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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第五章 巡礼先の帝国で、本物の聖女達に出会いました
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73 ジークハルトと聖女エレン

〇バサラークの街・図書館


旧王宮図書館の片隅、ミアは静まり返った書庫で、早速見つけた『ジークハルト私録・第二巻』を夢中で読み進めていた。

しかし、その内容は期待していた英雄譚とはかけ離れたものだった。


●月✕日

勇者殿は転生される前、異世界では『ニート』という仕事をされていたそうだ。

意味は分からんが『自宅警備員』とも言っていたので、おそらく王宮警備軍の軍団長のような重職に就いていたのだろう。どうりで剣技の腕が立つわけだ。


「・・・ニート?」


●月✕日

このままでは魔王討伐どころか、魔王軍の幹部戦すら危うい。

勇者殿が「リリアナに負担をかけすぎだ」と激昂している。

話し合いの結果、やはり回復専門家の補充が必要と判断した。

我々は一旦後退し、合流を待つことにする。


●月✕日

待機中も僧侶リリアナは私と一緒にいようとし続ける。

そして、私と勇者殿との仲は険悪になる一方だ。

私が彼の嫌がることを何かしたのだろうか? 言ってくれないと分からない。


「ジークハルト様って・・・」


そして、ついにその名が登場します。


●月✕日

新しい仲間が合流した!

現在の人間界で最高の護り手と言われる、第二十三代聖女エレンだ。

黒髪がとても美しい少女だった。


「いよいよ出てきた・・・ カレンさんのお母様、聖女エレン様・・・」


●月✕日

聖女エレンの回復魔法は本物だ。

どんな傷も瞬時に治す。彼女の魔法を受ければ、心まで安らぐ気がするのは私だけなのだろうか?

これで僧侶リリアナは補助魔法に専念できる。これなら強敵とも戦えそうだ。


ミアは、エレンの魔法の描写を読んで指を止めた。

「心まで安らぐ魔法・・・」

回復魔法使いが目指すべき理想の形・・・


しかし、手記はさらに複雑な人間模様を暴露していく。


●月✕日

最近は僧侶リリアナが今まで以上に私の傍にいる。

魔族の本拠地が近くなり不安なのだろう。私の力など強力な魔族の前では…と思うが、話さないでおく。

彼女の心が安らぐのなら、それでいい。


●月✕日

最近、勇者殿が私を敵視するようになってきた。

理由はわからぬ。

こんなところで困ったものだが、仲間割れするわけにはいかない。

じっと耐えるのだ…


「・・・この人、鈍感過ぎないかな?」


●月✕日

聖女エレンは、動物や植物、魔物の声まで聴くことができるという。

彼女の慈愛は、この世に生きる全ての者に注がれる。なんとも美しい心の持ち主だ。

この戦いで、彼女の心が汚れないように守ってやりたいと思う。


●月✕日

私は幼い頃より剣の研鑽のみにすべてを注いできた。色恋沙汰など分からぬ。

しかし、エレンの笑顔を見ていると鼓動が激しくなる… これが、恋というものなのだろうか?


「・・・・・・うん?」


●月✕日

最後の幹部を退けたぞ。これで魔王軍は事実上壊滅状態。

最後の闘い。魔王との戦いが始まる。


第三巻へ続く


「むむむ・・・!  これからというところで・・・」


ミアは慌てて周囲の棚を探したが、三巻目はこの図書館には無いようだった。


気づけば、図書館の窓の外は、すでに暗くなってきていた。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。


よろしければ、次のお話もよろしくお願いしますね!

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