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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第四章 道中で出会った女性と共闘したら、魔王と聖女の娘でした
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47 聖女はお風呂に入りたい

〇林の街道


名もなき村を離れて一週間。

マーサから譲り受けた地図を頼りに進んでいるものの、街が見えてくる気配はまだない。


野宿の際には、マーサの杖に魔力を込めれば、魔力の消費なしで一晩中、魔法の防御壁を維持できる。

おかげで睡眠中の安全性は格段に上がった。


(・・・街は、まだかしら。もう一週間もお風呂に入っていないなんて)


王宮にいた頃は、常に新しいお湯が流れ込んでくるプールのような湯船に浸かっていた毎日。


9歳から学園と王宮で育って来たミアにとって、この清潔感の欠如だけはどうしても慣れることができなかった。

途中に泉や川があれば、今のミアなら人目を忍んでそこで水浴びもできようが、それすらなかったのだ。


修道衣の襟元を引っ張り、自分の匂いを確認しては、ミアはゲンナリとした表情で、深くため息をつく。

(自分で選んだ道だもの、贅沢は言っていられないわね。)


背後から、カラカラという車輪の音と馬の鼻息。馬車が近づいてくる音がする。

背後から来るという事は、王都からの馬車だろうか?


ミアはとっさに街道脇の茂みに身を潜め、やり過ごすことにした。

通り過ぎていくのは、王家や貴族の紋章はないが、随所に金細工が施された立派な馬車だ。

おそらくは裕福な商人か何かだろう。


「今の私には、関係のないこと・・・」


そうつぶやいて、馬車が見えなくなるのを待って、草むらから出て、再び歩き出したミアだったが、その数分後、前方の異変に気づいた。


激しい怒号と悲鳴。

先ほどの馬車が、十数人の野党に囲まれていた。

御者はすでに息絶え、中年の商人が地面に組み伏せられ、無慈悲に踏みつけられてしまっている。

さらに、馬車の中からは十五、六歳と言ったところの身なりの良い少女が、乱暴に引きずり出されようとしていた。


(ま、まずい!)


ミアは、迷わずマーサの杖を握りなおして駆け出した。


「あなた方は何をしているのですか!?馬車から離れてください!!」


素早く、少女の横に走り込み黄金の防御壁魔法を使う。

少女を取り囲んでいた野党たちが、見えない力ではじかれたかのように四方へ吹き飛んだ。

ミアは倒れていた男にも声をかける。


「大丈夫ですか!? 今、助けます!」


「おお……し、シスター殿……。どうか、娘たちを……助けて……」


男は虫の息で、必死に手を伸ばした。


「はい! お任せください!」


そう答えたミアだったが、直後に違和感を覚える。

(・・・娘たち? 馬車から降りてきたのは、この子一人だけど・・・)


「おい! そこの女! 動くんじゃねえぞ!!」


背後からの鋭い叫びに、ミアの心臓は大きく跳ねる。

振り返ると、少し離れた位置で、野党のリーダー格と思われる男が、もう一人の少女を羽交い締めにしていた。

十三、四歳ほどだろうか。愛らしい顔を涙でぐしゃぐしゃに濡らした少女の首筋には、冷たく光るナイフが押し当てられている。


「妙な術を使うんじゃねえ! 少しでもおかしな動きを見せたら、このガキの喉元をかっさばいてやるからな!」


(もう一人いたの!?)


ミアの足が止まった。

防御壁は、自分や隣にいる者を守ることはできる。だが、離れた場所にいる人質を救う魔法を、ミアは持ち合わせていない。


野党たちは、ミアの『魔法の壁』のせいで手が出せないと知るや否や、じりじりと距離を詰めてきた。


「その杖を捨てな! …へへ、このガキがどうなってもいいのかよ?」


「・・・ぐぅ」


唇を噛み締めるミア。

マーサの杖を手放せば、今度はミア自身と、足元で震える姉の方が餌食になる。

しかし、杖を持ったままでは、囚われた妹が殺される。


(どうすればいいの・・・)


警戒しながらも、ミアに詰め寄る野党ども

窮地に立たされるミア!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


新章開始から早速ミア大ピンチです。

本日の投稿はこれで最後になります。

よろしければ、明日以降の投稿もよろしくお願いいたします!

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