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第十三話 『グレイシア・レーヴァテイン』

グロ注意です


 どうして、私がこんな目に合わないといけないんだ。

 私はエルフィスザーク様のために生きてきた。

 あの日、燃え盛る街で命を救っていただいた時から、ずっと。


 魔王軍に入軍したのは、あの人のためだ。

 非力だった己を律して、体を鍛え、魔術を習得したのもあの人のためだ。

 当時、まだ四天王だったあの人のために、あらゆる不足を補った。


 目障りだったグレゴリアを殺したのも。

 トール達を皆殺しにしてやったのも。

 エルフィスザーク様を何もない暗闇に封印したのも。

 四天王として、オルテギアの下に付いたのも。

 全部、全部、あの人のためだ。


 私はこれだけ尽くしているのに、どうして私の思い通りに動いてくれない?

 理想のエルフィスザーク様は、私を傷付けたりしないのに。

 私を拒んだりは、しないはずなのに。


 世界の争いを収める方法はただ一つだけだ。

 魔族が、不出来な人間と亜人を管理する他にない。

 私の両親を殺し、街を焼き、多くの同胞を殺めた塵どもと、手を取り合って平和なんて、あり得ない。


 

 エルフィスザーク様がそんな理想を抱くはずがない。

 抱いて、いいはずがない。

 だって、エルフィスザーク様は私の理想なのだから。

 私の思う通りに、私以上に素晴らしい案を出し、すべてを凌駕する存在でなくてはならない。

 そうじゃなくては、おかしい。


 エルフィスザーク様を狂わせたのは、トール達だ。

 人化などという小賢しい小細工を覚えたカス龍のベルディア。

 人間の分際で『エルフィ』などとあの人を気安く呼ぶ勇者。


 あいつらのせいだ。

 あいつらがエルフィスザーク様を狂わせた。


 許さない。

 エルフィスザーク様は私のモノだ。

 あの人には私が必要なんだ。

 

「私だけが、あの人の側にいれば良いんだッ!!」



 爆煙が晴れる。


「ぅ……ぁあ」


 灰燼爆を喰らいながら、グレイシアはまだ生きていた。

 軍服はあちこちが燃え尽き、覗く素肌は無残に焼き爛れている。

 側頭部から生えていた二本の角は、片側が爆発の衝撃で真ん中から折れてしまっていた。


「ゆ……るさ、ない。許さ、ない」


 咳込み、血反吐を吐きながら、グレイシアはベルディアを睨み付ける。

 満身創痍の状態でありながら、血走った目から狂気は消えていない。

 だが、それだけだ。

 傷だらけの体では、魔術の行使すらままならず、恨み言を呟きながら、地を這うことしかできない。


 その時、結界で閉じられていたはずの扉が開いた。

 外から、戦闘を終えた伊織が中に入ってきた。

 返り血で服が汚れてはいるが、目立った外傷はあまりない。


「こっちはひとまず片付けた。だが、長居はできないぞ。すぐに援軍が来る」

「ああ、分かった」


 言葉を交わす伊織とエルフィスザークへ、グレイシアがより形相を歪める。


「勇者ぁ……ベルディアぁぁ。貴様らが……貴様らのせいで……」

「…………」


 呻きながら床を拳で叩くグレイシアに、伊織はいっそ憐れむような視線を向けた。

 ベルディアは、不快そうに目を細め、無言でグレイシアを睨み付けている。

 二人のその視線が許せず、グレイシアはガリガリと頭を掻き毟った。


「…………」

 

