第81話【上位魔将・フォロカル】
またストックなくなりそう…登校前に読み直して誤字脱字気にしてるんですが、毎度ご指摘ありがとうございます。ちょっとでも良くなるよう頑張ります。
洞窟を少し進むとダンジョンのボス部屋のような扉があった。お互いに顔を見合わせて覚悟を決めると押して中に突入する。これまでの洞窟とは違い、石壁に囲まれた、人工的な部屋であり、その中央付近の空中に肌がタールみたいに黒くて、蝙蝠みたいな翼が生えていて、角があって、非常に威圧感のある姿をしていた。コイツが上級悪魔か。
武器を構えて身構えたが、上級悪魔は俺達に声を掛けてきたのだ。
『何だ…?テメェらはユティリアの仲間か…?』
「ユティリアって誰だ。そんなヤツは知らん」
『…ハッハァン~、そう言うことだったのか!あの女勇者のヤツが死んだのか。それでこの忌々しい結界が弱まったって、あの上級悪魔ごときがここに現れたワケか…』
何だ。今の表情は女勇者が死んだ事に安堵したのか?いや、コイツ『上級悪魔ごときが…』といったが、コイツが上級悪魔ではないのか。すると、声に出していないのに、聞いていたかの様にそうだと答えてきて戸惑いが隠せなかった。
【上位魔将のフォロカル】
名前持ちであり、上級悪魔よりも格上の上位魔将。そして、妖魔王・ツルギに仕えていた魔将軍の一人であると名乗った。
フォロカルは俺達のおかげでここから脱出する手段が分かり、機嫌が良く久しぶりに人と話すので暫くは殺さないでやるというのだ。本城とダグラスが食って掛かろうとしたが、イザベルとヘレナが止めに入った。
フォロカルはその姿を見て高笑いし始めたが、そんなレベルで挑みに来る何て余程バカな奴らだと嘲笑う。そして、俺達が別の世界からの召喚された異世界人であることを言い当てた。すると、俺達を黒目の紅い瞳で見つめてきた。
『ダッヒャッハッハッハッ!!そうか、お前らは俺達、悪魔が人間に教えた『別の世界から強い人間を呼び出す魔法』で呼び出されたのか!しかも、それが『勇者召喚』として利用されるなんて、何て皮肉な…』
「どういう事だ。俺達を呼び出した召喚魔法を悪魔が人間に教えたって…」
フォロカルは俺の問い掛けにじっと見つめてくると、興味深そうに顎を触って品定めするように見つめてくる。
『ほほぅ、お前らタウキングのタロスの末裔を倒したのか!ちょっとはやるようだが、レベル50ごときで俺様に勝つつもりなのか?せめてカンストさせてから…あん…?いや、俺様が封印されてる間にかなり変わったようだな…』
(コイツはヤバい。おそらくは俺らの頭の中を直接覗いてやがるし、俺らが考えてる事を見通す力がある悪魔か…)
『ほほぅ、いい分析力だな。その通りだ。俺様は頭の中を直接覗いて見ることもできるし、考えていることもわかる。そうか、そうか、今の世界ではたかがレベル50が最高なのか。だいぶ人類側も魔族側もレベルが落ちぶれた感じか…』
「…考えてる事も分かるなら、全てを話してから戦う『契約』でどうだ? 俺も知りたいこともあるし、そっちにもメリットはあるだろ?」
そう要求してみると、フォロカルは上機嫌に笑い契約を受託したと左手の人差し指に指輪をはめてきた。悪魔との契約を結んだ際、その契約を護らせる魔道具の類いだと話す。
フォロカルは始めに、俺達3人にたいして『地球って星の日本人か』と訊ねてきた。本城と高城が何で分かったのか声に出すと、大昔に地球に召喚され、日本を中心に様々な世界に通じるようにしたのは自分達であるからだと話し始めた。
元々、フォロカルら悪魔は日本の強い武将や昔堅気な任侠者との殺し合いが面白くて自分達に取って都合の良い戦場として地球とは別の魔界へ導いていたというのだ。
『あの頃は面白かったなぁ…。腕を切り落とされても向かってくるイカれた精神したヤツらが多く来て楽しかった。だが、それも長く続かなかった。神々の野郎にその魔法を取られちまったんだよ』
「神々に魔法を取られた…?」
フォロカルは詰まらさそうに、そういった類いの強い人間が極端に減った為にこちらにくる強者は減った。そして、『別の世界から強い人間を呼び出す魔法』を神々に奪われてしまい、管理している世界の発展の為に利用されてしまったというのだ。
実際に俺達の記憶を見て、こちらの世界にも前の世界同様な食べ物が存在していることや、文明的な発展の為に利用されてしまった。当然、それをよく思わない悪魔らは神々に激怒し、神々は自身の世界の人間に戦わせるようにし、悪魔を中心にした魔の一族を率いる『魔族』と神に仕える人類との終わり無き戦いが始まったというのだ。
『お前のいう勇者は、俺様ら魔族に対抗する神に仕える生物兵器みたいな存在だ。ここの神はテメェの力を授けてユティリアっていう女戦士を半神半人にした!女勇者として俺様らと戦う道具にしてたんだよ。勇者は神の使いであり、神の傀儡同然だ。テメェらは運が良かった。勇者なんてクソにならなくてよ…』
「なら、何でお前はここに封印されていたんだ?」
『まぁ、ダークエルフを嫁にしてるテメェになら教えてもいい。ユティリアは悪魔だった俺様が唯一愛した女だったからだ…』
まさかの返答に言葉が出ない。悪魔と人間が愛し合っていたとは到底信じがたい話なのは間違いない。だが、俺にはフォロカルが嘘を着いてるようには見えない。少なくとも、この契約の指輪がまだはまっているということは真実なのだろう。悪魔は契約に従順な性質があるし、何よりもここに封印されていた事が何よりの証拠だろう。
そして、ユティリアの名前を出して死んだことを確証した表情は安堵したのと同時にかなしんでいたのだろう。フォロカルは俺の考えを読み取ると大昔の馬鹿げた異種族のどうしようもない真実を語り始めた。
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