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かつて神童と呼ばれた89位聖女。ハニトラ勇者伝説の真実を暴いて見せます!  作者: けけりーな
第七章 幼い翼のひな鳥たちは、本物の聖女の翼を知りました!
102/115

102 アンナの決意

〇宿場町・教会


その日の夜。

教会の一角にある、こじんまりとした二人部屋。

使い古された木製のベッドが二つ並ぶだけの質素な部屋だが、窓から差し込む月光が、激戦を終えた二人の心を静かに癒していた。


ミアとアンナは、向かい合わせのベッドに腰を下ろして話し始めた。


「ねえ……もう少し、この街に滞在していかない?」


アンナが、シーツの端を指に巻き付けながら切り出した。


「なぜですか?」


アンナの顔を見ていれば、その理由は痛いほど分かる。

しかしミアは、聞き返してみる。


「なぜって……理由はないけどさ……」


「ないなら、先を急ぎましょう!巡礼の旅ですから」


少しだけ、意地悪を言ってみるミア。


「ま、まあ、そうなんだけどさ……!なんていうか……」


言葉を濁すアンナ。その脳裏にあるのは、間違いなくシスター・ベアトリーチェの姿だろう。


かつて王宮で首席を争い、伝説の聖女オルテンシアを支えた「本物」の実力者。


鼻水を垂らして泣いていた自分を優しく抱きとめ、魔族にも恐れず立ち向かえるベアトリーチェの姿は、

アンナにとって、新たな「目指すべき光」になったのだろう。


ミアは、自分が最初に出会った師、マーサ様に抱いたあの時の、熱い気持ちを思い出した。


心から尊敬できる誰かに出会い、その人から学びたいと願う。


自分がかつて抱いた思いを、アンナも今、同じように抱いている。

ミアは、それがなぜかとても嬉しい事のように思えた。


「私は構いませんよ。急ぐ旅でもないでしょうし……」


「……っ!そう!ありがとう!さすがミア、話がわかるじゃない!」

アンナの顔がパッとひまわりのように明るくなった。



翌日から、二人の生活は一変した。

単なる「お手伝い」ではなく、ベアトリーチェの厳しい、けれど慈愛に満ちた指導のもとでシスターとしての修行の日々だった。


アンナは、今までのわがままさが嘘のように、ベアトリーチェの前では背筋を伸ばし、熱心に作業に打ち込んでいる。


ミアは、そんなアンナの姿を横目に見ながら、自分もまた、ベアトリーチェのテキパキとした所作や、民衆への接し方を学んでいくのだった。

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