 無言で、エルフィスザークがグレイシアに近付いていく。

 顔をあげ、エルフィスザークの顔を見ながら、グレイシアは血を吐くように言った。


「私は……私は、貴方のために。こんなに、尽くしたのに……。どうして……」

「…………」

「許さない。ベルディアぁ、勇者ぁぁ……殺してやる……お前らを」


 この期に及んでなお、責任の所在を伊織とベルディアに押し付けて、グレイシアは叫ぶ。

 焼きただれた手で服をめくり、グレイシアは灰が入った瓶を取り出した。

 瓶を床に叩き付け、中に入った灰を部屋に撒き散らす。


「“廻れ、枯傀儡ブラスフェミー・ドール”」


 詠唱とともに、灰が形を作っていく。

 トール達のような生前の姿ではなく、現れたのは無数の骸骨だった。

 人間、亜人、魔族、魔物、様々な種族の骨が、グレイシアの前に傀儡として現れる。


「はは……どうですか、エルフィスザーク様。これまで、私が積み上げてきた骸達の軍勢……。これで、貴方を誑かす勇者どもを、殺してみせますからぁ……」


 カタカタと音を立てて動き出そうとする骨達へ、エルフィスザークは紅く染まった瞳を向けた。


「――“魔眼・同調接どうちょうせつ”」


 直後、ピタリ、と骨達が動きを止める。

 狼狽え、グレイシアが指示を飛ばすも、骨達はそれに従わない。


「何故、動かないッ。塵なら、せめて私の役に立ってみせろ……!」

「――同調接。胴体を取り戻したことで、戻った力の一つだ」

「……!」


 貴様も知っているだろう? とエルフィスザークは呟く。


「それ、は……。他者の魔術の……主導権を奪う、魔眼……」

「……グレイシア。以前の貴様なら、主導権を奪われるような、雑な魔術は使わなかったはずだ」


 そう言った直後、「いや」とエルフィスザークは首を振る。


「それすらも、私の思い込みか。貴様が私を見ていなかったように、私も貴様を見ることができなかった」


 一番近くにいた部下を、何一つとして理解していなかった。

 それは、魔王としての、エルフィスザークの不明に他ならない。

 

「その一点だけは、エルフィスザーク・ヴァン・ギルデガルドとして謝罪しなければならない。私は、お前をちゃんと見ていなかった。許せ、グレイシア」


 悔いるように、謝罪した直後。

 エルフィスザークの表情が、一変した。

 憎悪に灼かれた双眸でグレイシアを睨み、その口元は憤怒で歪んでいる。


「ひっ」


 その悍ましい表情を見て、グレイシアが悲鳴を上げた。


「わ……私は……ここで、死ぬのですか……?」

「そうだ。貴様はここで死ぬ」


 エルフィスザークは、冷酷にそう告げた。

 死を悟り、わなわなと震えながら、顔を青褪めさせるグレイシア。


「どうして私が……殺されなければ!! 何故ですか、エルフィスザーク様ッ!!」

「貴様が、私の仲間を殺したからだ」

「そ、れは……」

「私は、皆が好きだった。仲間を愛していた。ともに歩むことが、何よりも幸せだった。それを、貴様が踏み躙ったのだ」


 仲間とともに積み上げてきたすべてを、己の欲望だけのために踏み躙った。

 それは、断じて許せることではない。


「身勝手な理想を押し付けッ!! 貴様は私を裏切ったのだ、グレイシアッ!!」

「――――」

「仲間を殺した者は、誰であっても復讐すると誓った。それが……それが、仲間であってもだ!!」


 三十年前の魔王城で、そう誓った。

 音と光のない暗闇で、エルフィスザークの正気を保ったのは憎悪だった。

 魔王としての使命、そして復讐――それを成すために、三十年間を耐え忍んできた。


「そんな……理由で……私は……」


 血を吐くようなエルフィスザークの言葉を、グレイシアは「そんな理由」と切り捨てる。

 己の理想とかけ離れたエルフィスザークの言葉を、グレイシアは受け入れられなかった。


「私は……エルフィスザーク様のお役に立てていなかったのですか?」


 その問いに、一瞬の間が空く。 

 それは、エルフィスザークの弱さだ。

 弱さと決別するために、エルフィスザークは言った。


「……そうだ。貴様は、私の理想の邪魔だ」

「――――」

 

 そう断じたエルフィスザークに、グレイシアは絶句する。


「そんな……そんなぁ……」


 涙を流し、嗚咽を漏らし、地面に顔を埋めて、グレイシアは震える。

 

 終わった。

 傍で見ていた、伊織がそう思った瞬間だった。


「――分かりました。私の死が御身のためになるのなら、謹んで死を受け入れましょう!!」


 グレイシアは、バッと顔を上げた。

 その顔に浮かんでいるのは、笑みだった。


「どのような形であれ、エルフィスザーク様のお役に立てるのならば、それは史上の喜びっ!! ふ、ふくくっ! このグレイシア、人生の終わりは愛する人の手で、とずっと決めておりました!!」


 エルフィスザークのためなら死んでもいい、と。

 仲間を殺し、エルフィスザークを封印したその口で、グレイシアは言った。


「……気持ち悪ぃ」


 言葉は通じるのに、意思の疎通ができない。

 何もかもが一方的なグレイシアの思考に、伊織は思わずそう呟いた。

 それももはや耳に入らぬと、グレイシアはエルフィスザークに迫る。

 

「エルフィスザーク様の手に掛けて頂けるのなら、私は本望です!!」

「…………」

「さぁ、貴方の白魚のような美しい指で! 宝石のようなその瞳で! 白く艶やかなその足で! 潤った淡い薄ピンクのその口で! このグレイシアを終わらせてください!! さぁ、さぁ!!」


