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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第五章 巡礼先の帝国で、本物の聖女達に出会いました
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77 完璧なシスターの絶望

〇バサラークの街・教会の裏庭


「そこまでです・・・! その方から離れなさい!!」


ミアはそう叫ぶのと同時に駆け出していた。

そして、クラリスに抱き着くようにかばい、防御壁魔法を発動する。


「ぐわああああああ!! お、俺の、俺のアソコがぁぁぁ!!」


ミアの防御壁魔法は、防御壁内の敵を外に弾き飛ばす。

警備兵は、あられもない悲痛な叫びを上げて吹き飛ばされた。

急所を強打し、地面を転がる男を見下ろし、ミアは手のひらを向け魔力をためる。


「女神様のすぐ前で・・・! 天罰が下る前に、私が女神様に代わってあなたを成敗します!!」


「ひ、ひぃぃぃぃ!! 助けてくれぇぇ!」


曲がりなりにも、魔族の幹部と一戦交えているミアの迫力は本物だった。

男は股間を押さえながら()()うの(てい)で逃げ出していった。



静まり返った教会の裏庭。乱れた修道着を握りしめ、半裸で座り込むクラリスと、

激しい怒りで肩を上下させるミア。


「・・・何が、ミラ様の強さですか・・・」


怒りに震えるミアの声が、冷たく響く。


「……え?」


力なく見上げるクラリスに、ミアは容赦なく言葉を叩きつけます。


「あなたは何をやっているんですか!?

それが、あなたの目指す女神様の教えなのですか!?

自分の身を汚して、下劣な男に屈することが、あなたの守り方なんですか!?」


ミアの怒りは、男への憎しみだけではない。

自分を粗末にするクラリスへも向けられていた。


「…仕方ないじゃない」

クラリスが、地を這うような低い声で漏らしました。


「え?」


「仕方がないじゃない!!」


クラリスが顔を上げ、激昂した。

その瞳には、今までの慈愛など微塵もない、剥き出しの絶望が宿っている。


「あんなに優しかった先代のシスターが、私の目の前で、下品な奴らに好き放題されて!!

それは、全部私を奴らから守るためだったのよ!!

私たちに何ができるっていうの!?  女神の力なんて、回復しかないんだもの!

連中に抵抗なんて、できるわけないでしょ!? そうでしょ!!」


堰を切ったように溢れ出す言葉。

それは、この街で独り、だれにも頼れず、地獄を耐え抜いてきた彼女の叫びだった。


その言葉を聞き、ミアの脳裏にあの日の自分がフラッシュバックする。


王国を追放されたあと。

もしマーサが助けてくれなければ…


自分だって、あの村のごろつきに襲われた時、泣き喚くことしかできなかった。

祈ることしか、防衛手段を持たなかった。


今の自分が戦えるのは、多くの偶然が重なった奇跡に過ぎない。

そんな自分に偉そうに言える資格があるのか?


この世界のほとんどのシスターにとって、回復魔法しか持たない彼女たちにとって、暴力は抗えない嵐そのものなのだ。


「・・・っ・・・う、うわあああああん!!!」


ミアは堪えきれず、子供のように大声を上げて泣き出し、クラリスに抱きついた。

「ごめんなさい・・・わたし!ごめんなさいっ・・・!」


「……っ、う、ううっ……」


クラリスもまた、ミアの背中に手を回し、声を殺して泣き崩れた。


完璧で気高いシスター・クラリス。

追放から這い上がった聖女・ミア。


二人の少女は、冷たい夜の土の上で、互いの弱さと悲しみを分かち合うように、いつまでも抱き合って泣き続けた…

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!


本日もう一回、24時ごろに第五章完結回を更新します!

よろしければ、そちらのお話もよろしくお願いしますね!

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