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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第五章 巡礼先の帝国で、本物の聖女達に出会いました
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66 バザル中央図書館

〇 バザルの街・教会


ミアに与えられた最初の仕事は、教会の炊き出しだった。

マーサの村で経験していたおかげで、ミアの手つきは実に鮮やか。

大鍋を操り、手際よく野菜を刻んでいく姿を、タリンが感心したように眺めている。


「あら~、流石ねぇ。王国は女神教の本場だけど、炊き出しの修行もやらされるのかしら? やっぱり」


妙にシスターらしくないタリンが、機嫌よく話しかけてくる。


「いえ、そういう授業はなかったですけど・・・私は以前、たまたま滞在した場所で手伝っていたので」


「ふーん。私は女神の力に目覚めなかったから、この街を出たことがないんだけど…王国の大教会には一度行ってみたいわねぇ…観光で」


「シスターとして行ってください!」


ミアのツッコミに、タリンは「あなた、いいわねぇ!」と嬉しそうに笑っている。


「ここを一人で切り盛りしてるから、なかなか手が離せないのよねぇ。シスター・ミィが来てくれて本当に助かるわ」


「・・・町の規模に対して、教会は少し小さいですね?」


「バルカではこんなものよ。王国に比べて女神教も浸透していないしねぇ」


その言葉に、ミアは改めて文化の違いを実感する。

王国では教会の権威は絶対だったが、ここではあくまで「数ある教えの一つ」に過ぎないようです。


「そうなんですね。・・・あの、私、歴史に興味があって。この国の勇者伝承などを調べられる場所はありますか?」


「それなら、この街にも中央図書館があるわ。でも、本気で調べるならやっぱりバルカ城下町の国立大図書館が一番ね」



一日の仕事を終え、まだ日が高い時間。ミアは教えてもらった中央図書館へと足を運んだ。

ひんやりとした空気と古い紙の匂い。ミアは早速「勇者伝承」の棚を探し、一冊の本を手に取る。


【バルカ帝国公認・勇者正史】

かつて魔界より現れた魔王の軍勢に対し、王国は異世界より勇者・テンジョウを召喚した。

バルカ帝国最強の剣士・ジークハルト。魔導国家の王女にして賢者・ルナリア。女神教会の最高司祭・リリアナ。

この四名からなる伝説のパーティは、魔王軍を圧倒。

最後には魔王を封印し、人間界に平和をもたらした。


「・・・これは、王国に伝わる勇者伝承とあまり変わらないわね」


ミアは小さくため息をついた。

語られている内容は王国の教科書と同じ、輝かしい勝利の記録である。

二十三代聖女の名は、やはりここでも消されているのか。


そう簡単に隠された歴史など見つかるはずもないのかも…と諦めかけた時、ミアの目に一冊の背表紙が飛び込んできた。

『勇者正史』のすぐ横。少し離れて置かれた一冊の分厚い古書。


タイトルは『剣士ジークハルトの手記』。


「・・・・・・!」


ミアはこくりと喉を鳴らした。

バルカ帝国の英雄である剣士が、公式記録とは別に残した私的な記録。

ミアは吸い寄せられるようにその本を手に取り、表紙をめくってみる。


そこには、王国の教科書がなかったことにした、別の真実が記されている予感がした。

最後まで読んでいただいてありがとうございます!


本日の投稿はここまでにします。明日以降も頑張ってまいります。

もし、よろしければ、次のお話もよろしくお願いいたします!

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