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小鳥が遊ぶ庭  作者: 桜光
高木舞編
33/33

エピローグ ~これからの二人~

もうすぐ七月も終わりになる。

なんだかんだで、思い返せば本当に濃い一か月だった気がするなぁ…。

七月最後の土曜日、いよいよ凛が所属する演劇部の公演の日がやって来た。三年生はここで引退になる大きなイベントでもあるらしい。

凛の演技を観るのは初めてだ。たまには本気になる凛を一度目に焼き付けておこう。


今日の僕は私服に身を包んで、炎天下の中、会場とは正反対の所に向かっている。

高木の家だ。

いや、本当に一緒に行く必要とか無いようにも感じられるし、待ち合わせでもすれば良いだけの話だとは思うんだが。

凛がそうしろ、と力強く命令してきたので素直に従っている。


何度も訪れた事のあるマンションにやって来た。

優人君は今日、朝から友達と山奥に昆虫採集に出掛けてるらしい。小学生って何で虫に憧れるんだろうね。僕も昔は好きだった気がするが、今では近づくのも嫌だわ。

インターフォンを鳴らし、高木が出てくるのを待つ。「今から行く」と応答があってから三十秒程経過して、ドアが開いた。


あ、高木、私服だ。

いや、まぁ休日だし、当たり前だけど。


そう言えば、僕は高木の私服姿を目にした事が無かった気がする。この前のあれでは僕と高木だけ制服だったな。

…で、今の高木の服装は、日頃の高木からは想像もつかないファッションであって…。

まぁ、率直に言うとめっちゃ可愛い。僕さ、女子の服についての知識が皆無だから、説明とか言葉じゃできないんだけれども。凄い気を遣ってる事が伺える服装だ。

「…何じろじろ見てるの?」

「え、いや、そういえばお前の私服見た事無かったなと」

「…一応外出する訳だし?私だって、こういう服着たりするよ…」

あ、照れてる。もうこいつの照れる仕草見慣れたな。照れるとこれまた物凄い美少女になるんだよね。

「…私がこういうの着てたら、変?」

いや、違和感はあるけど変では無い。凄い可愛いし。ただ、正直にそれを言うのは照れ臭い。

「…良い、と思うよ?うん、女の子らしくて…」

ここって正直に言った方が女的には嬉しいのだろうか?それはそれで罵倒される気もするんだけど。

「…そ、そう…?……ありがとう」

あっさり褒め言葉を受け入れてくれた。

でも初っ端から気まず過ぎる。これ、今日一日耐えられるかな?


会話が、無い。

高木家を出発して早五分。会場に向かってる訳だが、一言も喋っていない。

これ、第三者から見れば完全にデートだよね。そんな事考えるから余計に喋れなくなる。

僕から話題振ろうか…でも、話す事…いっぱいあるはずだけど、今に限って出てこない。

そんな事を考えてると、先に高木から話を振ってこようとした。

「あ、あの…」

と言葉にしてきた瞬間、高木がつまづいた。

「きゃっ!」

女の子みたいな声を出す高木。いや、女の子だけど。

咄嗟に手を掴んでやり、何とか転ぶのだけは避けられた。転んだりしたら、その服派手に汚しちゃいそうだからな、危なかった。

どうやら、服だけではなく靴もいつもより気を遣っていたようで、履き慣れていない靴を履いていたようだ。それで転びかけたらしい。

「大丈夫か?」

「う、うん。ありがと」

すぐに手を掴んでやったので、本人には何も問題無かったようだ。

ひとまず安心して、手を離そうとする。だが。


高木は僕が握った手を離そうとはしなかった。


「靴、履き慣れてないからさ…また転びそうになるかもしれないから、そ、その…しばらく握ってて」


……え?

手をつないだまましばらく歩けと?

そう言われて、僕はどんな顔をしたのだろう?あまり考えたくは無い。

「わ、分かった。仕方ないな、それだったら…」


そして僕達は、手をつないだまま再び歩き出した。

なんとか、『舞編』を書き終えました。桜光です。読んで頂き、ありがとうございました。


えっと、ここで長々と作品について語るのも良いかもしれないんですが…一旦書き始めると、止まらなくなってしまう気もするので…。できるだけ簡単に書くようにします。

軽く触れておくと、今回は恋愛をメインにした展開でした。と言っても、エピローグの段階でも二人は恋人以上の関係にまで辿り着いていません。

いやぁ、もう二人の心情なんか考えたら、行ける所まで書き進めても良かったんですが、敢えてこういう形にしました。

二人を完全にくっつけると、それでもう作品自体が進まなくなってきてしまうので…。一真と舞の性格を考えたら、これでも良いと思いました。

ここで終わりにする気は無いので、この二人に関してはこれからも長い目で見てくださればと思います。


心残りがあるとすれば、一真と舞が中心になり過ぎた事。

澪士、光、凛に関してはもっと出番を増やしたかったなぁと思います。『澪士編』で登場した雪村菜々が名前すら出てこないまま終わるとは自分でも思いませんでした。

今後はもっと幅広く触れていきたいと思います。


さて、その今後について一応触れておきます。

『小鳥が遊ぶ庭』は、少しの間休載させて頂きます。三月中旬頃から毎日更新してきましたが、夏以降の話はもう少し考えてから執筆に入りたい、そう考えた上で毎日更新はストップさせる事にしました。

この先の展開については、かなりの量を考えてます。無駄に話が浮かんできます。が、『澪士編』や『舞編』のような展開は当分ありません。文化祭の時期までは物凄くどうでもいい高校生活を描く事になりそうです。


何気にキャラの中で複線だらけで秘密が多いキャラ、星野光をメインにした『星野光編』については冬頃の話を想定していますので、執筆は当分先です。まず文化祭と修学旅行という壁があります。

夏休みからの話をメインにしたエピソードについては、少し期間を空けてから書こうと思うので、良ければ再び載せ始めた時もよろしくお願いします。時系列をバラバラにして書いたりするつもりは今のところありません。


読んでくださる方がいらっしゃる事に、凄く幸せを感じています。特にお気に入り登録してくださっている方には、この場を借りて御礼を申し上げます。


充電期間中は別作品の連載も考えています。こっちを中途半端にした状態で書くのは嫌だったんですが、一旦リフレッシュしてスタートするのも良いかな、と。

その別作品も微妙なところで『小鳥が遊ぶ庭』と繋げていくのも面白いかな、って思ってます。『小鳥が遊ぶ庭』の登場人物も数人出すつもりでいます。もしよろしければ、そちらもよろしくお願いします!


ではでは、もう一度改めて。ありがとうございました。これからも『小鳥が遊ぶ庭』をよろしくお願いします。

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