表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/69

第48話 昼餉

「よし。食べるか」


 理玄に続いて白琳たちも同様に『いただきます』と手を合わせる。

 三人はまず金桂饅頭を手に取った。見た目は薄っすらと黄色く、恐らく金木犀の乾燥小花の粉末を練り込んであるのだろう。できたてほやほやの饅頭は熱く、白琳は両手をあたふたさせながら何とか饅頭を半分に割った。


 湯気が立ち昇ると同時に姿を現わしたのは、具だくさんのあんだった。豚肉や白菜、筍などの食材がこれでもかというほどぎっしり詰められており、その芳しい香りが食欲をそそる。


 口に含み咀嚼すれば、勢いよく肉汁が溢れ出た。また、ほんのりと甘い柔らかな生地と筍の食感が心地よい餡が絶妙に融合している。

 白琳はあっという間に旨味の塊を嚥下えんげし、手元にある饅頭に視線を落として一言。


「美味しい……!」

「そうか。なら良かった」


 瞳を輝かせる白琳に、理玄は安堵したように微笑む。


「翡翠殿はどうだ?」

「凄く美味しいです」


 夢中になって饅頭を胃の腑に流し込んでいく二人を見て、理玄は満悦した。

 三人が数分と経たずに饅頭を完食したところで、次は甘味である金餅を食す。


「まさか、金桂にも銀桂こちらと似たお菓子があるとは思いませんでした」

「金餅に似たお菓子?」

「はい。銀餅ぎんぺいと呼ばれていて、銀桂こちらでは正方形なんです」


 対して金餅は円形で、薄皮生地の表面には一輪の小花の意匠が緻密に彫られている。銀桂では似たような小花の意匠が複数彫られているので、所々見た目が異なっていた。


「中には白餡がぎっしり詰まっているんですよ」

「なるほど。じゃあ、金餅のなかはどうなっているんだろうな」


 わざとらしく口角をあげて、理玄は中身を見てみるよう促す。

 白琳が饅頭同様金餅を半分に割ってみると、黒々とした小豆餡がこれまた饅頭以上に金餅の内部を占領していた。


「わあ……!」


 よく見ると金木犀の小花も練り込まれており、早速白琳は金餅を口に運ぶ。程よい甘さが口いっぱいに広がり、甘味好きの白琳は思わず「ん~」と頬に手を添えた。

 普段は淑やかだが、今は年相応のあどけない表情を浮かべている白琳。新たな一面に目をまたたくも、理玄は破顔して自身も金餅を口にした。


 昼餉を済ませると、白琳は舌鼓を打った金餅の詰め合わせを美曜たちへのお土産として購入し、再度街中を散策してから宮廷に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