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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第七章 幼い翼のひな鳥たちは、本物の聖女の翼を知りました!
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95 卒業順位8位と魔族

〇宿場町・教会


「……王国では、教会関係者の巡礼も一時禁止されるって聞いてるわ」


ベアトリーチェのその言葉に、アンナは「そこまでなんだ……」と顔を曇らせた。

つい先日まで平和な学園生活を謳歌していた二人にとって、祖国の扉が閉ざされていく事実は、想像以上に重く心にのしかかった。


しかし、ベアトリーチェは優しく二人を諭した。

「でも、ここで悩んでいても仕方のないこと。

あなたたちがしっかりと巡礼を全うすることが、女神様への一番の祈りになると思うわ」


その言葉に背中を押され、ミアはさっそく奉仕活動に身を投じる。


バルカ帝国では女神教はまだ「得体の知れない外来の教え」。

王国のように高圧的な布教は逆効果でになる。

ミアは町の清掃や、そして怪我人の治療、小競り合いの仲裁とまるで、ベテランのような手際で完璧にこなしていく。

一方、家事の経験がないアンナは回復所の当番を任されたが、慣れない環境に疲労困憊の様子。



一日の終わり。教会の談話室でアンナは机に突っ伏していた。


「だっるぅ~~~いぃ!!!」


「まだまだ。今日は見学のようなものです。明日からが本番ですよ!」


ミアは笑顔で胸の前で小さくガッツポーズをして見せる。

それを見たアンナは信じられないといった顔でうめいた。


「はぁ!? あんたどんな体力と魔力してんのよ……?」


ミアは小さく作っているガッツポーズを上下に2~3度揺らす。


もちろんミアにだって疲れはあるが、彼女を突き動かしているのは「目の前で困っている人達を助けたい」という純粋な願いだった。


そこへ、ベアトリーチェが紅茶を運んでくる。

紅茶は、お湯のように透き通っている。


一口飲んだアンナが

「うっす!さっきも思ったんですけど、 これ茶葉の量、間違ってません?」

「アンナちゃんっ!!」


舌を出して不満を漏らすアンナを、ミアがすかさず一喝した。


この教会は王国に比べれば困窮している。

この一杯の薄い紅茶さえ、ここでは高級な嗜好品。


ベアトリーチェが申し訳なさそうに微笑むのを見て、アンナもようやく自分の失言を悟り「ごめんなさい……」とシュンとしてしまった。



その日の深夜。

アンナは、教会の外にあるトイレへ、こそこそと一人で向かった。


(……早速きたわねぇ)


トイレの中でしゃがみながら、アンナは不敵に笑う。


実は彼女、昼間のベアトリーチェの話を聞いてから、わざと一人で隙を見せて「神隠し」の犯人をおびき寄せようとしていたのだ。


「ふーん……こんな辺境に巡礼に来るシスターなんて落ちこぼれかと思ってたけど。結構、高い魔力があるのね」


近づいてくる足音と、冷ややかな女の声。



じょぼじょぼじょぼじょぼ……



(女!? しかもこの魔力、人間じゃない……魔族なの!?)


アンナは用を足しながらも、背筋が凍るようなプレッシャーを感じていた。


慌てて身なりを整え、トイレから飛び出したアンナ。


そこに立っていたのは、順番待ちでもするかのように佇む異形の美女だった。


黒髪のショートヘア、褐色肌。そして何より、頭から生えた角と背中の蝙蝠のような羽、爬虫類を思わせる金色の瞳。紛れもない魔族である。


(ヤバイ…… 魔族ってこんなに魔力高いの!?)


学園のエリートだったアンナでさえ、その深淵のような魔力の量に圧倒されてしまう。


「こんなショボイ国を任されて、貧乏くじだと思ってたけど…… アナタは、いい研究サンプルになりそう♪」


魔族の女が、楽しそうに指先をアンナに向けた。


確かにわざと無防備に、単独行動したのは確かだ。

ただ、実際にかかるとは思っていなかった。

しかも、相手は初めて見る人型の魔族である。


アンナの背中を、嫌な汗が伝い落ちた。

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