 嬉々として、叫ぶグレイシア。

 だが、エルフィスザークは動かなかった。

 冷めた瞳でグレイシアを見つめて、静かに口を開く。


「今まで、考えていた。何をすれば、貴様に復讐を果たせるのか、と」

「……?」

「伊織のように、凄惨に殺すことも考えた」


 手段はいくらでもある。

 今まで、苦しみながら死んできた復讐対象を見てきたのだから。

 時間は多く取れないが、それでも苦しめるだけならば容易い。


「だが……違う」


 しかし、そういった復讐をエルフィスザークは否定した。


「貴様への復讐は、そうではない」


 その言葉の意味を理解できないグレイシアを置き去りにして、エルフィスザークは瞳を紅く輝かせた。

 途端、それまで静寂を保っていた骸の軍勢が、一斉にグレイシアに振り返った。


「え……?」


 グレイシアが、引き攣った声をあげた直後。


「……やれ」


 エルフィスザークの号令とともに、骸達が一斉にグレイシアに押し寄せた。


「何をッ!? く、来るなッ!! やめろ……!」


 残っていた僅かな魔力を使い、グレイシアは近寄る骸を吹き飛ばす。

 カラカラと乾いた音とともに骨が散らばり、瞬く間に灰に戻っていく。

 

 しかし、多勢に無勢。

 やがて、骨の一匹がグレイシアの腕を掴んだ。

 ボキッ、と鈍い音とともに、グレイシアの腕があらぬ方に折れ曲がる。


「あ……がぁああああああ!!」


 痛みに、絶叫するグレイシア。

 だが、骸達は止まらない。

 容赦なく、グレイシアに押し寄せる。


「やめろ、触るなぁああ!!」

 

 ある者は、グレイシアの足をへし折った。

 ある者は、グレイシアの指を砕いた。

 ある者は、グレイシアの爪を剥いだ。

 ある者は、グレイシアの皮膚を割いた。


「ひぎ……っ。あがあぁぁ」


 瞬く間に、全身を赤く染めていくグレイシア。

 苦悶の声をあげながら、縋るようにエルフィスザークを見る。


「える、ふぃすざーくさまぁ、なんで、なにを!?」

「貴様への復讐だ。そこで果てろ、グレイシア」


 エルフィスザークは、静かにそう告げる。

 グレイシアが絶望に目を見開いて間もなく、


「そ、ん……な。なんで、どうし――ぃぎ」


 骨に髪を捕まれ、グレイシアは首を持ち上げられた。

 その拍子に、ブチブチと深緑色の髪が引き千切れる。

 頭皮が引き攣る痛みに、呻きながら、グレイシアは叫ぶ。


「死……じぬなら、あなだの手でぇ!!」

「――断る。私は手を出さん」


 その懇願を、エルフィスザークは一蹴した。

 甚振られるグレイシアを見下ろし、表情を変えすらしない。

 

「こ……こんな……こんな骨どもに、私は殺されるのか……?」


 自身を取り囲む骸達を見て、グレイシアは震える。


「こんな……弱者どもに……? ただ私に蹂躙されただけの、愚者どもに……?」


 これまで、何百と殺してきた。

 エルフィスザークの役に立たぬ愚者を、邪魔者どもを。

 容易く蹴散らし、死後も使ってやろうと遺灰を集めた。


 そんな連中に、自分は殺される……?


「ぁ……ぁぁあ」


 グレイシアが、絶叫する。

 

