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権力とナラティブ

しかし、さらに彼の思想を特徴づけているのは、権力とナラティブの関係に関する明確な意識だ。それどころか、人類は古代から多神教的な宗教的なナラティブとともに生きてきたのであり、権力以前にナラティブを人間存在の本質として彼は配置している。


例えば、現代の米国に代表されるような近代西洋の視点からすると、世界中の過去の諸文明の価値観は迷信的なものであり、一方で近代科学は現実的で、資本主義において貨幣は価値の実体の指標だと見なされている。江学勤はそれを否定する。近代科学もまた一つのナラティブにすぎず、現代的な拝金主義的な価値観は、メディアやインターネットなどのツールを通して民衆の行動を権力に好都合に誘導するものにすぎないと言うのだ。


彼の言説は、映画『マトリックス』の仮想世界から聞き手を目覚めさせるようなものだ。現代で言うマトリックスとは、例えば「パックス・アメリカーナ」(アメリカの平和)である。その洗脳の外側にある事実は、認知的不協和に満ちていて負荷が高い。彼が文明について言う一般原則の一つとして、「平和は格差を増加していく」という、救いのない事実がある。

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