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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第四章 道中で出会った女性と共闘したら、魔王と聖女の娘でした
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55 うしろに立つカレン

〇 ガリウスの屋敷・廊下


お礼の事は明日話し合うという事で、本日の夕食はお開きとなった。

「ふぅ・・・ なんとか終わったわね。危なかった・・・」


廊下を一人で歩きながら、ミアは胸をなでおろした。


「何が危なかったのかしら?」

「きゃー! う、後ろにいるんなら声をかけてください!!」


音もなく背後に立っていたカレンに、ミアは飛び上がらんばかりに驚いて抗議する。


「だから今、声をかけたんじゃない。」


「うぅ・・・」

(やばい・・・これ以上話していると、正体がばれそう・・・)


「わ、私、今日はとっても疲れているので! おやすみなさい!」

そう言って、逃げようとするミア。

しかし、カレンがその肩を掴もうとした瞬間、救世主が現れた。


「シスター・ミィ様ぁ!」


ガリウスの娘たちがミアに駆け寄ってきた。

「ミア様のことを是非詳しくお聞かせください!」

「勇者パーティのエレナ様と、お会いした事はありますか!?」


きゃっきゃとまとわりついてくる姉妹。ミアはこれ幸いとばかりに二人に微笑んで答えた。

「ええ、いいですよ。ではお部屋でお話ししましょうか! じゃあ、カレンさん、おやすみなさい!」


一人廊下に残されたカレンは「チッ!」と舌打ちするのだった。



部屋に入ると、三人の「女子会」が始まった。

話を聞けば、姉のアリシアが十五歳の時に女神から授かったスキルは「鑑定」だったと言う。

まさに商人の家系にはうってつけのスキル。


「それまでは、良いお婿さんを貰えるようにって、お作法事ばかり習わされていたんですけど、

鑑定に目覚めてからは、お父様ったら私を跡取りにするって決めて、毎日商人としての知識を叩き込まれて、もう大変なんです」


そう言って笑う姉の顔は、どこか誇らしげでもあった。

女神のスキルは、一人の少女の運命を劇的に変える力を持っている。


妹のメイは十四歳。もうすぐ自分も女神の祝福を受けるのだと、どんなスキルが自分に舞降りるのかと胸を膨らませている。

彼女は聖女への憧れがあるようで、女神魔法の顕現を願っているという事だった。


(そんなに楽しいものじゃないわよ、聖女学園も・・・)

口には出さなかったが、ミアは少しだけ複雑な気持ちになった。


やがて夜が更け、メイがうとうとし始めたところで、おしゃべり女子会はお開きとなる。


「ふぅ・・・久々に話すと楽しかったわね!」


二人を送り出し、ミアは風に当たりにベランダへ出る。

二階のミアの部屋からは、広い庭越しに街が一望できる。

宝石を散りばめたような夜景にミアはため息を漏らした。


「・・・素敵」


しかし、ふと視線を庭の片隅へ落とした時、ミアは心臓はドキリと鳴った。


月明かりの下、庭の隅でカレンが誰かと話している。

相手は黒いローブを深く被った、得体の知れない人物。

何かトラブルが起きているのか、真剣な表情のカレン。


(カレンさん・・・誰と話しているのかしら? 相手の人は・・・)


よく確認しようとした時、カレンが顔を上げ、目が合ってしまった。


「わっ!」


と、ミアが驚いた次の瞬間。

庭にいたカレンの姿が、まるで陽炎のようにふっと消えた。


「え? あれ??」

よく目を凝らして見直したが誰もいない。確かにさっきまであそこにいたはずだが…


「どこを見てるのよ?」

背後からいきなり声をかけられるミア。


「きゃあーーーっ!!!」


冷たい声がすぐ後ろから響き、ミアは悲鳴を上げて振り向いた。

そこには、さっきまで庭にいたはずのカレンが、ミアをじっと見つめて立っているのだった。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。


本日の投稿はこれでおしまいになります。明日以降も頑張ります!

よろしければ次のお話もよろしくお願いします!

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