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第九話 『人を食い物にしてきたのだから』

「みぃんな、魔物の餌にして差し上げますわ。逃しませんわよ?」


 オリヴィアが指を鳴らすと同時に、部屋全体に結界が張られた。

 蹴破った扉の部分も結界に覆われ、転移陣までの通路が塞がれてしまっている。

 

「さあ、お食事の時間です」


 退路を断ったのと同時に、オリヴィアが号令を発した。

 あの女の指揮下にある複数の魔物達が、唸り声も上げずに同時に動き始めた。

 相変わらず、統率が取れている。


 だが――それが効果を発揮するのは広い場所だ。

 四方が壁に覆われた地下室では、行動の幅が大きく狭まる。

 図体の大きな魔物達では、いかに連携を取ろうとも、ここでは直線上に向かってくるしか無い。


「お前らに用はないんだよ」


 魔物達の足元へ、魔石を投擲する。

 乾いた音を立てて落下した魔石を魔物達は意にも介さなかった。

 オリヴィアの指示に従って、獲物を仕留めることしか考えていないのだろう。


 だから通常の魔物なら容易く回避する筈の攻撃を喰らってしまう。


「――"壊魔ブレイク・マジック"」


 魔石が爆ぜた。

 向かってきた魔物達が爆炎に飲み込まれる。

 オリヴィアが張った結界のお陰で、爆発で床や天井が崩壊することもない。


「な、なんですの……!?」


 突然の爆発に動揺するオリヴィアを無視し、魔物の群れへ突っ込む。


「"加速アクセル"」


 向かってきていた魔物の大半は、爆発によって足を失っていた。

 それにも気付かずに、向かってくる俺に対処しようと体を持ち上げる。


「邪魔だ」


 体の欠損によって動きの鈍くなった攻撃を躱し、魔物共の首を斬り落としていく。

 痛みを感じていなくても、首が無くなれば動くことは出来ない。


 爆発で弱った魔物達は、仲間がやられていることを意にも介さず、ひたすらに突っ込んでくる。

 そこを片っ端から翡翠の太刀で切断していった。

 広い森では脅威だった一糸乱れぬ連携も、狭いこの場所では足を引っ張り合ってしまっている。


 首の無くなった魔物を踏み越え、次の魔物へ体を向けた時だった。


「――――」


 後退すると同時に、先ほどまでいた場所に巨大な腕が降って来た。

 そこにいた魔物が湿り気のある音を立て、地下室の染みになる。


「…………」


 後ろに控えていた合成龍キメラ・ドラゴンの一撃だ。

 魔物を踏み潰しながら、合成龍の巨体が前進してきている。


「なるほど、なるほど。確かにAランク冒険者というのは伊達ではないようですわね。屋敷に送った魔物が撃退されたのにも頷けますわ」


 合成龍の体の至る所にある縦線――歯らしき物が並ぶ口腔から甲高い叫びがあがる。

 グリグリと湿った音を立てて眼球が犇めき、あちこちから突き出ている腕が一斉にこちらに向けられた。


「貴方なら、合成龍キメラ・ドラゴンの試運転にはちょうどいいですわね」


 伸縮するゴムのように、無数の腕が殺到する。

 ステップを踏んで回避しながら、近付いてくる側から翡翠の太刀で斬り落とす。

 だが、余りの数に対処しきれなくなり、後退せざるを得なくなる。


 鬱陶しいな。


「あはははは! 貴方のようなちっぽけな冒険者が、合成龍を倒せるとでも思いましたかぁ??」


 耳障りな嘲笑が、巨体の後ろから聞こえてくる。

 この龍に、随分な自信を持っているらしい。


「でも、気にすることは無いですわよ? 魔将を倒す為に創り上げたのがこの合成龍なのですから」


 合成龍の体中にある口腔が、パクパクと開閉を始めた。

 口腔から周囲の魔力が吸い上げられ、合成龍の頭へと集まっていく。

 避けるほどに開かれた口に、魔力で練り上げられた炎の球体が生み出された。

 

