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第34話 謝罪

 近づいてくる足音の方を見ると、理玄と金銀の三公たちがこちらへ向かって来ていた。


「殿下……! それから皆さんも」


 正直、理玄に合わせる顔が無かった。

 一言断りを入れたとはいえ、理玄の許可を得ずに会議の間を飛び出してしまったことが悔やまれる。

 自然と視線も伏せられ、改めて謝罪しようと思っても声が震えてしまった。


「あの、先ほどは……」

「突然で申し訳ないが、もし良ければこの後貴女と二人きりで話が出来ないだろうか」


 謝罪を言い終える前に、理玄がそう言葉を重ねてきた。

 予想外の返答——いや、誘いに白琳は拍子抜けする。

 翡翠も呆気にとられ、一体どういう風の吹き回しかと理玄を睥睨へいげいしていた。


「貴女が会議の間を去った後、改めて仁鵲たちと話し合ったんだ。貴女が自身の想いを全て打ち明けてくれたのにもかかわらず、こちらの事情でただ一方的に『できない』と突き放してしまったのは身勝手だったのではないかと。それゆえ、貴女を深く傷つけてしまった」


 本当に、申し訳なかった。


 理玄が深く首を垂れるので、白琳は慌てて「そんな……! お顔をあげてください」と必死に乞う。


「むしろ、わたしの方こそ取り乱してしまったうえに突然飛び出してしまい、本当に申し訳ありませんでした。殿下や皆さんにご心配とご迷惑をかけてしまって……」

「いや、貴女に非は無い」


 それに、と理玄は補足する。


「王としてではなく、華理玄として……貴女と改めて話をしてみたいんだ」


 貴女という人を、もっと知りたくなった。


「殿下……」


 その真っ直ぐな紫瞳に、白琳は自ずと引き込まれた。


「三公殿にはもう話を通してある」


 白琳が三公たちの方を見やると、梟俊はゆっくり首肯した。


「侍女たちには私からお伝えしておきます」


 梟俊が穏やかな顔色を浮かべる一方で、蒼鷹と鶖保は相変わらず険しい顔で視線を逸らしている。


「貴女を突き放す言葉をかけておいて、今更何だと思っていることだろう。だが、その点も含めてもう一度話し合う機会をもらえないだろうか。勿論、こちらの勝手な誘いゆえ無理にとは言わないが」


 白琳は「いえ……!」と勢いよく首を横に振る。


「私も、もっと殿下とお話してみたいのでお誘いいただき嬉しいです」

「そうか。なら良かった」


 理玄は背後にいた仁鵲たちを振り返って指示を下した。


「お前たちは通常の公務に戻れ。何か火急の用件があればすぐに知らせろ」

「了解」

「はーい」

「承知しました」


 臣下たちの了承を経て、今度は翡翠と銀桂の三公を見渡しながら告げる。


「翡翠殿と三公殿も各々客室でゆるりと過ごされよ。もし、何か不都合な点や分からないことがあれば、遠慮なく臣下たちや官吏、女官に申しつけて欲しい」

「承知致しました。お心遣い、痛み入ります」


 代表して梟俊が首を垂れると、理玄は頷いて白琳に向き直った。


「では、場所を移そうか」

「はい」


 歩き出した理玄の背を白琳が追おうとしたその時——


「私もご同行します」


 翡翠がそう声を発した。


 その場にいた全員の視線が翡翠に集中するなか、理玄は少し眉を顰めて言う。


「私は先ほど白琳殿と二人きりで話がしたいと言った。申し訳ないが、席を外しては貰えないだろうか」

「お言葉ですが、私の職務は白琳様の護衛です。白琳様のお傍から離れるわけには参りません」


 毅然とした面持ちで答える翡翠に、理玄は顎に手を添えた。


「なるほど。では、その護衛役——一時的に私が引き受けよう」

「は?」

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