第六章 登場人物紹介
・天月伊織
かつて仲間に裏切られた、伝説の勇者"英雄アマツ"。
三十年後の未来に召喚され、自身を裏切った者達へ復讐を誓う。
遂に二人目のパーティメンバー、リューザスへの復讐を果たす。
思い通りにはいかず、思うところもあるが、それでもまた一歩前進した。
"魔天失墜"は、英雄時代に編み出した最大級の攻撃魔術。
発動と同時に周囲の魔力を削り取り、自分の魔力に上乗せして放つ。
その威力は"魔王"オルテギアの防御を突破し、大打撃を与えるほど。
これまでの【英雄再現】では発動出来ず、現在でも一度使えるかどうか、と言ったところ。
頭:なし
右腕:強魔の指輪
左腕:防魔の腕輪
胴部:紅蓮の鎧
脚部:蒼碧の靴
武器:翡翠の太刀
使用魔術:魔毀封殺、魔技簒奪、魔撃反射、魔智掌握、魔天失墜。
心象魔術:【英雄再現】
・エルフィスザーク・ギルデガルド
元魔王。
オルテギアによって部下を皆殺しにされ、自身も体を五つに切り分けられて封印されてしまう。
部位は『頭』『両腕』『両足』『胴体』『心臓』で分けられている。
現在は『頭』と『両腕』『両足』『胴体』を取り戻した。
最近、負けが続いている気がする。
元魔王の威厳に関わる気がする。
いや、本来の実力であれば、余裕なのだが。余裕過ぎるのだが。
胴体を取り戻して、残る部位も『心臓』のみ。
これだけ力を取り戻せば、まあ大抵の相手には負けまい。
なにせ私は元魔王なのだから!
――と思った矢先に、連れ去られた。
頭:なし
右腕:なし
左腕:なし
胴部:黒のドレス
脚部:黒のブーツ
武器:なし
使用魔術:魔王眼、魔王腕、魔王脚
―教国―
・レオ・ウィリアム・ディスフレンダー
聖堂騎士団・二番隊副隊長。
マルクスの悪事が露見したことで、その後二番隊隊長の座に就くことになる。
伊織達が忌光迷宮に入れるよう、いろいろと仕掛けをした。
その後、二番隊を率いて、襲撃してきた魔王軍を迎え撃つ。
心象魔術を利用すれば、四天王に肉薄するほどの実力を持つ。
もし三十年早く生まれていれば、魔王軍との戦争はまた違った結末になっていたかもしれない。
頭:決意のネックレス
右腕:小さな指輪
左腕:聖堂騎士の籠手
胴部:聖堂騎士の蒼鎧
脚部:聖堂騎士の具足
武器:使い込まれた騎士剣
使用魔術:身体強化全般
心象魔術:【無敵の騎士団】
―魔王軍―
・ヴォルク・グランベリア
魔王軍・四天王"歪曲"。
人間と魔族の混ざり者であり、魔王軍の中でも複雑な立場にある。
薙刀を武器にし、接近戦を得意とする。
魔術は基礎を修めている程度だが、その在り方から、心象魔術にまで至っている。
【曲がれど折れず、我は剣を謳う】。
いくらでも融通は利かすが、真に大切なモノは譲らない。
そんな彼の在り方が具現化したモノ。
長時間の間、発動することができ、体への負担も少ない。
通常時は空間を捻じ曲げ、敵の攻撃を逸らすことに使用される。
これを破るには、上級魔術クラスの威力が必要となる。
応用し、自身の攻撃の軌道を変化させたり、斬撃を飛ばすことも可能。
すべての能力を解放した際には、空間を捩じ切って虚無を発生させ、それを敵に叩き付けることも出来る。
頭:なし
右腕:お守りミサンガ
左腕:木製の腕輪
胴部:着崩した軍服
脚部:火龍の革靴
武器:薙刀『餓狼』
使用魔術:基礎魔術
心象魔術:【曲がれど折れず、我は剣を謳う】
―王国―
・ハロルド・レーベンス
王国・選定者"第一席"。
王国内では、屈指の実力を誇る。
誇るのだが……。
十代の間に、全属性を中級魔術まで使用出来るようになる。
また、剣術、体術、弓術、様々な分野において、一定の成果を残している。
実力を見込まれ、一時期は王国騎士団に所属するも、すぐに選定者に選ばれる。
その後は選定者として腕を磨き、現在に至る。
様々な状況に対応可能な、高い総合力が強み。
いつまでも"生きる伝説"扱いのリューザスを妬んでいる。
もし自分が三十年前に生まれていたらと考え、苛立つことも。
そのため、リューザスに何かと強く当たり、逃走した勇者の捕獲に乗り出すが……。
作中で使用した"絶王領域は王国に伝わる結界魔術。
