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第0話 いつか見た夢

 真っ暗な部屋、テレビだけがついていて、俺はそこでゲームをしている。


 ゲーミングチェアで、と言いたいけどアレは高すぎるから持っていない。


 俺のようなのゲーマーに愛されるゲーミングスタイルであり、もしかしたら英霊たちも愛用しただろう伝統のスタイル『アグラ』でゲームに没頭している。


 夜の帳よりも真っ黒の中で、俺がやっているのは大好きなゲームだった。


 夢の中だから、他のゲームのシナリオがごちゃ混ぜになっている。


 時系列なんかも酷い。そんな設定あったっけ?っていうより、明らかに過去が変わっているし、絶対に後付けだろって話までてんこ盛り。


「すげぇ…。こんな隠し要素あったのかよ‼」


 とはいえ、夢の中の俺は気付かない。


 だって、俺はゲームが大好きなのだから。


 今見ているキャラクターは本当に知らないキャラクターだ。


 起きた直後に、一体なんだったんだ?ってなるやつ


 いや、俺ほどゲームの神に愛された人間はいないだろうから、新作出るという神のお告げなのかもしれない


 などと、珍妙なセリフを天井を見ながら吐いたが、現時点では気付かない。


 だって、これは夢の中だし。支離滅裂が当たり前なのだ。


 俺は当たり前にゲームをし、当たり前にセーブをし、当たり前にゲームをスリープモードにして、当たり前にテレビを消した。


 すると当然、真の闇が訪れた。テレビを消しただけで真の闇?そんなこと普通は在り得ない。


 それを暗闇に目が慣れていないだけ、と割り切って俺は独り言を呟いた。


「ん?……えっと、なんだっけ?」


 言い知れない不安がある。無常ではない何かを感じる。


 眼精疲労、不健康な生活、仕事のストレスなどなど、いくらでも思い当たるから、深くは考えなかった。


 いや、どうだろうか。テレビを含めて何もかもがなくなっている…気がする。


 自分の体さえも不確かだけど、夢の中の俺は考えない。


 夢の中の俺はあり得ない行動をとり、何も考えずに暗闇の中を歩き始めた。


 夢の中の設定がいつの間にか変わっていることに気付かずに。


 ——だって、夢ってそんなもんだろ?



「ふぇぇぇぇん」


 親も子もいない俺の夢の中で子供の声だって聞こえる。


 どうやら女の子が泣いているらしい。


 なんで泣いているかなんて分からないし、どうして女の子だと分かるのかも分からない。


 夢の中に「どうして?」とか必要ない。


 明晰夢に幼女だ、ひゃっほーとか喜ぶことさえなかった。


 どういう流れだったっけ。俺は幼女と積み木遊びをすることになった。


 所詮、起きたらすぐに忘れる夢。


 少女だということは分かるのに、朧げな輪郭しか見えない奇妙な夢。


 誰かも分からない少女を怖いとも思わない夢。



 ——そこで俺は、「彼女」とある約束をした



 真っ赤な瞳と雪のような真っ白の髪の女の子


 彼女は誰だっけ、ゲームのキャラクターだっけ、それともアニメのキャラだっけ?


 なんだって良かったし、何も考えていなかった。


 だってその約束は、俺も大好きなことだった…筈だから。



 大好きな言葉、大好きな約束、大好きな——



 ね?一緒にゲームしよ!


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