68 行列のできる回復術師
二巻以降はないのかと司書に聞いてみる。
「ここにはありませんねぇ…」
「どちらに行けば読めるのでしょうか?」
「バルカ国立か…手近な所であれば、バザラークの図書館に行くのがよろしいかと。
あの町の図書館はここより大きいので全巻揃っているかもしれないですね。」
お礼を言って図書館を出るミア。外はすでに真っ暗だった。
「タリン様!帰りました。」
「あら、シスター・ミィ!遅いから、心配したのよ。」
少しうれしくなり頬を染めるミア
「あ、ありがとうございます・・・」
「だって、アナタみたい優秀な子、もっと手伝ってもらって私を楽させてほしいし、すぐに次の巡礼地に行こうとしないでね。」
「・・・そっちの心配ですか」
ジト目でタリンを見てしまうミアである。
その夜、ベッドで一人で勇者パーティの事を考えるミア
(当時の女神教会の最高司祭マリア様・・・
聖女にこそなれなかったけど、慈愛に満ちた方で、史上最高の女神魔法の使い手と言う人もいる・・・
それが、あんな感じのどろどろとしたパーティのある意味トラブルメーカーだっただなんて・・・)
(でも、もともと、勇者様に対して、そういう恋愛感情はなく、ジークハルト様がお好きだったという事なのかしら・・・)
(う~ん、考えてたらなんだか眠れなくなってきた・・・)
(ぐ~・・・zzz)
翌朝…
「違う! 私はもっと繊細な子だったはず!! なんだかリリィ様化してきちゃってる気が・・・!?」
こうしてすぐに眠れるようになったのも、大きな心の成長なのだが、ミアは本人は認めたくないようだ。
「あら、シスター・ミィ! おはよう。今日は病院に行ってもらうわよ。
ナースの子たちが驚くわよー、本物の女神魔法の使い手が来たとなれば!」
「あはは・・・お手柔らかにお願いします」
タリンに連れられ、町の病院へ向かうミア。
「え?女神魔法を使える巡礼中のシスターなの!?」
「スゴイ!女神魔法って一瞬で怪我を治しちゃうんでしょ?」
「というか、シスター役のモデルさんじゃないの?この子、美人すぎない?」
驚くナースたちに囲まれる。
「女神魔法と言っても、私は第一神界のものしか使えませんので・・・あまり期待しないでください」
ナースたちのあまりの期待の眼差しに、困り笑いで首を傾けるミア。
「まあ、第二神界まで使えるような子は、巡礼なんてせずに教会本部か中央の病院に囲われてるわよねー」
ニコニコと笑いながら、タリンがミアの肩に手を置く。
「・・・地味に人の心をエグるのやめてください」
ミアの返しに、病院内はドッと笑いに包まれました。
しかし、すぐに和やかな空気は一変した。
「さあ、忙しくなるわよ! 」
今日は週に一度、町の自衛団が森の魔物を間引きに行く日。
彼らは王宮騎士のような精鋭ではないため、毎回ボロボロになって帰ってくるという。
この日はとてつもなく忙しくなるので、教会のマーサもヘルプにはいる。
今日はそれにミアも同行させられたというわけだ。
病院の入り口がにわかに騒がしくなり、院内にも血の匂いが漂ってきた。自衛団が帰ってきたようだ。
「さあ、治療の時間よ!!」
ナース長の掛け声とともに、ミアも袖をまくる。
運び込まれてくる負傷兵たち。
ミアは迷いなく、最も重傷と思われる男性の元へ駆け寄った。
大きな傷でも瞬時に直すそのスピードと精度の高さ。
そして何人回復しても尽きない魔力量(エレナの魔法のバフ込みだが…)
「次の方は・・・!!」
流れ落ちる汗も拭かずに必死に回復していくミア。
「なっ…なんだ、今の!? 俺の怪我が一瞬で治ったぞ!?」
「あ、あの女神のような子は誰だ? 天使か?」
「俺もあの子に治してもらいたい…おい、押すなよ!」
あまりの回復の早さと、ミアの献身的な姿に、自衛団の兵士たちが色めき立つ。
「あ、ずるいぞ! 俺もあの子に!」
「次は俺だ!」
「つーか、めっちゃ可愛い!」
ミアの前にだけ、みるみるうちに行列が出来上がっていく。
「アンタたちはこっちだよ!!」
軽傷の兵士たちの首根っこを掴んで引きずっていくナース長を横目に、ミアはただひたすら、目の前で痛みに苦しむ兵士達を回復していった。
ナースたちは、黙々と回復を続けるミアの背中を見て息をのむのだった…
最後まで読んでいただきありがとうございました!
前回のお話のジークハルトの手記を、勇者パーティの人間関係が分かりやすくなるように、少し追加しました。
大まかな内容自体は変わっていません。
おかげ様で2000PVを突破しました!いつも読んでくださる皆様のおかげです!
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それでは、よろしければ次のお話もよろしくお願いいたします。




