4 手抜き疑惑
〇王宮・聖女の間
ベッドに散らばったポテトチップスを侍女が片付ける中、
現聖女リリィは大臣が持ってきたミアの詳細な成績表をじっと見つめている。
その表情は、先ほどまでの自堕落なものとは違って真剣だ。
「89位って…… ビミョーだなぁ…… これ、本当にあの子なの?9歳だよ!?
私でも13歳で聖女学園に来て『超天才』ってチヤホヤされてたのよ?」
「はぁ…… リリィ様がおっしゃることももっともなのですが……
しかし、学園から直に取り寄せた資料でございます。間違いはないかと」
冷静に返す大臣だが、かつての神童の微妙過ぎる順位にリリィは考え込んでしまう。
「う~む…… 気になるわぁ……」
「何がでございましょうか?」
「この成績。最後に急に33位なんて上位に食い込んで、年間総合順位を89位で終えてるのよね……」
リリィが指さした資料の一部。大臣が確認しながら答える。
「さようでございますな。それが何か?」
「これ、絶対わざとやってるでしょ。
年間総合二桁なら仕事も結構あるわけだし、そのために最後に少し本気出したのよ。
バレないようにわざわざ『33位』なんて、ギリギリ年間100位以内に入るように調整したようにしか見えないじゃない」
リリィの道楽に付き合わされていた雰囲気を醸し出す大臣だったが、ピクリと反応する。
「……! そう言われてみると、確かにそのように見えてきますな。
しかし、そのような芸当が可能なのでしょうか?」
「彼女は9歳で魔法に目覚めている。歴史に名が残るレベルの天才なんだもの。
その気になれば、いつでも1位だって取れる実力があるはずよ……」
「しかし、なぜ力を隠すようなことを?」
「そこなのよねぇ…… 女神教会絡みと言うこともあり得るのかしら……?」
「このミアと言う少女が、規格外の天才なのであれば、ありえない話ではありませんな」
大臣から目を離して顎に手を当て、考え込んでしまうリリィ……
「では、このミアを今年の聖女候補といたしますか?
89位という数字では少々、周囲への説明に問題が出るかもしれませんが……」
リリィは二ヤリと笑い答えた。
「そこは『9歳の神童』っていう肩書きを引っ張り出せば問題ないでしょ?」
感心したような表情の大臣
「なるほど、流石でございます。聖女様」
「あ、いま『コイツ、ただのバカじゃないんだ』みたいな顔したでしょ!?」
「…………」無言で目をそらす大臣
「いや、否定しろよ!
聖女って莫大な権力があるんじゃないのかよ!? 」
子供のように喚き散らしながら、大臣にツッコミを入れる聖女。
大臣は一つ咳払いをして、彼女のツッコミを受け流した。
「まあ、まだ決めてないけどね……
このエレナって子も11歳で魔力に目覚めていて、今では第三神界魔法まで使える正真正銘の大天才なんだしね!」
「早急に決めてもらわねばなりません。」
「……これって、卒業式の日に、私が直々に本人に伝えてあげるんだっけ?」
「左様でございます。もちろん、今年も聖女様には卒業式典に出席していただきます」
「ふ~む…… わかった! じゃあ、卒業式で二人の顔を見てから決めることにするわ!」
そう言って窓の外を見つめる聖女。その視線の先には、運命の卒業式が待つ聖女学園の校舎が見えるのだった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
恐らくミアは真面目にやってこの順位だと思いますが……(;´・ω・)
よろしければ、次のお話もよろしくお願いします。




