56 お節介なシスター
「ちょっとね、トラブルが起きてしまったのよ。私の国も一枚岩じゃないのよね。
まったく、どこから嗅ぎつけたんだか… 私みたいな美少女になると、醸し出す『匂い』でもあるのかしら?」
「・・・言っていることの意味が分かりません」
「うるっさいわね!!」
ミアは「トラブル」の意味や、国が一枚岩じゃないという不穏な言葉を心配して言ったのだが、
カレンはジョークへのツッコミと勘違いして少し顔を赤らめる
「ちょっと私、狙われちゃってるみたいなのよ。ガリウスってのは悪い人じゃなさそうだし、私のせいで彼らが巻き込まれて死んだら寝起きが悪いでしょ?
私はここを離れるわ。彼らには適当に言っておいて」
「え? 何を言ってるんですか、こんな夜中に!」
「言ってもわからないわよ。じゃあね」
カレンはベランダの手すりに足をかける。
そのまま闇に消えようとする彼女の背中が、なぜか寂しげに見えてしまった…
気がつくと、ミアはカレンの細い腕を強く掴んでいた。
「わかりますよ・・・」
「はぁ? 何がわかるってのよ?」
カレンが突き放そうとするが、ミアは真っ直ぐに彼女の瞳を見据えた。
「カレンさんは・・・魔族の血を引いていますよね?」
夜風が止まり、カレンの瞳が大きく見開かれる。
「…なんで、そう思うの?」
「女神の力をあんな残酷な使い方をする人は、人間の中にはいません。
それに人間界がどうこうと言うようなことをご自身でおっしゃってました」
「なるほど、聞こえてたんならそう言いなさいよ…
なら、どうするの? 女神教会のシスターとして、人間の敵である魔族の私を討つのかしら」
カレンは腕を振り払い、鋭い殺気を放つ。しかし、ミアは一歩も引かなかった。
「いいえ。あなたが誰かに狙われているのなら、私があなたをお守りします。私の防御魔法なら、きっとあなたの役に立つはずです」
「守る? 私を?」
カレンは呆れたように鼻で笑っていたが、ミアの一点の迷いもない覚悟のこもったな眼差しを見て、笑うのをやめる。
ガリウス親子が野党に襲われていた時と同じ。ミアは理屈ではなく、目の前で困っている者を放っておけないのだ。
それがたとえ、人類の敵とされる魔族の血を引く者であっても。
そんなミアの覚悟をみて、なぜかカレンの表情が少し和らいだような気がした。
「あの子に似てるわね…」
「え・・・?」
(・・・あの子?)
その時、屋敷の周囲を囲む森のざわめき始めた。
多くの殺気が、ベランダにいる二人に集中される。
ミアは全く怯まず、マーサの杖を握りなおすのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
次回は二人の共闘バトルに入ります!
よろしければ、次回もよろしくお願いします。