「さぁ、そこのくっさい混ざり者に雇われたことを後悔して、無様に死になさい?」


 合成龍から、ブレスが放たれた。

 大量の魔力を含んだ、業火の一撃。

 なるほど、確かに炎龍のブレスに匹敵する一撃だろう。


「――だから?」


 その程度が何だって言うんだよ。


 "魔毀封殺イル・アタラクシア"で威力を減退させる。

 勿論、それだけでは封殺には至らない。


 ――だが、それだけで十分だ。


 身に纏っている魔術服『紅蓮の鎧』を起動させた。


 塗り潰すような漆黒――その上から、さざなみのように紅蓮が広がっていく。

 通常時は漆黒、しかし魔力を込めることで、劫火の紋様が刻み込まれる。

 ――故に『紅蓮の鎧』。


 鉄すら焼き付くすブレスが直撃する。

 視界全てを覆い尽くすような赤い炎――――。

 その炎の尽くを『紅蓮の鎧』は無効化して見せた。


 地獄のような炎の中、合成龍へ向けて走る。

 ブレスを放っていることで、その巨体は無防備その物、


 魔力を吸う為に大きく開いた口腔の中へ、魔石を突っ込んだ。

 壊魔によって、合成龍の下腹部が吹っ飛んだ。


「はぁ!? な、なにが」

 

 胴体を大きく欠損した合成龍の上半身が、地面に落ちてくる。

 それでもなお動こうとする醜悪な化物に、


「――失せろ」


 壊魔を再び叩き込む。

 下腹部に続き、合成龍の上半身が粉々に砕け散った。

 肉片が飛び散り、腐敗臭が地下室に広がっていく。


「あ、ぇ?」


 残されたのは、無防備なオリヴィアただ一人。

 ようやく、お前に手が届く。

 


 

「え……。え? 何が……? わたくし合成龍キメラ・ドラゴンが、どうして?」


 転がった肉塊の山に視線を向けるオリヴィア。

 狼狽したこの女に、それまでの余裕はない。


「それで? これで終わりか?」

「っ……」


 オリヴィアが後退る。

 主力の魔物はアレで終わりだったらしい。


「わ、分かりましたわ。もう抵抗しません!」


 両手を上げ、オリヴィアが無抵抗のポーズを取る。

 媚びた笑みを浮かべながら、近付いて来た。


「あっ」


 その途中で、オリヴィアが躓いた。

 ふらつき、こちらに倒れかかってきて、


「――――」

わたくしに傅きなさい!」


 オリヴィアの腕が、俺の額に押し付けられる。

 同時に、魔力が流れ込んできた。

 なるほど、これが洗脳魔術か。


「は……馬鹿な男ですわね」

「何が?」

「は……!?」


 目を剥いて、オリヴィアが飛び退いた。

 触れられたた部分を布で拭う。

 気持ち悪い。


「ど、どうして……!? わたくしは確かに魔力を流したはず!」


 洗脳魔術の仕組み自体は、三十年前にオリヴィア本人から聞いている。

 脳に魔力を流し、精神を変容させるのだ。

 だったら、脳に辿り着く前に魔力を集中させて抵抗レジストすればいい。

 

「それで? これで終わりか?」

「ひ……」


 同じ問いを投げかけると、オリヴィアが初めて怯えた表情を浮かべた。

 だが、すぐに傲慢な物へと切り替わる。


「は……っ! わたくしを捕らえて、皇帝陛下に報告するのでしょう? 好きにするといいですわ。この実験は、今の帝国に必要な物です。汚らわしい混ざり者達がいくら喚こうと、わたくしの実験は必ず評価されるのですから!!」