指定した領域を犯す、侵食型の結界。
使用には準国家級の膨大な魔力と準備が必要となり、個人での使用はほぼ不可能。
絶大な力を誇るが、伊織に乗っ取られた。
頭:魔払いのピアス
右腕:なし
左腕:なし
胴部:選定者のローブ
脚部:選定者の軍靴
武器:片手剣
使用魔術:全属性上級魔術、絶王領域
・サーシャ・ギルバーン
故人。
リューザスの妹。
荒い性格の兄と違い、穏やかで心優しい性格をしている。
生まれつき体が弱く、病気がち。
王国の小さいが、自然豊かでのどかな村で生活していた。
聡明で、幼い頃から両親の死を悟っていた。
強がる兄に負担を掛けまいと、いつも笑顔でいた。
反面、両親を殺した『戦争』に酷く胸を痛めており、『誰もが笑顔で暮らせる世界』があったら良いのに、と不可能であることを理解しながらも、そう願っていた。
自分が作ると言った兄に、強い憧れを抱く。
兄が王都へ行ってからは、彼が雇った家事手伝いに面倒を見てもらっていた。
同時に、兄に少しでも近づきたいと、密かに魔術を勉強する。
才能はあったが、魔力量が少なく、ほとんど魔術は使えないかったが。
そして。
四天王"裁断"が率いる軍勢の襲撃によって、命を落とす。
死を目前にしたサーシャの頭にあったのは、恐怖ではなく兄のことだけだった。
たった一人で自分を助けに来てくれた兄へ、最期に言葉を残していく。
「お兄ちゃんは、ね――」
頭:兄がくれた髪飾り
右腕:なし
左腕:なし
胴部:なし
脚部:なし
武器:なし
使用魔術:なし
・リューザス・ギルバーン
王国宮廷魔術師。
かつては人類最強の魔術師と謳われ、現在でも"大魔導"の二つ名で呼ばれている。
元勇者パーティの一人。
魔王殺しの称号を独占するため、そして復讐のために伊織を裏切った。
再び殺すために、選定者とともに教国にまで追ってくる。
妹の言葉によって、『誰もが笑って暮らせる世界』を作ることを決意した。
そのために、英雄になろうとも。
その決意は、皮肉なことに伊織と同じモノだった。
三十年前に魔王軍の襲撃によって、妹を失っている。
妹を守るために敵軍の四割を単独で削り、撤退にまで追い込んだ。
結果、妹を失い、"大魔導"という望まぬ称号を得ることになる。
妹を助けてくれなかった伊織を恨むも、『それは逆恨みである』と理性で抑え込む。
しかし、妹を見捨てた伊織が『誰もが笑って暮らせる世界を作りたい』と口にしたことで、憎悪を抑えられなくなった。
その時に、伊織への復讐を決意する。
逆恨みだなんて、分かっていた。
身勝手極まりない考えだと、理解していた。
理性では、伊織は間違っていないと納得していた。
それでも、許せなかった。
妹を『知ったことか』と切り捨てたその口で、『誰もを救いたい』と言った英雄が。
誰もを救う?
皆が笑顔になれる世界?
そんな理想を掲げるなら、どうして妹は助けてくれなかったんだ。
その『皆』に妹は入っていないのかよ。
……だったら、そんな世界は俺が否定してやる。
俺が、英雄になってやる。
そう考えながらも、理解していた。
自分では、英雄にはなれないのだと。
英雄の後ろ姿が、どうしようもなく眩しかったから。
英雄の光を忌み続けた彼が辿り着いた心象魔術は、【英雄願望】。
決して報われざる汚濁の衝動を形にした理想。
その効果は、全盛期の自分を再現すること。
致命傷を負おうと、腕を失おうと、魔力がある限り、全盛期を再現し続ける。
治癒魔術すら凌駕した強大な魔術。
『お兄ちゃんは、ね――』
英雄を志し、英雄を憎み、そして英雄に憧れた。
そんな彼が死の間際に思い出したのは、妹の最期の言葉だった。
『――私の、英雄だったよ』
頭:形見のネックレス
右腕:『英雄の右手』
左腕:守りの手袋
胴部:宮廷魔術師のローブ(改造)
脚部:宮廷魔術師のブーツ
武器:ルインロッド
使用魔術:全属性
喪失魔術:因果返葬、冥人乖離、落星無窮、災禍葬炎、舞踏影衝、黒輝穿弾、流器封塞、剣刃錬成、壊身憑依、龍断瀑布
心象魔術:【英雄願望】
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