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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第二章 聖女として頑張ったら、国外追放になりました
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17 谷間世代の聖女

〇王宮・聖女の間


聖女の間に入ってくるリリィ。少し寂しそうな表情である。

「……なんか、すぐにはお会いできないみたいね。王様もご病気がひどくてさ」


「国王陛下がご病気を患っておられるという噂は、本当だったんですか!?」


「まあねぇ……アタシが聖女になった頃は、まだまだお元気だったんだけど。

ここ四、五年くらいで急激に悪化しちゃってね」


「陛下はまだ、そこまでお年ではなかったはずですが……」


「まだ五十代だったはずだけど。うーん……」


リリィは腕を組んで考え込んでしまう。

しかし、不意にパッと明るい顔を作ってミアを見た。


「ところで、アナタもようやく覚悟が決まったみたいね」


「……はい。私は、目の前で困っている方たちを救っていくところから始めることに決めたんです。

聖女とは与えられる称号じゃない。必要なのは能力の高さじゃない、救いたい心と実行力だけなんです!

これは……」


「初代聖女マリアベル様の言葉……ね」


先に言われてしまい少し顔を赤くするミアだが、すぐに少し上を向く。


「とにかく、覚悟は決まっています!」


そんなミアをじっと見ていたリリィ


「……やっぱり美人は絵になるわぁ あなた、結構歴史に名を残す聖女になりそう」


「……ふざけてます?」


そう言ってリリィをジト目で見るミア


「え?いや、だって。

あなたの姿をぜひ描かせてほしいって言ってる絵師達が、もう結構お城に来てるわよ?マジで」


「……なんだか複雑な気持ちです」


二人の間に流れる落ち着いた時間。


「陛下にお会いできるのは、一月後くらいになるかもね。

それが終われば、アタシはすぐにお城を出て故郷に帰るわ」


「…………」


ミアは何も答えたくなかった……


頼りない、ふざけた先輩だと思っていた。

けれど、この奔放な空気の裏に、どれほどの孤独と重圧があったのだろうか?

今のミアには少しだけ理解でき始めていた。


それに、この城に来てミアが頼ることができたのはこの人だけだった。

悔しいが、自分はこの「ポテチ聖女」を心から信頼し始めていたのだ。


そんなミアをちらりと横目で見て話を続けるリリィ。


「アタシってさ、『谷間世代の聖女』って呼ばれててね……


前の聖女様が、まあ有能でデキる人だったの。

魔力はもちろん、王国と教会の間もうまく取り持ったりしてさ。

アタシのこともよく面倒見てくれたわ」


リリィは遠い目をして、誰もいない空間を見つめる。


「みんな彼女に頼りっきりだったんだけど、いよいよ高齢で力が落ちてきた時、後継者が全くいなかったの。

女神魔法の使い手の不出来な年が続いてさ……

アタシの年なんて、15歳の女神の祝福の前に女神魔法に目覚めたアタシ一人だけ。

前後の年にも優秀な候補がいなくてね。それで、消去法で決まったようなものだったのよ」


リリィの背中が小さく見えた。

誰も頼る者がいない中で、有能な前任者と比較され続け、一人で「聖女」という偶像を維持し続けてきた十数年。


「アンタは、優秀な当たり年の『神童』なんて呼ばれてたんだからさ。

まあ頑張りなさいよ!  アタシは一切フォローしないけどね!」


そう言って笑うリリィ。


「……本当に、一言余計なんですよ」


ミアはなぜか、悲しそうな顔でつられて笑ってしまった。


以前なら、いい加減だと感じていた『フォローしない』という言葉も、

今では、逆に自分が力を貸さなくてもやっていけるでしょ?

という彼女なりの信頼の言葉に感じられるのが不思議だった。

最期までに読んでいただきまして、ありがとうございます!!


よろしければ、次のお話も、またよろしくお願いいたします。

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