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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第二章 聖女として頑張ったら、国外追放になりました
23/100

23 最高司祭セシリア

〇女神教会・大聖堂


荘厳なパイプオルガンの音が響き渡り、ステンドグラスから差し込む光がミアを包み込む。



「聖女ミア様、ご入来ーーー!!」



その号令と共に、居並ぶ神官たちが一斉に深く頭を下げた。


ミアは緊張で震える足を隠し、長いレッドカーペットをゆっくりと進む。


その先には、階段の上に豪華な装飾が施された高座と、その傍らに佇む一人の美しい女性がいた。


物静かながら、春風のようなさわやかさをまとった女性。

彼女の名はセシリア・フローレンス。女神教会の最高司祭、事実上のトップである。


「この度は、お招きいただきありがとうございます。最高司祭セシリア様……」


ミアは高座の手前で足を止め、作法通りに膝をつこうとした。


そのミアの姿を見るや否や、セシリアはドレスの裾をなりふり構わず掴み上げ、慌てて階段を駆け下りてくる


「いけません、聖女様!あなたがその椅子にお座りになるのです!

私が下りるタイミングを誤り、不敬な形になってしまい申し訳ございません!」


教会の長である最高司祭が、文字通り血相を変えて階段を下りてくる姿に、ミアは焦ってしまう。


「も、申し訳ありません、つい……」


「ふふ、見なかったことにいたします。さあ、上へ」



玉座のような椅子に座り、階段の上から教会の幹部たちを見下ろす景色……


こういうのが好きな人もいるのだろうが、今のミアは緊張で固まってしまっており、

それを楽しむ余裕も、そんな趣味も彼女にはない。


なんだか、幹部たちが、一人一人自己紹介をしているようだが、全く頭に入ってこない……


ニッコリと笑って、頷いていくミア。

こういう時、雰囲気にのまれてしまうのはミアの悪い癖であった。



〇最高司祭の私室


儀式的な挨拶を終えた後、ミアはセシリアの私室へと招かれた。


侍女たちが手際よく紅茶を淹れ、セシリアが目配せをすると、みんな部屋から出ていき、誰もいなくなった。


「ここでしたら、おかしな目はございません。……どうぞ、おくつろぎください、聖女様」


セシリアは慈愛の塊と言ったような優しい笑顔で、ミアを見つめている。

もしかすると笑顔の奥で、聖女ミアの品定めを行っているのか……?


「は、はあ…… あの、セレスちゃん……いえ、セレスティーヌは……」


とりあえず、早く知った仲であるセレスティーヌに会いたい。


「もちろんセレスティーヌも元気にしていますよ。

彼女は実に優秀です。後で二人きりの時間もお作りしましょう。


……ですが、その前に少しだけ、私のお話を聞いていただけますか?」


そういうとセシリアは少しだけ眉を顰め、真剣な眼差しをミアに向けた。


「セレスティーヌから聞いていた通りですね……

あなたは、ご自身の立場や重みをまだ理解していらっしゃらない」


「……重み、ですか?」


「ええ。聖女がこの教会へ来るということは、それほど簡単な話ではないのです。

本来、あなた様は我々にとって女神の化身であり、頂点として崇めるべきお方なのです。

それがこの女神教会における聖女と言うもの。


聖女様には、まずはそこをご理解いただきませんと……」


「あ、はい……」


ミアだって、軽いノリでここで来たわけじゃないが、そういう話でもなさそうだ。


セシリアは、教会の現在の状況を語り始めた。


「お恥ずかしいことに、今の教会は一枚岩ではありません。


教会は現在、我ら『最高司祭派』、そして『大司教派』など、大小五つの派閥に分かれています。


我ら最高司祭派は、王国と手を取り合い、本来の女神教の教えでもある、初代聖女マリアベル様の教えに従って人々を救おうとする穏健派。いわば、あなたの味方です」


(そうだったんだ……)


「ですが、中にはあなたを取り込み利用しようとする者、あるいは、あなたを排除して自分たちに都合の良い『偽りの象徴』を立てようとする過激な派閥もございます。


いわば、タヌキとキツネの化かし合いのような有様なのです


……どうか、軽率な行動は取られませんよう。


この部屋だって、敵対勢力にいつ乗り込んでこられても不思議ではないのですよ」


ミアは、持っていたティーカップが微かに震えるのを感じた。


王宮の毒殺未遂だけでも手一杯だというのに、教会の内部抗争にまで巻き込まれようとしている。

自分が想像していた以上に、この国を巡る情勢は複雑で、恐ろしいもののようだった。


「……さて、この話はここまでにしましょう。

セレスティーヌ!こちらへ」


セシリアが扉の向こうに声をかけると、ゆっくりと扉が開き、一人の少女が入ってきた。


懐かしい顔。



セレスティーヌは、ミアと目を合わること無く、うつむいていた……

最後まで読んでいただきありがとうございます。


女神教会のごたごたに巻き込まれなければ良いですが…


よろしければ、次のお話もよろしくお願いいたします。

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