「嫌だ……そんなの嫌だぁあああああ!!」


 こんな惨めなことがあるだろうか。

 主の手で殺してもらえず、今まで自分が嘲笑ってきた傀儡に殺されるのだ。


「嫌だぁぁ!! う、ぁああ!! 離せ、離せぇえええ!!」


 駄々っ子のように泣き叫び、ジタバタと体を動かすが、骸達はグレイシアを逃さない。

 それどころか、より一層、グレイシアへの責め苦を強くしていく。


「不公平だッ!! トール達はぁあああ!! エルフィスザーク様の手で葬られたのにぃいいい!! どうして私だけぇええええええええッ!!」


 骸達によって、残っていた片方の角をへし折られた。

 エルフィスザークと同じ、二本の角が生えていることを誇りに思っていた。

 それを、こんな骸達に折られるなんて。


「ご、ごんなど、不公平ではないでずがぁああああ!! ずるいずるいずるいぃいい!! せめて、エルフィスザークざまにぃ、ひぎぃいいいい!!」

「――知らん。そこで、勝手に死ね」


 皮膚を剥がされて、グレイシアの腕の骨が露出する。

 周囲の骨達は、まるで恨みを晴らすように、少しずつグレイシアの肉を剥ぎ取っていく。


「痛い痛い痛い痛いいたいいだいいだぁああああ!! エルフィスザーク様は、わだじにこんなごどじないはずなのにぃいいいい!!」


 逃れられない死を悟り、グレイシアは絶叫する。

 あり得ない。

 どうして、こんなことに。


「こんなの嘘だぁああ!! 嘘だ嘘だ嘘だう、いぎっ、ぁあああ!! やめろぉおおおお!!」


 グレイシアの顔に、骨の指がめり込む。

 ブチブチと音を立て、頬の肉がちぎれていく。


「ひぃいいいい!! 嫌だぁああ!! エルフィスザーク様ぁあああ!! 助けてぇ!!」

「…………」

「痛い、痛いいだいいいいい!!」


 骨が、グレイシアの片目をえぐった。


「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃいいいい!?」


 眼球を取り出され、獣のような悲鳴をあげるグレイシア。

 残った目で、縋るようにエルフィスザークを見る。

 片目に映るのは、冷めた表情の主の顔だ。


「痛いか、グレイシア」

「痛い、いだいいたいいだい痛いぃいいいッ」

「同じだ。皆、痛かっただろう。貴様に殺されたグレゴリアも。アベルもフェイも、ムスベルも、トールも。痛くて……苦しくて、無念だったはずだッ!!」

「だっでええ!! あいづらは、エルフィスザークざまを穢したがらぁあああ!!」


 グレイシアの絶叫に、エルフィスザークは叫び返す。


「ならば……っ!! そう思ったのなら、何故私に言わなかった!! 一言……貴様が一言不満を口に出してくれば、こんなことにはならなかった!! 皆も……貴様も、死なずにすんだはずなのにッ!!」


 震え声で叫ぶエルフィに、グレイシアはなおも叫び続ける。


「貴方は私の理想なんだぁああ!! わだじにごんなごとじないッ!! あいづらを殺したわたじを褒めてぐれるはずなんだぁあああ!! あいづらのせいでえええ!! 勇者ぁあ、ベルディアぁああ!! お前らがぁああああ!! 」

「…………」

「痛い痛い痛いぃいい!! だずげてよぉおおお!! エルフィスザーク様が、あの日、わだしをだずげてぐれだがらぁああ!! 貴方のために、私は!! エルフィスザーク様はこんなことしない!! 私を傷付けない!! 貴方は私の理想だがらぁああああ!! 助けてぇええええ!!」


 悶え苦しむグレイシアに、エルフィは静かに告げる。


「――貴様の理想を、私に押し付けるな」


 そうして、エルフィはグレイシアに背を向ける。


「ぁ……ああ」


 エルフィスザークの手で殺してもらえない。

 それどころか、死ぬ姿を見てもらうこともできない。

 そう理解して、グレイシアは泣き叫ぶ。


「嫌だぁあああああああああああああああああああああ」


 叫ぶグレイシアへ、骸達はより激しく殺到する。


「ひぃい、やべろおぉおおお!!」


 全身の骨を砕かれ、また全身の皮を剥がされていく。

 生爪が剥がされ、ピンク色の肉が露出していた。


「エルフィスザークざまぁあああああああああああああ!!」


 涙と鼻水と涎で汚れた顔で叫ぶも、エルフィは振り返らない。

 両耳に骨が指を入れる。

 鼓膜をかき混ぜられ、音が消える。


「やだぁ、やだやだやぁあああ!!」


 両鼻に、両耳に、口の中に、骨が指を突き刺す。


「あばぁあ!!」


 瞼を剥がし、残った眼球すらもえぐる。

 グチャグチャと肉がえぐれる音がしばらく響き、

 

「えるびずざぁあぐざばあああああああああああぁぁぁああ」


 最後に。

 縋るような断末魔が、響き渡った。



 ――灰が落ちている。


 魔術の効果が消え、骸達が元の姿に戻ったのだ。

 もう、眠りを妨げられることはないだろう。


 その灰の中央に、赤い血溜まりが広がっていた。

 血が抜け落ち、皮膚を剥がされ、神経を抜かれ――骨だけになった女の残骸があった。

 その骸骨は、目を見開き、口を大きく開き、死の間際の絶望を顔に貼り付けていた。


「長居は無用だ。ここから出よう」


 エルフィスザークは背を向け、その残骸を見ることなく歩き始める。

 ベルディアは、無言でそれに続く。


「見ないのか?」

「見ない」


 伊織の問いに即答するエルフィスザーク。

 エルフィスザークは終ぞ一度も、グレイシアの死体を見ることはなかった。


「興味も、ない」


 振り返ることなく、エルフィスザークは部屋を後にする。

 伊織も、黙って彼女に続いた。


 天蓋に空いた穴から風が吹き込む。

 遺灰が空を舞い、部屋を吹き抜けていく。


 敬愛していた主も、憎んでいた勇者も、侮蔑していた龍も去った。

 蔑んでいた骸の灰も、風に乗って消えた。

 砦を守っていた側近の部下達も失った。


 何もかもが消えた部屋の中。

 

 グレイシアの骸だけが、ただ転がっていた。



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