39 巡礼先はバルカ帝国にします!
〇名もなき村・教会
「聖女様は!? 聖女様はその後どうなったのですか!? 罠でも何でも、聖女様のおかげで魔王を封印できたのでしょう!」
ミアは身を乗り出し、叫んでいた。あまりに非人道的な仕打ちに、胸の鼓動が激しく打ち付ける。
マーサは視線を伏せ、絞り出すような声で言った。
「…お心の美しい方だったのです。封印後、魔王の心を裏切ってしまった自分を恥じ、自ら…」
「そんな!! ウソです!! そんな話は信じません!! 聖女様がそんな事!そもそも勇者様がそんな事するはずがありません!!」
ミアは激しく首を振った。
信じてきた歴史が、正義が足元から崩れ落ちていく。
マーサは顔を上げ、静かにミアを見つめた。
「ならば… 自分の目で、耳で、確かめてみますか? ミィさん…」
「え・・・?」
「私が若い頃に巡礼した先は、バルカ地方だったのです。
あの国は、勇者パーティの剣士様が帰った国。
女神教会と王国が伝えたこの国の歴史とは、少し違う真実が伝えられています」
「バルカ帝国・・・」
マーサは冷めた紅茶を一口飲み、窓の外の夜の闇を見つめた。
「それに王都では、王子様が帰還して新しい聖女様が誕生したと聞いています。その聖女様は、もともとバルカ帝国の聖女様だったとか…
となると、今の帝国は聖女不在で、さぞ困っていることでしょう。
あなたの巡礼先としては、ピッタリなのではありませんか?」
ミアはハッとした。
自分が王宮を追われるきっかけとなったイザベラ。
彼女が捨てた国へ自分が行く…
皮肉な運命だが、そこには自分が知るべき何かがある予感がした。
「・・・確かに。この力で、一人でも多くの方を救い、勇者伝説の真実を知ることができるのなら・・・」
ミアの目的地が決まった。
後は、防衛手段を身につけるだけだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
バルカへの旅に出るまでには、しっかりとマーサから護身魔法を教えてもらわないといけませんね。
よろしければ、次のお話もよろしくお願いいたします!




