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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第五章 巡礼先の帝国で、本物の聖女達に出会いました
67/102

67 ジークハルトが記した『恋』と『戦術』

〇 バザル中央図書館


ミアは、図書館の隅で『剣士ジークハルトの手記』を読み進めていた。

そこにあったのは、英雄の雄叫びではなく、ひとりのタンク職としての切実な悩みと、どこか生々しい人間関係の記録だった。


●月✕日

異世界から来た勇者殿は、意外にも後方待機で戦うタイプだった。

私がタンク兼アタッカーを務める。

私の剣技と賢者ルナリアの魔法で敵を削り、僧侶リリアナの支援で耐える。

敵が弱ったところで最後は勇者殿のとどめの一撃。

これが我々の基本戦術だ。


「・・・勇者様って、前線に立って戦うイメージだったけど、意外と慎重な人だったのね」


●月✕日

勇者殿の力は凄まじい

私たちが弱らせた敵とは言え確実に仕留める。

彼は異世界から来たというが、相当な剣技だ。


●月✕日

勇者殿と僧侶リリアナがいつも一緒に行動するようになった。

私は、正直色恋沙汰はよくわからん。

ただ僧侶リリアナは少し遠慮しているようにも見える…性格なのだろう。


「・・・うん?」


本を読みながら頭の上に『?』マークが浮かんでいるミア


●月✕日

最近は、勇者殿と僧侶リリアナがいつも一緒なので、

自然と私と賢者ルナリアの二人で話すことが多くなった。

特に私たち二人は戦闘の生命線。連携が最も必要だ。

彼女も私のタンクとしての能力を信頼してくれているようで一安心。

今後も彼女との話し合いは密に行う必要があるだろう。


「・・・・・・」


●月✕日

賢者ルナリアは女王としての気高さを持っており、魔導への研鑽も凄まじく、とても尊敬できる女性だ。

彼女と話していると、私も剣士として、もっと精進せねばと思える。

そしてタンク役として彼女には魔族の指一本触れさせない事を誓おう。


●月✕日

最近、僧侶リリアナからの私への目線が厳しい気がする

私が賢者ルナリアといつも話しているから、パーティの規律を考えているのだろうが、

それを言うのであれば僧侶リリアナも勇者殿といつも話しているだろう、と思う。


●月✕日

最近、僧侶リリアナが私によく話しかけてくるようになった。

彼女のバフデバフや回復の魔法は本物だ。

魔王城が近づくにつれて敵も強くなっている。

彼女がいなければ我々は瞬時に全滅だろう。


●月✕日

僧侶リリアナから相談を受けた。

勇者殿が「俺は世界を救うために選ばれた特別な存在なんだ」と毎晩のように語ってくるのが重いらしい。

彼女は「癒やしの力は女神様からの借り物。自分はただのその器に過ぎない」という謙虚な考えの持ち主だ。

二人の根底の価値観がズレ始めている。


●月✕日

戦闘中、僧侶リリアナが私の背中にバフをかける際、指先が少し長く触れた気がした。

気のせいだと思ったが、その後の回復魔法が、以前より明らかに手厚い。魔力を注ぎ込みすぎではないか?

その分か、勇者殿への回復魔法が薄くなっているのが目に見えて分かり、気まずくて盾が震える。


「・・・あ、リリアナ様ってば」


聖女学園で語られる「僧侶リリアナ」は、常に清廉潔白で勇者を一途に支えた、戦いと慈愛を両立させたシスターとして有名だ。

歴代最高聖女の話をするときに『聖女ではないけれど…』と彼女の名前を上げる者も少なくはない。

しかし、ジークハルトの手記には、一人の女性としてのリリアナの揺らぎが記されている。


●月✕日

最近、僧侶リリアナに笑顔が増えてきている。

心が荒むこの旅で、彼女の笑顔は我々の癒しだ。

ただ、なぜか最近、勇者殿が私へのアタリがキツイ。


●月✕日

決定的な事件が起きた。

中ボスクラスの魔族との戦い。私が吹き飛ばされた際、僧侶リリアナが真っ先に駆け寄ってきた。

勇者殿が「リリアナ! 俺の援護をしろ!」と叫んだが、彼女はそれを無視して、私の傷を癒やし、「ジークハルトさん、無茶しないで」と涙を浮かべたのだ。

その夜、勇者殿が私の部屋に来て、「リリアナをたぶらかすな」と剣を抜かんばかりの勢いで詰め寄ってきた。

私はタンクだ。彼女を守るのは当然の仕事なのだが、勇者殿は何か勘違いされているようだ。


「・・・えっと、これは恋の物語かな?」

思わず本にツッコミを入れるミア。


そして、次にミアの目が留まったのは、専門職としての切実な叫びだった。


●月✕日

敵が相当に強くなってきた。私もタンクとアタッカーの兼任は厳しい。

そして、私より忙しいのが僧侶リリアナだろう。バフデバフ、回復を同時に行うのは無理がある。

どちらかに専念できるよう、専門家をもう一人追加すべきだ。

勇者殿に進言してみよう。


第二巻につづく


「・・・なんか、思っていたのと全然違う」


ミアは慌てて棚を探したが、二巻目はどこにも無かった…

最後まで読んでいただきありがとうございます。


前回のお話を修正しました。

勇者パーティの僧侶マリアと初代聖女マリアベルが完全に名前が似すぎてることに気づいたので…(;´・ω・)

なのでマリアの名前をリリアナに変更しました。ややこしくてスミマセン。


よろしければ、また次のお話もよろしくお願いいたします!

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