 帝国に引き渡す、か。

 確かに、魔物を操れるとなれとなれば帝国もすぐにはこの女を処断することはないだろう。

 認められるかはともかくとして、革新的な技術なのは確かだからだ。


 だが、それはあくまで引き渡した場合・・・・・・・の話だ。


「安心しろ。そんなことはしない」

「……え?」


 オリヴィアの顔に疑問が浮かぶ。


「まさか、わたくしの技術を貴方達に渡せと言うのですか? ふざけないでくださいな。わたくしの技術は、貴方達のような下賤な猿に理解できるような物じゃありませんわ」

「いや、違うさ」

「それでは、一体わたくしに何を――」


 何か勘違いしているようだ。

 正しておいてやろう。


「お前、まさか、生きて帰れるとは思ってないだろうな?」


 その言葉に、オリヴィアが目を丸くする。

 何を言われているのか、分からないという表情だ。


「それは、どういう……」

「ここで、お前を殺すって言ってるんだよ」


 意味を理解したらしい。

 オリヴィアの顔が僅かに青ざめた。


「は……はっ! 他国の人間が……それも、一介の冒険者の分際で、帝国貴族たるこのわたくしにそんなことをして、許されると思っているのですか!?」

「許してもらう必要なんてねぇよ」


 滑稽だな。

 笑わせてくれる。


「オリヴィア…エリエスティール。三十年前から、お前は何も進歩していないな」

「三十……な、何を言って……?」

「三十年前に、お前は洗脳魔術で自分の部隊を全滅させているな」

「……! どうして、それを」

「そしてその後、"英雄アマツ"に洗脳魔術が認められるように、お前は口添えを求めた。しかし断られ、その末に洗脳魔術は禁術指定されたんだ」


 オリヴィアの表情が蒼白になっていくのが見える。


「お前はその腹いせに、アマツの遺体を条件に、を裏切った」

「うそ、うそ……」


 袖を捲って、右腕を露出する。

 手の甲に刻まれた勇者の証を、オリヴィアに見せてやった。


「三十年ぶりだな。オリヴィア・エリエスティール」


 オリヴィアは蒼白な表情でガクガクと足を震わせて、過呼吸のように荒い息を繰り返していた。

 現実を認めたくないと言うように、いやいやと何度も首を振っている。

 立っていられなくなったのか、地面にへたり込んでしまった。


「帝国とか貴族とか関係ねえ。これは裏切られたことに対する、俺の復讐だ。分かるか? 誰かに許してもらう必要なんてねぇんだよ」

「あ…ぁぁ……。あなたは死んだはずですわ。そんな、うそ、うそですわ」

 

 ようやく自分の状況を理解したらしい。

 尻餅をついたまま、後ろに後退り始める。


「嘘じゃねえよ」


 逃げようとするその足を、思い切り踏み砕いてやった。

 骨の砕ける鈍い音が地下室に響き渡る。


「ぇ……あ?」


 一旦の間を置いて、オリヴィアが絶叫した。


「エルフィ。こいつは俺が始末する。お前はカレンさんを連れて屋敷に戻っておいてくれ」

「了解した。後は頼んだぞ」


 魔眼で結界を砕き、エルフィはカレンを抱いたまま地下室から出て行った。

 これからの出来事は、流石にカレンには見せられない。

 見せるべきじゃない。


「ああぁ……! あしっ、わたくしの足が……ぁ!」


 下に視線を戻せば、砕けた足を抑て、オリヴィアが泣け叫びながら悶えていた。

 

