルフィは止めない。


「あの時――奈落迷宮でお前は、私を見捨てなかったな」


 土魔将と戦っている時のことだろう。

 俺は一度、エルフィを見捨てて逃げようとしたのだ。


「あの時逃げていれば、自分だけは助かったかもしれないのに」


 苛立ったディオニスの攻撃が、エルフィを襲う。


「お前が本当に……ッ! 流されているだけなら、私を見捨てていたんじゃないのか……ッ!」


 それは――――。

 

「お前が何年も魔王軍と戦ったのを、私は知っている……!」


「――――」


「流された、だけでッ! 戦い続けられる訳が、ないだろうッ!!」


「――――」


 エルフィの頭を刃がかする。

 血が吹き出し、エルフィの顔に垂れる。


「黙れって言ってるでしょッ!?」


 雑音を無視し、エルフィは最後にもう一度だけ、俺に問うた。


「――本当に、お前は流されただけだったのか?」


 俺は。


 俺は――――。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。




「……俺は、助けたかったんだ」


 "勇者"さえ生き延びてくれれば、まだ希望はある。

 そう言って、俺を庇って死んだ人がいた。

 俺を庇って、傷付いた人がいた。

 共に戦った仲間が、傷付いていくのを何度も見た。


 思ったんだ。

 共に戦う仲間を。

 傷付いて、苦しむ仲間を。

 リューザスを、ディオニスを、ルシフィナを、助けたいって。


 きっかけは、ただそれだけのことだったんだ。

 

 それから、沢山の人を見た。

 人間、亜人、魔族。

 沢山の人が戦争で傷付くのを見てきた。


 世界を救うとか、平和にするとか、戦争を終わらせるとか。

 本当は全ての人を救いたいなんて、そんな大層な気持ちは無かったけれど。

 それらの理想は、全部後付けの借り物だったけれど。


 ――沢山の泣き顔を見たんだ。


 傷付き、死に、大切な人を失い、嘆き、悲しみ、苦しむ人達の泣き顔を。

 それを見て、思ったんだ。

 その泣き顔を笑顔に変えられたら、どれだけ良いだろうと。


「世界平和なんて……確かに後付だった。だけど、目の前で悲しむ人を見て、助けたいと思ったのは、本当なんだ」

「まぁだ、そんな甘い事を言ってる訳? 本当に、救えないよね」


 目の前で傷付く仲間を。

 目の前で悲しむ人々を。

 笑顔にする為に、戦争を終らせるしかないと思ったから。


 英雄になるしか、ないと思ったから。


「いい加減気付けよ、アマツ。その薄っぺらい偽善も、情にほだされただけのくだらないゴミなんだよ」


 既に、雑音は耳に入らなかった。


 力は借り物。

 理想は後付け。

 今はどちらも失って、英雄なんてくだらないと笑ってしまうけれど。


 借り物じゃなくて、後付けでもなくて。

 誰かに流されること無く。

 あの時俺は、確かに。



「――英雄になるって、自分で決めたんだ」



 鉄の砕ける音がした。

 四肢を地面に縫い付けていた剣が、気付けば粉々に砕け散っている。

 自由になった手足を持ち上げる。


「な……僕の、剣が」


 驚愕するディオニスへ向かって動こうとして、倒れこみそうになった。


 ガクガクと足が震えている。

 全身に力が入らない。

 もう、魔力も残っていなかった。


「は……死に体の分際で驚かせやがって。いいよ。だったら、今目の前であの女を殺してやるッ!」


 "壊刃装填ブレード・トリガー"によって、無数の剣が創造される。

 それまでのお遊びとは違う、本気の魔力が篭った剣の嵐。

 それがエルフィへと射出される。

 諦めたように、エルフィが目を瞑るのが見えた。


 今の俺には、どうすることも出来ない。


 ふざけるな、と体に力を込める。

 エルフィを殺す訳にはいかない。

 あいつに、死んで欲しくないんだ。


 ――助けたい。


「――――」

 

 視界にノイズが走った。

 世界が灰色に染まり、見えるモノの動きが緩慢としたものへ変わっていく。

 エルフィへ放たれた剣が、止まって見える程に。


 その刹那、灰色の視界に男の背が浮かび上がった。

 それを見て、俺は思わず呟いてしまう。


「あぁ……そうか」


 二度目の召喚を受けてから、何度か見たその背中。

 ただ前だけを見据える灰髪の青年。


 それは一番近いようで、最も遠くにあった存在。

 ただ漫然とした怒りに駆られ、自分と向き合うことを避けていたから、今まで分からなかったのだろう。

 

 しかし、今。

 その男の正体に、俺はようやく気が付いた。


 ――英雄アマツ


  あれは、昔に生きていた頃の俺だ。

 くだらない理想を掲げ、借り物の力を振りかざし。


 それでも真っ直ぐに、誰かを助けようとする俺の力だ。


 ――アマツの背に手を伸ばす。


 力は失った。

 理想も失った。

 それでも、俺はエルフィを助けたい。


「だから――」


 再現しろ。

 かつての、俺の力を。


 寸分違わず、一ミリの狂いもなく。

 そうすれば、俺の力はあいつに届く。

 エルフィを、助けることが出来るから。


 勇者の証が、焼け付くような光を放つ。

 胸の内の熱い衝動が形になっていく。

 魔力の導きのまま、俺はその心象ことばを口にした。





「――【英雄再現ザ・レイズ】」

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