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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第二章 聖女として頑張ったら、国外追放になりました
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27 王宮の聖女候補たち

〇王宮・女神の間


大臣「ところで聖女様。そろそろ王宮内の『聖女候補』たちとの顔合わせも必要でしょうな。


彼女たちも、希代の大聖女と噂されるあなたにお声をかけていただければ、さぞ励みになるでしょう」


「え?……あ、あの、それはまた次の機会と言うわけには…… 心の準備が……」


「何をおっしゃいますやら。民衆にあれほど慕われる聖女様です。

皆、あなた様が挨拶に来られるのを待ちわびておるでしょう。


ちょうど今は休憩時間のはず。さあ、こちらへ」


(そ、そういう問題じゃなく……)


ミアは心の中で悲鳴を上げた。聖女候補といっても、みんな自分より年上。

しかも、学園の成績でいえばほとんどがその学年の主席や、それに見合う成績。

さらにミアよりも遥かに上の神界魔法を操る超エリートたちだ。


そんな彼女たちの前に、自分のような『89位の見栄えで選ばれたラッキー女』が

「私が聖女です」なんて言って顔を出せばどうなるか……



〇王宮・聖女候補詰所


扉が開くと、そこには純白の法衣を纏った十人程度の女性たちがいた。

部屋の空気は、一瞬にして凍りつく。


「皆様、お待たせいたしました。聖女ミア様がお目見えですぞ」


華やかな雰囲気が、大臣の声で一転、一瞬にして凍りついた。


そこにあるのは敬意ではない。

自分たちより『下』のはずの女が、なぜ『上』に座っているのかという、剥き出しの嫉妬。


皆ミアに注目している。


その中心に座る、ひときわ魔力の高そうな一人の候補生、ルイーズがゆっくりと立ち上がり、ミアを上から下まで値踏みするように眺めた。


「あら……。あなたが噂の『奇跡の聖女様』ですか。


学園では万年最下位近くだったと聞き及んでおりましたが、先日の雨と言い、陛下の御快復ぶりと言い、よほど『特別な何か』をお持ちのようですね?」


『特別な何か』という言葉には、「努力もせず、たまたま得たチートスキルか何かだろう」という冷ややかな嫌味が混ざっていた。


周囲の候補生たちからも、羨望というよりは『品定め』の視線が突き刺さる。



(……知ってた。絶対こうなるって知ってたわよ!)



今すぐ泣きだしたい気分のミアでしたが、とりあえず、全員の顔を見渡す。


すると、部屋の隅で気まずそうに目を逸らす少女と目が合った。


「イリアちゃん!?あなたもここにいたのね!」


「…… あー...… ミア……いえ、聖女様。お久しぶりでございます……」


イリアは、ミアと同じ「神童世代」の一人。

肩下ぐらいまでの紫色の髪、前髪をぱっつんに切りそろえている少女。


15歳で女神の力に目覚めた一般組ながら、猛烈な追い上げで最終順位5位を勝ち取った一般生徒の星だった。


セレスティーヌとは対照的で、かつてミアの成績がまだ上位だった頃は熱心に教えを請いに来ていたが、

ミアの順位が下がり始めるやいなや、驚くべき早さでミアから離れていったちゃっかり者。


彼女にとって人間関係は『投資』であり、当時のミアは『暴落した銘柄』に過ぎなかったのだ。

その彼女が今、目の前の『最高値の聖女』をどう見ているのか……



「あなたがここにいてくれるなんて心強いわ!」


歩み寄り、手を取ろうとしたミアを、イリアは微かな拒絶の仕草で制した。


ここでは『聖女』と『候補』という明確な上下関係があることを、彼女は理解している。


するとルイーズがにやにやとしながら寄ってくる


「あらあら、聖女様。この娘は少しでも良い立場を得ようと、あなた様に取り入ろうとしているだけですわよ?

お相手をする必要などございませんわ」


(取り入るも何も、今、思いっきり握手を拒否されたんだけど……)


ミアは内心でツッコミを入れつつ、リーダー格のルイーズと他の聖女候補を見据えた。


「皆さんにお聞きしたいのですが、かつてこの国の聖女候補から、バルカ帝国に渡り、バルカの聖女となったイザベラ様の事を、何か知っている方はいませんか?」


室内がザワついたが、返ってくるのは否定ばかりだった。

彼女が王国を去って、すでに5年近くがたっている……知る者がいないのは仕方のない事だろう。


本当に知らないのか、彼女の話をしたくないのかは定かではないが、これ以上情報引き出すのは無理そうだ。


「……そうですか。分かりました。


私はまだ未熟で、一人ではできないことも多いんです。だから、皆さんの力を借りることも多いと思います。その時は、どうかよろしくお願いします!」


聖女が、自分たちのような聖女候補に対して深々と頭を下げる。


マウントを取ろうと構えていた彼女たちにとって、自分たちに頭を下げて、頼るミアの態度は、

戦う土俵すら奪われるような、拍子抜けするほど鮮やかな『肩透かし』だった。



(うーん……ここでも収穫は無し。やっぱりイザベラさんの正体がイマイチ掴めないわね……)


しかし、イリアのような打算的だが実力のある学友が城内にいることは分かった。

今のミアにとってはそれだけでも心強い話だった。


しかし、彼女がミアの味方になってくれるかどうかは不透明だった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


イリアは学年5位の実力者。今後ミアのサポートをしてくれると心強いですね。

よろしければ次のお話もよろしくお願いいたします!

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