 もちろん、これで終わらせる気はない。

 こんなもので、終わらせてたまるかよ。


「それじゃあ、復讐を始めようか」



 何かをしようと、オリヴィアが手を持ち上げる。

 変なことをされては困るので、両手両足の骨を砕いてやった。

 そのショックで失禁して気絶してしまったが、蹴り飛ばして目を覚まさせる。


 嵌めていた指輪型の魔力付与品マジックアイテムを使おうとしたらしい。

 中にはオリヴィアの魔力が込められている。

 どうやら、複数の魔物の脳とラインを繋ぎ、洗脳を維持するための魔力付与品らしい。


「アマツ様……ゆ、ゆるして」

「黙れ」

「ああァあッ!」


 オリヴィアの長い髪を掴んで地面を引き摺る。

 そのまま、地下室にあるケージを見て回った。

 どうやらこの中で魔物を飼育し、管理していたようだ。

 数は少ないが、複数の種類の魔物が存在している。


 その中に、指ほどの大きさのウジ虫が蠢いているケージがあった。

 穴は深く、外に這い出ることが出来ないようになっている。


「"歯蟲"か」


 人間の物に近い歯を有した、最下級の魔物だ。 

 歯を使って肉を食い千切ろうとしてくる凶暴な魔物だが、一匹一匹は非常に弱い。

 群れていても、魔術を使えば一掃出来る程度の力しか無い。

 肝心の噛む力も、それ程強くない。


「…………」


 ああ。

 良い事を思いついた。


「わ……わたくしは、裏切ってなどいません……アマツ様の勘違いです……!」


 この期に及んで、オリヴィアはまだ言い訳をしている。


「リューザスの記憶を『探りの金剣』で覗いた。その時にしっかり、お前の姿は見させてもらったよ」

「っ……っ!」


 口をパクパクして、オリヴィアは震えている。


「入れ」


 歯蟲のケージを開き、その中にオリヴィアを蹴り入れる。

 悲鳴を上げ、歯蟲が蠢いている穴の中に転がり落ちる。


 それから、すぐにケージの鍵を閉めた。

 洗脳が効いているようで、歯蟲達はオリヴィアを避けてケージの隅へ逃げていった。


「な……何をするのですか……」

「言っただろ? 殺すんだよ」

「ま……まさか」


 俺のやろうとしていることに気付いたらしい。

 オリヴィアの顔が蒼白を通り越して、土気色になっている。


「待ってくださいっ! 許してください! わたくしはただ、認められたかっただけなのです! お願いします! ゆ、許して……! 洗脳魔術の使い方も、この領地も全部渡します! わたくしの体を好きにしてもいいですから! た、助けてくださいっ!!」


 涙を浮かべ、オリヴィアが懇願してくる。

 

「ガッシュもお前にそう言ったんじゃないのか。死にたくない、助けてくれってさ」

「え……?」

「さっき、楽しそうに語ってただろ? それをお前は最終的にどうしたんだ?」

「あ……あ」


 オリヴィアから没収した指輪を手に取る。

 魔物の洗脳を維持している魔力付与品マジックアイテムだ。


「いや……いやぁ!」


 指輪が発していた効果を、全て打ち消した。

 魔物達に掛かっていた洗脳が一斉に解除される。

 そうなれば、当然。


「あ、ぁあああ!!」


 中にいた歯蟲達は洗脳から解除され、目の前に現れた食い物オリヴィアに飛びつく。

 歯を剥き出しにして、魔物達が一斉にオリヴィアに飛び掛かった。


「や……やめなさい! 来ないで! こ――!? あ、あァあああああああッ」


 肉を食いちぎられたオリヴィアが絶叫する。

 

「お前、言ってたよな。混ざり者と亜人は大人しく人間わたくしの食い物にでもなっていればいい、とか」


 三十年前から、ずっと。


「散々、色んな人を食い物にしてきたんだ」


 だったら。


「自分が食い物にされても、文句は言えないよな?」



 歯蟲がオリヴィアに食らいつく。

 足に、胴に、腕に、肩に、首に、顔に、至る所に噛み付いている。

 ブチブチと肉を引き裂かれ、オリヴィアが泣き叫ぶ。


「いやっ、いやぁあああああ! 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い! ああああ! 痛い痛い痛い痛いッ!」


 その凄惨な光景に反して、歯蟲が肉を食むペースは遅い。

 ゆっくりとゆっくりと、あの魔物は肉を噛み切っていく。

 

「あああああァ! どうしてッ! どうしてわたくしがこんな目に合わないといけないんですか!? 嘘、こんなの、なんで、あああァ! 嫌ぁあああああ!!

 

