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第82話【悪魔・フォロカルと女戦士・ユティリア】



 まだ魔族と人間が争っていない時代。フォロカルは魔界で好き勝手に異世界から強い人間を呼び寄せて戦いに明け暮れていた。そして、異世界から呼び寄せた強い人間に悪魔の力を与える事で力をつけ、魔界でも数える程しかいない上位魔将(アークデーモン)になった。


だが、魔界は弱肉強食の世界であり、フォルカルはある悪魔に挑み敗北をし、魔界からこの世界に追放されてしまいし、そこで出会った人間がユティリアという女戦士であった。

 

 悪魔はどこの世界でも人間に嫌われて討伐される存在なのは変わりない。満身創痍でまともに立つことも翼を動かす余力もない。魔力をほぼ失い弱ったこの身体では、たかが、女戦士でも勝てない。人間に見つかった時点で全てを諦めた。

 

 だが、その女戦士はあろうことか悪魔である俺を助けようとしたのだ。ただその女戦士は馬鹿であった。悪魔にとって回復魔法は攻撃魔法と同じと知らず、使用してきた。徐々に弱っていく姿を見てようやく気づいた。

 

「えっ!?何で回復魔法で身体から煙が出てるの!?」

 

『…当たり前だ。回復魔法の産みの親は天使だ。悪魔の俺からすれば、攻撃魔法と変わらん…』

 

「えー!?もっと早く教えてよ!?ど、どうすれば良くなるの?」

 

『あぁ…?お前なぁ、俺は悪魔だぞ?しかもこんなに弱ってるなら討伐のチャンスだろ?それを助けるって、回復魔法かけて殺そうとしたんだろう?』

 

「違うよ!?本当に知らなかったんだよ!?てか、それならどうすれば良くなるの?生け贄?ホーンラビットとかスモールラットでもいい?」

 

 それがユティリアとの出会いだった。最初こそユティリアを疑っていたが、良くも悪くもユティリアは素直な性格であり純粋な少女だった。フォロカルの言葉の意味を理解しているのか怪しい部分もあった。

 

 しかし、ユティリアの献身的な治療により奇跡的に回復することに成功した。その礼としてユティリアの願いを叶えてやろうと提案を出す。人間は欲深い生き物だ。金や地位も、悪魔に対価さえ支払えば全て叶える事ができる。上位魔将(アークデーモン)の俺にはそれが可能性である。

 

 だが、ユティリアは俺と契約して『友だちになりたい』と微笑んだ顔が今でも忘れられない。


 元々、ユティリアは他種族が争うことなく平和な世界を望んでいた事もあり、その為に必要な武力と地位を手に入れるために様々な場所をともに冒険し、そこでユティリアと同じ夢を持つ変わり者。タウキング・タロス、火炎の魔神・バラック・そして、オーガながら剣に長けた剣鬼のツルギらとこの地にユティリアの理想郷を作り上げた。

 

 その為に魔界で使用していた『別の世界から強い人間を呼び出す魔法』で呼び出した日本人に国の発展に力を貸してもらい、国を発展させていき、ユティリアの考え方は徐々に広まっていった。

 

 だが、それをよく思わない連中、それが天界の神々とそれに仕える天使の存在であった。神々は事もあろうにユティリアを勇者にする為に天使らに連れ去るように命令を出し、ユティリアを護るために天界と戦争することになってしまった。懸命にユティリアを護ろうとしたが、事もあろうに神々は『別の世界から強い人間を呼び出す魔法』を『異世界から勇者を呼び出す魔法』としてこの地に広めていたようだ。

 

 そして、人間とそれに近い獣人族の国だけが神々に認めれた国であり、その他の国は魔王の国だと天使達が人類に宣言し、ユティリアは半神半人(デミゴッド)の勇者にされてしまった。


半神半人(デミゴッド)にされてしまうと、神の意のままに動く傀儡の人形にされてしまう。それが真の勇者の正体である。 神の傀儡となったユティリアを神から救い出す手段は魔界では古くから勇者以上な力を持つ魔王が神との繋がりを打ち消すことができる力があると魔界にいた頃に訊いたことがある。魔王は倒した相手を服従させる力があり、それを利用してユティリアを操っている神とのしがらみを切るしか手段はない。


 話し合った結果、大妖怪の鬼になったツルギを妖魔王にする事に決まった。その為に自分達の魂をツルギの大太刀に預けることで最強の魔王として君臨させた。


そして、ユティリアを神と天使から取り返す為に戦うことになり、ユティリアと造り上げた理想郷は跡形もなく消えてなくなってしまった。

 

「まぁ、真実を知ってる仲間に確認してみな? そこのダークエルフのイザベルにな。そいつは俺達の妖魔王・ツルギから剣を教えてもらったヤツだぞ…?」


「えっ、そ、そうのか!?イザベル…?」

 

 イザベルは気まずそうに俯いた。だが、イザベルの装備を改めて見れば、確かに納得できる部分も多い。フォロカルはタロス、バラックの魔力を外から感じとることは出来たが、何時しかタロスの魔力を感じなくなり次第に外に出る意欲を失っていたという。


 だが、ここに来た上級悪魔(グレーターデーモン)から今の世界の情勢を知り、大切な思い人を傀儡にした神々や天使を許すことが出来ない思いから、上級悪魔(グレーターデーモン)から魔力を奪って脱出する術を探していたところに俺達が来たというのだ。

 

 フォロカルがいるこの場所もダンジョン化が進んでおり、あと少し遅ければ完全なダンジョンになっていたようだ。すると、指にはめられていた指輪が粉々になり塵になってしまった。

 

 フォロカルは魔法陣を展開させると、赤黒い長剣を取り出し眷属のリビング・アーマーを呼び出したのだ。

 

『…ハッキリいって俺はお前達を倒したくねぇ。ツルギの愛弟子もいるからな。…だが、どうしても神と天使どもを赦す事は出来ねぇ!!俺はここから出てバラックとツルギを復活させ、あのクソどもをぶち殺さなきゃ気が済まねぇ…』

 

「そうはさせない。私がダイアラック王国に残ったのも、3人と師匠を止めるため。その為に剣を磨いてきた…」

 

「丈くん!何か戦い辛いよ!どうにか出来ないの!?あんな話されたら悪いの神様と天使じゃん!?」

 

 高城はフォロカルの話を聞き戦いが辛いというが、それはフォロカルも同じだという。事情がわかっただけでも利益のある話だった。俺達は勇者候補から外れた身だ。仮に関わってくるとしたら天使だろう。個人的にクズには情けは掛ける良心は持ち合わせていない。今更天使らが助けを求めにきてもそれに応じるつもりはない。


 それを聞いたフォロカルは、ここに来てくれたのが俺達で良かったと声を出して笑い始めた。勝とうが負けようがこれで悔いはないと掌で顔を覆いながら笑った。そして、ゆっくりと手を話すと全身から禍々しい魔力を放った。

 

『元・妖魔王ツルギの魔三将衆の一人・上位魔将(アークデーモン)のフォロカル様が相手だ。精々楽しませてくれよ?』

 

 仮にも元・魔王の側近にして最強クラスの悪魔が相手で事情を知ってしまった手前、戦いにくいのは全員同じだ。だが、イザベルはこうなることを覚悟して剣の腕を磨いてきたのだろう。俺はイザベルの旦那としてその思いを支える義務がある。

 

 だからこそ、フォロカルをここで食い止めなければならないと武器を構えて戦闘態勢に入った。

 

 



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