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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第四章 道中で出会った女性と共闘したら、魔王と聖女の娘でした
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57 カレンの正体

〇 ガリウスの屋敷・ベランダ


「ふーん…」


カレンが少しいたずらっぽく笑い、ミアの至近距離まで詰め寄って、その細い腕がミアの腰に回される。


「え? え? なに!? ///」


戸惑うミアの目の前で、カレンの背中から漆黒の羽根が勢いよく展開される。

禍々しい魔族の証…

ミアは瞳を見開き、蝙蝠のような羽根を見つめてしまう。


「しっかり捕まっていなさいよ!」


「え? うそ? やだ!! きゃあああああ!!」


ミアを抱きベランダから勢いよく飛び立つカレン。

ミアは悲鳴を上げながら、必死にカレンの首筋にしがみつく。

眼下にはみるみるうちに小さくなるガリウスの屋敷が見える。


空中では、どこからともなく現れた人型とも、野獣型とも言い難い、異形の飛行型モンスターたちが、二人を護衛するように陣形を組んでいる。


「お前たち! この子の力は私たち魔族をも癒やすものよ。

この子の護衛順位は私の次! わかったわね!!」


カレンの鋭い号令が飛び、一行は高速で人里離れた山岳地帯へと向かう。


「きゃああ!! お、落ちる! 落ちるぅ!!」

「ちょっとあなた! 変なトコ触んないでよっ!」


そんな事をやっている間にも、背後から魔族らしき一団がカレンを追ってくる。


「奴らのリーダーは、お父様の先代の時代から仕えていた魔界五忠臣の一人。相当な手練れよ。

戦闘になったらアナタを守る余裕はないから、気を付けなさい!」


いつ夜空に落とされるかもわからない状況で、情報量が多すぎて戸惑うミア。

「お、お父様と言うのは?」

カレンにしがみつきながら叫ぶ。


「あ…」

一瞬カレンの胸がビクンと動いたのが分かった。


観念したかのように叫ぶカレン。

「今、封印されてる魔王よ!あなた達人間も良く知ってるでしょ!?」

「やはり、魔王の娘さんだったんですね・・・カレンさん」


「話は後よ!ひとまずアイツを退けないと!!」


魔王の娘が、なぜ魔王の重臣に追われているのか?

ミアには見当もつかないが、今はそんな事を考えている場合ではなさそうだ。


街から十分に離れ被害が出ないと判断したのか、カレンは追手との決戦の場として、険しい岩肌が続く山岳地帯を選び着地した。

着地と同時にミアも付近に投げ捨てられる。


(ら・・・乱暴すぎませんかね!?)

そう思いながら立ち上がるミアだったが、その直後、ついてきたことを少し後悔してしまうほどの殺気に襲われる。


追撃の敵の魔族たちも次々に地面に着地していく。その中心には、優雅に笑う男性型の魔族の姿。

スーツにメガネ。一見人間のようにも見えるが、背中の羽根と爬虫類のような目は魔族の証だった。


ビリビリと感じる、肌に突き刺さるような殺気…


魔族の男(?)は人間の言葉をしゃべり始めた。

「カレン様。困りますなぁ、人間界に勝手に出ていかれては… あなたは魔王様の忘れ形見。

魔王様復活の日まで大人しくしていただかねば、もし何かあれば私が魔王様に怒られてしまいます」


「ふん! お父様が封印された後、お母様に対してあんな事をしておいて、よくそんな事が言えるわね!

お父様が復活し次第、貴様がどうなるか… 首でも洗って待っていることね」


カレンの言葉を、男は「嘆かわしい…」と鼻で笑う。

「カレン様、巫女姫様をどこに隠したのか教えていただきましょう」


(巫女姫様・・・?)

ミアも初めて聞く名前だ。


「そんな事、話すわけないでしょ?頭悪いの?」

カレンは腰に手を当てて、馬鹿にするように笑っている。

しかし、その直後カレンも本気モードに入り、戦闘態勢の構えをとる。


「力づくで話していただくしかないようだ… やれっ! 死なない程度にな」

メガネ魔族の号令と共に部下の魔族たちが一斉に動き出す。

ついに魔族同士の本格的な戦闘が始まった。


ミアは自分と周囲に防御壁を展開する。

初めての命を落としかねない本物の戦い。膝の震えが止まらない。


(エレナちゃんも、いつもこんな恐怖と戦っているんだ・・・)


ミアは親友の姿を思い出して、なんとか気持ちを強く持とうとする。

いつの間にか、マーサの杖を握る手は汗でびっしょりになっていた。

最後まで読んでいただいてありがとうございます!


よろしければ次もまたよろしくお願いいたします。

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