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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第六章 崖っぷち聖女ですが、帝国で勇者伝承の真実に迫ります!
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80 山頂の先に待ち受けるもの

〇バルカ大山脈・北側ふもと


バルカ大山脈。

そこは、人間が引いた境界線など何の意味も持たない、魔獣たちが支配する領域だった。


ミアにとって、この山道はこれまでの旅とは全く異なる恐怖との戦いだった。

街の近くにいるはぐれもの魔獣たちとは違い、ここでは組織化された魔獣の群れが自分たちのテリトリーを守るために目を光らせている。


(私の防御魔法なら刃は通さない。でも、あの巨大な熊のような魔獣の剛腕や、岩をも砕く牙を防ぎきれるのかしら・・・?)


確証のない不安を抱えながら、ミアは、険しい斜面を踏みしめていく。



「ふぅ・・・今日はここまでかしらね・・・」


日が沈みかける頃、ミアは突き出した大岩の下を見つけ、腰を下ろした。

すぐさま、自分を包み込むように防御結界を展開する。

この金色に光る防御壁の中だけが、広大な魔境においてミアが唯一安心できる場所だった。


ふもとにいた低位の魔物たちは、ミアの結界に触れた瞬間に弾き飛ばされ、二度と近づこうとしなかった。

しかし、標高が上がるにつれ、魔物たちの眼光は鋭く、その威圧感や禍々しい気配も増していく。

果たして、この魔獣たちに、この薄い光の壁で対抗できるのか?


結界の中で膝を抱え、ミアは胸元のクロスを握りしめた。

「女神様。本日も恐ろしいものから私を守ってくださり、ありがとうございます・・・」


暗闇の奥から聞こえる魔獣たちの遠吠えを聴きながら、ミアは静かに目を閉じた。



数日後。

鬱蒼うっそうとした森林地帯を抜け、視界が急に開けた。

足元は土から荒々しい岩肌へと変わり、吹き付ける風は氷のように冷たくなっていく。


ミアがふと振り返ると、そこには息を呑むような絶景が広がっていた。

眼下には広く続く緑の樹海。その先には広大な青い海が水平線まで広がり、

その間に、つい先日までいたバサルやバサラークの街が、まるでミニチュアの模型のように小さく見える。


「・・・もう、街に戻ることはできないわね」


タリンの豪快な笑い声。クラリスの美しい横顔。

彼女たちの笑顔を思い出すと、凍えそうな心に少しだけ灯がともるようだった。


この山の頂上を超えればバルカ帝国


見上げれば、さらに高く、険しく、山頂がそびえ立っている。


しかし、めざすバルカ帝国には、すでに王国から届いた指名手配書が出回っているかもしれない…

彼女を待っているのは、過酷な自然だけではないのだ。


「・・・よし。行きましょう」


ミアは杖を握り直し、前を見据えた。

最後まで読んでいただいてありがとうございます!


もしよろしければ、次のお話もよろしくお願いします!

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