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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第一章 卒業順位89位。なのに次期聖女に選ばれたのは私でした
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11 主席少女と元神童

〇王都・城下町大通り


石畳の道を、ミアは当てもなく歩いていた。

王宮でのリリィとのやり取り以来、彼女の心は終始乱れている。


(やっぱり無理だよ…… 聖女なんて、国を背負うような重責。私には到底無理だ……

ニートになるのは怖いけど、村に帰ろうかな。

第一神界魔法が使えるなら、村の診療所くらいなら雇ってもらえるはずだし……)


現実逃避気味に故郷の風景を思い浮かべていると、背後から鋭く、けれどどこか懐かしい声が響いた。


「……ミア」


振り返ると、そこには旅の僧侶の衣装に身を包んだエレナが立っていた。

その佇まいは聖女学園の制服を着ていた、学生時代よりもいっそう凛々しく輝いて見える。


「あ、エレナちゃん!」


ミアが駆け寄ると、エレナは清々しい表情でかすかに笑ったように見えた。

「結局、あなたには勝てなかったわね…… 私は」


「え?……エレナちゃんは主席で私は89位。口に出して言うのも情けないわね」


そう言って自嘲気味に笑うミア。


「だけど聖女様が選んだのはあなたの方だった…… それが答えなのでしょうね」


「それは…… 聖女様の気まぐれっていうか、なんというか……」


リリィの選定理由や適当さを知るミアが言葉を濁すと、エレナは真っ直ぐにミアの瞳を見つめた。


「……あなたなら構わないわ。

11歳の私に『聖女の心構え』を教えてくれたのはあなただった。

当時の私は、同い年でこれほどまでに完成された精神を持つ子がいるのか、と本気で圧倒されたのよ」


かつて九歳の頃から、義務感ではなく純粋な憧れとして「聖女とはどうあるべきか」を学び、それを新入生のエレナに嬉々として語った日々。

ミアの脳裏にあの頃の幼い二人の姿が、昨日のことのように思い出された。


「……私なんて。今はもう、その頃の面影もないわ」


「……ええ。確かに、今のあなたに聖女は無理かもしれないわね」


「ぐっ!き、厳しい……」


ワザとらしく胸を抑えるミア。

エレナは少しだけ視線を和らげた。


「私は、勇者様のパーティに同行することになったわ」


「えっ!?……流石エレナちゃんだわ!

勇者パーティの僧侶なんて、歴史に名を連ねる偉人ばかりじゃない!」


「かつて、伝説の勇者様が封印した『魔王』が、復活しつつあるという兆候があるの。

その調査のために、最低一年は王都を離れることになるわ。

……次に会う時には、あなたが立派な聖女になれてる事を祈ってるわ」


エレナはそれだけ言い残すと、迷いのない足取りで歩き出した。



(みんな、前に進み始めてるんだなぁ……)



現代の勇者と共に魔王に立ち向かう輝かしい未来。


それに引き換え、自分は引退間際の聖女の愚痴を聞き、ポテチの歴史を語り、城に残るか逃げるかで悩んでいる。


(私は、一体どうしたいんだろう……)


立ち去るエレナの後ろ姿が小さくなるまで、ミアはただただ呆然と見送っていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


エレナは自分に対してとてもストイックなタイプです。

もし、よろしければつぎのおはなしもよろしくお願いします。

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