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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第一章 卒業順位89位。なのに次期聖女に選ばれたのは私でした
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2 89位の『元』神童

この世界の子供は15歳になると、誰もが女神の神託を受ける。

そこで女神から一つだけスキルを授かる。


スキルの種類は『剣士』『魔法使い』『飼育』『鑑定』等、戦闘系から生活系まで様々で

そのスキルで子供の将来の職業も、ほぼ決まると言っていい。


希少価値の高い有能スキルを手に入れた子供は、その時点で人生の勝ち組が確定する。


しかし、ごく稀に15歳の神託を受ける前にそのスキルの才能を発揮するものもいる。

そういったものは、15歳で神託を受けた一般的な子供に比べ、極めて高い能力を身に着ける事が多いという……


ミアはのどかな農村で生まれた。

魔法への目覚めは、これまで超天才と言われた子供達でも12歳が限界とされていた。

しかし、ミアはわずか9歳で『女神魔法』に目覚めた。

それは世界の常識を塗り替える事件だった。


噂は瞬く間に王都まで伝わり、わずか数ヶ月後には女神魔法の神託を受けた子供たちが集う『聖女学園』への入学が決定した。

ミアは本来15歳で入学する学校に、9歳にして特待生として入学した。

そんなミアの事を、人は『神童』と呼んだ。


10歳になる頃には、彼女は第一神界女神魔法のほとんどを使いこなし、

そして使い手が極めて少ないと言われる『天候系』の女神魔法までもマスターしていた。


日照りに雨を降らせ、嵐を鎮める。それは第一神界といえど、人智を超えた『天変地異』に等しい力。

この頃は、誰もが彼女こそが史上最高の聖女になると確信していた……



しかし、彼女の成長はそこで止まってしまった。


本来、第一神界魔法をある程度マスターしていけば、おのずと第二神界魔法へと至るはずが、

なせか彼女は、どうしてもその壁を越えられなかった。


15歳で『女神魔法』の神託を受け入学してきた同い年の少女たちが、次々とミアを追い抜いていく。

16歳になる頃には、かつての『神童』の姿はどこにもなかった……


そして現在。


18歳のミアが中庭のベンチに座り、最終試験の詳細な結果通知書を食い入るように見つめている。


「わあ、やっぱり筆記が良かったのね。

筆記順位9位…… 二桁に入るのなんて何年ぶりだろう。

テスト勉強で山を張ったところが、面白いように当たったおかげね……

ふふ、本当に運が良かったわ、女神様に感謝しなくては!」


ミアは「う~ん……」と声を上げながら、腕を伸ばしてベンチの背もたれに体を預ける。

空を仰ぎ、猫のように大きく伸びをする。

その抜群のスタイルが強調されるが、本人は無頓着だ。

低順位から何とか這い上がった、ささやかな達成感に浸るミア。


そこへ、冷ややかな声がかけられた。


「……89位で満足なのですか? あなたは」


ミアが驚いて顔を上げると、そこには一人の少女が立っていた。


視界を遮るように覗き込んできたのは、ストレートロングのダークブルーの髪をなびかせた、厳しい瞳の美少女。


「エレナちゃん!?」


声を上げたミアは慌てて姿勢を正し、エレナに向き直る。


エレナは、ミアが入学した二年後に「11歳の天才」として現れた少女だった。

本来スキルの目覚めは12歳が最速とされる中で、11歳で女神魔法に目覚めた彼女もまた、紛れもない天才である。


能力が停滞してしまったミアとは対照的に、エレナは順調にその才能を開花させ続け、

今や学園の頂点に君臨している。


「主席での卒業おめでとう、エレナちゃん! これで聖女候補ね。

お城で聖女様から直々の指導が受けられるなんて、本当にすごいわ!」


ミアは、嫉妬の欠片もない純粋な笑顔を向ける。

その優しさは、敗者の卑屈さではなく心からの祝福である。


しかし、その言葉を聞いた瞬間、エレナの眉がピクリと動いた。


「……」


エレナは何かを言いかけ、不快そうに唇を噛む。

彼女は「フン!」と言いうとミアに背を向け、何も言わずににその場を立ち去ってしまった。


「あ、あれ……? 怒らせちゃうようなこと、言っちゃったかな……」


一人残されたミアは、去っていくエレナの背中を、ただ見送ることしかできなかった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

もし、面白ければ幸いです。

よろしければ、次の話もよろしくお願いいたします。

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