 折れた腕を振り回して、必死に歯蟲に叩き付ける。

 何匹かの歯蟲がそれで潰れるが、他の個体は意にも介さず、オリヴィアに群がり続けていた。


「アマツ様ぁ!! えっ、英雄! 英雄なら、こんなのおがじぃい! 助けてぐだざい!」

「悪いが、勇者も英雄も辞めた身なんでな」

「ごんな所でじにたくない! だずげでええええッ」


 髪を振り乱し、涙と鼻水と唾液で顔面を汚しながら、オリヴィアは必死に懇願する。

 両手両足の骨が折れていることで、逃げることも戦うこともままならない。

 待ち受けるのは、歯蟲に喰らい尽くされる未来のみ。


「お前が殺してきた人達も、死にたくないって思ってただろうよ。みんな、ガッシュだって! ……俺だってそうだ。それをお前は嘲笑って、殺してきたんだ」

「ごべんなざい! わだぐしがまちがってましだ! ゆるじて! ゆるじでえ!」


 どいつもこいつも、他人を嘲笑って甚振っていた癖に、自分がその立場になれば途端に謝罪を始める。

 自分がされて嫌なら、他人にしなければいいのに。


「じにたくない……っ」


 オリヴィアの声が小さくなっていく。

 幾ら力が弱いといっても、ひっきりなしに全身の肉を食い千切れば、もう一時間も経たない内に息絶えてしまうだろう。


「本当に悪いと思っているのか?」

「……っ!」


 その問に、オリヴィアが何度も首を振る。


「もうじまぜん! 亜人も、混ざり者も、もう何もじまぜん! アマツ様も、もう裏切りませんがらっ!! ごめんなさい! ごべんなざい! だすけて!」

「……分かった」


 そこまで言うのならと、俺はポーチからある物を取り出した。


「高位のポーションだ。飲め」

「……ああぁぁ!」


 一瞬だけケージを開け、ポーションを投げ込んでやった。

 声にならない叫びを上げ、地面に落ちたポーションに向けてオリヴィアが芋虫のように這い寄る。

 

 投げ込んだのは、相当な金額のポーションだ。

 高位のポーションというのも嘘じゃない。


「んく……っぐ」


 口で瓶をあけ、オリヴィアが獣のようにポーションを飲み干した。

 すぐに効果が発揮され、オリヴィアの傷が治っていく。


 ただし、


「……ぇ?」


 ほんのすこしずつ・・・・・・・・


「帝都で買った、『持続式ポーション』だ。通常のポーションと違って、一気に傷が治る訳じゃない」

「あ…ああ」

「その代わり、数時間の間、傷が少しずつ傷が治り続けるっていう効果があるんだよ」

「ああああああああああッ!」


 オリヴィアの傷口が治る。

 治った部分を、歯蟲が食い千切る。

 その部分が治っていく。


 その繰り返しだ。


「持続式ポーションの中でも、飛び切り高い奴だ。まあ、そのペースなら半日くらいは保つんじゃないか?」

「たずげてぐれるっていっだのに!! うぞづき! どうじて!?」

「そんなこと一言も言ってねえよ」


 グチュグチュと肉を食む音がひっきりなしに続く。

 

「言ってたよな。ガッシュにはじぃぃぃっくり楽しんで貰ったってさ」

「あぁあ……」

「だからお前も、じぃぃぃっくり楽しませてやるよ。嬉しいだろ?」

「そんなぁぁああ……!!」


 肉を食む音が響く。


 グチュグチュ。

 グチュグチュグチュ。

 グチュグチュグチュグチュ。



 三時間ほど経過した。

 『助けてくれ』『死にたくない』『どうしてこんなことに』。

 最初はそんな風に叫んでいたオリヴィアだったが、言っていることが変わってきた。


「も……して。ころじて……ごろじてッ!!」


 半日も経っていないというのに、もうそんなことを言っている。

 ガッシュは半日耐えたというのに。


「安心しろ」


 オリヴィアに言ってやる。


「最初お前、『死にたくない』って言ってただろ? だから、まだ生かしておいてやるよ」


 絶望の表情を貼り付けたオリヴィアに、ニッコリと笑いながら言った。


「――俺は優しい・・・からさ」




 絶え間ない苦痛。

 延々と肉を食いちぎられる。

 そんな中で死ぬことも出来ない。


 それからまた『死にたくない』と泣き叫び、かと思えば『殺してくれ』と懇願し始める。

 それら全てに、自分が撒いた種だと微笑んでやった。

 

 そうして更に数時間後。

 他人を嘲笑い、食い物にしてきた女は。


「――――」


 文字通り、骨も残さず、蟲の食い物えさになった。


刺激が強いから注意してね!

とあとがきに記載しておく。

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― 新着の感想 ―
[一言] こいつのやってきた事が酷すぎてこれでも等倍返しにしかなってないのが唯一の残念ポイント…
[良い点] かなりレベルの高い復讐ですね。十全な報復を10とするなら8位に至っていると思う。
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