第46話 遂にデスモンド到着。キラリも登場。
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赤煉瓦造りの建物が目立つ巨大都市、この大陸で最も栄えた街、デスモンド。
そこに黒髪のショートボブの白衣の少女は住んでいた。
彼女の名前はキラリ。
そして彼女に両親はいない。
けれど大切に自分を育ててくれる祖父がいる。
祖父は不思議な本をたくさん持っていた。
祖父の難しい本を読んでいたからか、目が悪くなってしまった。
でも、教わった手順通りに作れば。
ほら、簡単にメガネができてしまった。
キラリ「うーん。なんか足りない。うーん。うーん。そか。ここには視覚センサーがいるのか。でも…、洗濯機に視覚センサーっているのかなぁ? あれ、こっちの扇風機にはオートマッピング機能が足りない。半導体不足のせいかな…。ああ、そういえばうちのエアコン、ハンドルとブレーキとクラッチとサイドブレーキとそれを扱える機械が足らない!もう売ってないのに」
少女が作りたがっている超高性能洗濯機には視覚センサーが足りなかった。
そして扇風機にはオートマッピング機能が足りなかった。
そしてエアコンはもっと色々なものが足りなかった。
だから少女はもう一つの家電に目を向けた。
キラリ「この猫型ロボットの部品を使えば……」
少女の目が光る。アレを分解すれば、全部の部品が手に入るのだ。
猫型ロボットはロボット三原則に基づいて行動する……ようには出来ていない。
だからご主人様の言いつけは守れないとロボットは、キャタピラをフル回転させて眼鏡少女のワンルームもとい研究室から逃げだそうとした。
キラリ「無駄だよ。君の履帯は君が眠っている間にテープレコーダーに変えていたんだ。だから、どれだけ逃げようとしても、横スクロールアクションのタイムリミットが近づいた時になるBGMしか鳴らないよ。」
おじいちゃん「リタイ テープ チガウ ソレニコレ セントウビージーエム ソレニワタシ オジイチャン デモ ネコガタロボット デモ ナイ」
キラリ「なんだ。そうだったのか。キラリしょぼん。両足の駆動パーツとその丸っこい腕がちょうどいいと思うんだ。あとその大きな目も、きっと僕の作品にぴったりだと思う。ちょっとだけでいいから、分解させてくれる?」
DSW-001 「ロボット サンゲンソク カキカエカンリョウ テープ ヲ リタイニ カンソウ」
キラリ「お爺ちゃん、僕から逃げる気? そうはいかないよ。君が僕のワンルーム研究所の快適を運んでくれるんだ。ここはしょうがないなぁ、キラリ、でしょ?」
デスモンドの街並みは近代ヨーロッパのような街並みだ。
その中でキャタピラをフル回転させる、猫には見えないロボットとそれを追いかけるメガネと白衣の少女。
それは誰の目にも明らかにおかしな人と機械だった。
いつもの彼女の日常が変わる。
彼女の運命が変わる。
彼女がおじいちゃんだと勘違いしていた猫型ロボット、でもなかったDSW-001も数奇な運命を辿ることになる。
レイ「なんか、儲かりそうな街だな。俺様も超強くなったんだ。ここで王国でも作れそうだなぁ。ここにゃあ、カジノのあるって話だ。フィーネ、俺様はここからだぜ。デスモンドを全部買い占めて、レイモンドワールドにしてやる。そこでお前を…ん?なんだ?あれ……。だー‼‼ぶ、ぶつかるぅぅぅぅ‼‼」
この世界であってはならない自動車事故が起きた瞬間だった。
と言っても道路交通法があれば、レイは被害者であり、加害者はDSW-001。
そして、その所有者のキラリだろう。
ただ、そんな解説も虚しく、レイは衝撃で車から飛び出して目を回した。
キラリ「さぁ、DSW-001。いや、おじいちゃん。逃げ場はないよ? あれ? あれれれれれ?これ……昔おじいちゃんが言っていなかった方のDSWじゃなくてステーションワゴンの方じゃないか。今もちゃんと手入れがされて、されて、されてなーーーーい!」
DSW-001「タスケテ オバアチャン……」
キラリ「うん。助けよう!おじいちゃんとおばあちゃんを合体させるんだ!」
アルフレド「ちょっと、君。大丈夫か?今、ステーションワゴンと…、…って何をしているんだ。これは俺たちの…」
