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思考

少し更新遅れました。

1話作るのに2日ぐらいかかってしまいますが、出来るだけ書き溜めして、いち早く最新話を投稿したいと思います(●´ω`●)



 絶対絶命。その言葉が最も相応しいだろう、この状況は。

 混乱する頭、青ざめていく頬、全部を無視して考えなきゃいけない。

 この危機的状況を回避する術を……。


 自問自答を続けよう。

 さぁ、どうする?


〜10分前〜


「……むごっ!?」


 あの男に魔法を掛けられ眠らされ、馬車で運ばれた先は何やら暗いとこだった。というか、真っ暗闇。


「むごっ!〜〜〜〜!!」


 馬車の中にいた時よりも沢山の拘束器具が付けられている。手枷足枷首輪目隠し、口には布みたいのが詰め込まれてる。

 はっきりいって、身動きひとつとれない。


(……暗い?いや……目隠しか……この手枷とか全部外せるかな……)


ガシャッガシャッ


(……あれ)


ガシャッ


「あはは、無理だよ。それ、対魔法用の手枷だから。

 君の魔力がいくら強くたって、それは壊れないよ。君みたいな異例用に作られてるんだから」


(!?)


 拘束されていても、耳は聞こえる。聞こえてきたのは、あの男、シャルークと呼ばれていた男の声だった。


「んんんん!!むごっっ」


(バッカヤロー!!今すぐ解放しろっ!)


「大丈夫、言いたいことは大体分かるから」


(ハァ!?)


「《天獣人》といえど魔法はバッチリ聞くんだねー……薬は殆ど効かなかったのに……興味深いなぁ〜」


 まじまじと見られてる感じがする。背筋がゾワゾワするんだけど……。


「ホントは僕が君を買いたいんだけど……きっと、君を買うためならいくら出しても構わないって人が星の数ほどいるだろうからさぁ〜仕方ないよね〜」


(奴隷市……のこと?)


「あぁ、君みたいな高級品で珍種は奴隷市には行かないよー。心配しなくていい。闇オークションに行くだけだから」


(ふざけんなっ!!)


「君が売りに出されるのはガンルダーガーオークションっていって、有名な闇オークションなんだぁ〜。絶滅危惧種や貴重な血の臓器売買とか……まぁ、所有するにはちょこっと法律違反してる商品を扱ってるから『闇』なんだよねー」


(マジでロクでもないことしてんなこの人)


「あと、君みたいな貴重な種族の奴隷とかね?そーゆー、貴重で一風変わった商品を取り揃えてるのがガンルダーガーオークションなんだ♪

 まぁ、君なら買われた後もきっと愛でてくれるさ。何たって、君は今日の《目玉商品》だしね。

 《労働用》じゃなくて、能力や容姿が飛び抜けてる商品は大切に扱われるから。

 高い金を払ったのに、乱暴に扱ってすぐに壊れちゃったら大損だろ?」


(……最低だコイツ。人間じゃねー……)


「ま、その分奴隷市に連れてかれる《労働用》の奴隷は最悪だよねぇー。売り方も荒っぽいし、商品の見た目も全く気にしないんだから……」


(あっ……セーラは!?セーラはどうなったの!)


「あ……そろそろ始まるみたいだ。じゃ、バイバーイ♪またいつか会えることを楽しみにしてるよー。ま、無いだろーけど」


(ちょっと待てええ!!)


 私の声が届くはずもなく……シャルークの足音はみるみる遠ざかっていく。そしてそのまま、足音は全く聞こえ無くなった。


(……あの野郎……!次会ったがアイツの最後だ……!)


 と、初めのうちは怒り狂っていたのだが、そのうち自分が置かれてる状況の深刻さに気付いてきた。

 さっきは、あの土壇場でたまたま『異世界=魔法!』という私の固定観念を頼りに思い付いたかなり無茶苦茶なやり方で危機を一応は回避したが、今は魔法を使えないみたいだ。

 イメージは出来るものの、どうにも力が入らない。

 さっきは体にエネルギーが満ち溢れてる感じがしていたけれど、今はそうでもない。溢れるのではなく、体に押し止められてる感じだ。

 ――なぜか。結論はすぐに出た。

 体力だ。今、私の体はヘトヘトで疲れきっている。


(魔法って……魔力と体力どちらもなければ駄目なのかな?)