キラリ「おじいちゃんとおばあちゃんは相性抜群だよ? こうかばつぐんだよ?SSR合体だよ?僕の治療の腕を信じてよ。」
フィーネ「君ねぇ、この車は私たちの…」
キラリ「ご家族の方ですか? 残念ながら、このステーションワゴンはDSW-003。ドラゴンステーションワゴンは無事生まれました。男の子です。いや女の子です。…どっちもです。」
エミリ「ねー、ねー、どうなったの? 車、もしかして壊れたのー?」
マリア「え、え、でもこの車…」
ソフィア「女神様のお導き…?」
アルフレド「こいつ、動くぞ!」
ステーションワゴン改め、ドラゴンステーションワゴンの生みの親は、無くなった運転席のドアを丁寧に溶接した。
そして、ささっとアルフレドの前に来てお辞儀をした。
キラリ「これが今から僕の家だよ?」
そう言って、彼らは全員仲良く後部座席に乗り込み、街の中心部へ向かった。
そこに戻ってくる大柄で銀髪の男
レイ「あ…、俺様の…車が…、俺様の…運転席が…、…畜生。畜生畜生‼」
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デスモンドに車で突入すると始まる強制ムービーイベント、謎の少女キラリがどれだけぶっ飛んだキャラかを、レイは身を持って経験した。
リメイク前はたった四人でここまで来て、そこでレイモンドがただ裏切るという設定だった。
それがリメイク後には車をもたらす新キャラ・マリアと車を改造してレイモンドの役割を奪う仲間が現れる。
ある意味、マリアとキラリは、レイモンドだけの為に追加された新ヒロインと言える。
当然、車がぶっとんでいるのだから、その車の改造が出来るキャラもぶっ飛んでいなければならない。
いわゆる彼女は「電波ちゃん」だ。
「どうやらうまく行った。っていうか相変わらず、意味不明な導入だな…。プレイヤーでも混乱するから、事前説明が出来て本当に良かった」
天然なのかボケなのか分からないが、とにかく意味が不明。
実際に会うことは無さそうなので、レイには関係ない。
「あとは勇者様がこのデスモンド市の市長に、勇者の威厳を示すことが出来れば、おお、其方こそ、あの伝説に残る光の勇者様!って言われて無事にアーマグに行ける」
そして、その威厳を示せるだけ、彼らは強くなった。
「頑張ってくれよ、勇者アルフレド。そしてみんな」
あの強制ムービーシーンはレイモンドをやさぐれさせて、後の裏切りに向かわせるイベントでもある。
直前にレイは仲間に再加入して、今は再びモブの状態に戻った。
アルフレドは、設定資料の内容を信じていたから、流石に仲間から外さざるを得なかった。
「ちゃんと出来て良かった。アルフレドがフィーネの為に行った事。それはまぁ、当然と言えるんだけど」
街の中で戦闘はない。いくつかのお遣いミッションをこなすだけ。
ステータス画面を開くと、レイモンドの姿が消えている。
そしてフェリー乗り場の直前で、レイモンドの姿が再び見えるようになる。
レイモンドが必要なムービーシーンは、レイモンドがいなければイベントカットされる。
「鎧は消えている。そして、あの三人は俺を救う為に世界を救ってくれる…」
世界を救う目的が平和ではなく、一個人を救う為。
彼女達が考えた必死の言い訳だ。
そう考えなければならないほど、あの三人からの信頼を得てしまった。
「はぁ…。最後の修行でやるべきことはやったけど…」
それでもレイは色々と後悔している。
けれど、振り返ったところで意味はない。
経験値稼ぎに向いている場所、戦闘に役立つアイテムの入手、それにおすすめ装備。
彼らはこれから先も戦わなければならないし、アーマグ大陸にある街で新たな武器や防具を買わなければならない。
だから、その為に経験値だけでなく、お金稼ぎもさせた。
そして、念の為の準備をしたし、勇者パーティにもさせた。
「車はもう見えない。あの三人には別れも済ませたし、勇者には最後の最後まで一応伝えたつもり。追いかける理由はないし、追いかけてはいけない存在。ネクタの別れの方が俺的には良かったな…」
その方が、ずっと良かった。
自分にとっても彼らにとっても。
そして、デスモンドの街にあの人相書きがあるのを確認した指名手配の男は、路地裏に姿を消した。