 確かに、こんな体じゃ走るのも無理そうである。魔法って、体力も必要なんだなぁ……。

 私の魔力量は、セーラの話や私よりも一回りも二回りも大きい男達が簡単に倒せてしまったことから、何となく『並以上』と分かるのだが……。

 実際私がこの世界でどれだけ強いのかもまだよく分からないし……。

 あの男達が、ただ単に凄いクズだったってことも有り得るからね!


(……だとしたら……)


『私の今の状況、超最悪で絶対絶命じゃね?』


 ……うん。さぁ、どうする。

 魔法が使えないんじゃ、逃げ道は残されていない。異世界ならなんとかなるかな、という軽い気持ちでいた私が馬鹿だった。

 というか、ここは異世界といえど『現実』なのだ。

 血が流れれば痛いし、ピンチになれば苦しい程の恐怖感だってある。

 元の世界よりもよっぽどスリリングじゃないか!!しかもゲームじゃないんだから、生き返れもしない。

 致命傷を負ったら永遠にゲームオーバーだ。

 これはパニックに陥っても仕方ないと思う。恐慌だ、大混乱だ。

 しかし……


(現実はいつも酷い……)


 段々と大きくなる鼓動を押さえ付け、私は『冷静』という選択肢を選んだ。

 どんなに最悪な状況でも思考は放棄出来ない。

 私って、ほら大人だから。中身は。(中3だけど)

 今だけ不安とか驚きとかの感情、全部棄てて……ここから逃げる方法を考えることだけに全細胞を使えっ!

 そう、落ち着くんだ、とにかく。

 今更泣いて喚いたってどうにもならない。どうにもならないなら、残されている選択肢の中から最善の択を選ぶのみなんだから。


キイイィイン


(………1人……2人3人……それ以上か)


 周りの呼吸数、布が擦れあう音……様々な微かな音の情報を、私は驚異的な耳で捕らえた。

 気付いたこと……地球にいた時よりもずっとずっと耳が良くなっている。(ネコミミになっちゃっているけど)

 例えどんな小さな音でも、私の耳は零さずに脳へと運ぶ。


 そして、心音。普通の人間なら他人の心音は愚か自分のでさえ聞こえないだろう。

 しかし私は聞こえるのだ。改めて、自分が超人的な能力を手にしていることを実感する。

 自分の周りにいる、人間の心音が混ざらずに聞こえる……それは、周りにいる人間が一体何人いるかを正確に知ることが出来る術だった。

 今みたいな状況では、凄く役に立っている。目も手も足も使えない。今頼れるのは、耳のみ。


(半径1m以内に2人……2m以内に3人か……この5人は心音が乱れてる……多分私と同じ境遇の人だな……この部屋には私を含めて6人がいるのか)


 ……今私が知ることが出来る最大限の情報を集めたが、『周りに何人いるか』ってことが分かったって、ここから脱出なんて出来ない。

 前言撤回。実用性がねぇ!この能力!


 闇オークション……。アイツは言っていた。『もうそろそろ始まる』って……。


 次の瞬間、部屋の鍵が開く音がした。心音が数個増え、そして、私の隣にいた人が連れていかれる。


「〜〜〜〜!!」


 隣に拉致されようとしている人がいるというのに、何も出来ない自分が恨めしい。まぁ、自分も同じ状況なのだが。


(始まった……?)


 固唾を飲み込み、正直な冷や汗が……頬を流れた。

 考えろ……考えろ!!


「「皆様、本日はここガンルダーガーオークション会場へようこそおいで下さいました……」」



ここまで読んでくださり、ありがとうございます(*・ワ<)b

これからもよろしくお願いしますo(^-^o)(o^-^)o

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