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第71話【計画発表】



 ダイアラック王国に魔族、それも上位悪魔(グレーター・デーモン)がいる事にギルドマスター陣とロックスは熟考していた。すると、モーグルは何時から怪しいと思っていたのか訊ねてきたが本当に偶然であった。

 

 俺が鎌鼬(カタイタチ)になり、グランド、ウイング、フィリーの姿も実体化している事で他の者にも『見えてる』状態だが、この3匹にダイアラック王国周辺の魔物やダンジョンなどを調査して貰っていた際、たまたまグランドが遭遇してしまったのだ。

 

 何時からダイアラック王国で暗躍していたのかはわからないが、クラフト鉱山のダンジョン化やサハギンの大群を呼び寄せたのは、その上位悪魔(グレーターデーモン)で間違いないだろうが、今回の地竜(アース・ドラゴン)らの大移動は獲物を獲るために来た偶然の可能性もあり、レスリア王国でも似たような事が起こっている可能性も捨てきれないと話す。

 

 モーグルは腕組みをし、問題となっている事とこのメンバーをレベルアップさせた理由を訊ねてきたが、そこは九条の提案であると答えた。

 

「理由としてな。その上位悪魔(グレーター・デーモン)が陣取とってる場所にはミスリル鉱石や魔鉄鉱(まてっこう)魔鉱石(まこうせき)とかレアな鉱石がぎょうさんあるねん」

 

「ミスリル鉱石や魔鉄鉱石か。確かにレアな鉱石でダイアラックの武具職人ならいい武具を造れるから、商人としては儲け話になるな…」

 

「けど、場所がエルサレム森林の奥でフォレスト・ジャイアントと洞窟にそれ食うメタルリザードもおるから、ウチらだけやとちょっとキツいねん。それに騎士団の面子立たせんとダイアラック王国の王様にええ顔できんやん?」


 九条に買収されているグランド達は、俺に報告する前に全て九条に話している。隠していたが、九条に憑いた破戒僧・ゼナイスから餌付けされてしまい、親分よりも食い物を選んでしまったのだ。九条には不安にさせるような事をさせたくないと伝えると、逆にこれを上手く利用してダイアラック王国に必要不可欠な人材だと示すチャンスだと、今回の計画を立ててくれた。

 

 実際、レベリングするつもりでいたが良いタイミングで地竜(アース・ドラゴン)やその変異種や上位種など、強い竜種が一斉に現れてくれたおかげで予定よりも早く実行に移せる段階だと笑みを浮かべて話すと、モーグルはとんでもねぇなと苦笑いをする。

 

 ただ、あくまでも上位悪魔(グレーターデーモン)がこれ以上なにもしてこなれけば良いが、油断できる相手では無いため、各ギルドと残りの騎士団で陸・海・空を警戒して欲しいとお願いをすると、各ギルドマスター達は顔を見合わせ、それは任せて欲しいと言い、ロックスも直ぐに王宮に伝達を入れて対応すると言ってくれた。

 

 すると、ヘレナは自分は足手まといにならないかと訊ねてきたが、俺に言われたことを忘れた訳じゃないよな?と訊ねると当たり前だと頬を膨らませた。

 

「なら大丈夫や。前衛もイザベルちゃんやダグラスさんやマグノリアちゃんおるしね。それに竜種相手でも騎士団だけでどうにかなったしな。バレッタちゃんらのパーティーは、欲をいえば戦闘型僧侶か治癒術師が1人おると視野が広がると思うけどな~」


 最近では九条に魔物や国の情報関連を調べて貰い、そこから仮説を立てて計画を2人で立てている。4人で行動するので本城と高城も話し合いに参加していたが、難しい話は苦手であり終わる頃には寝てしまっている。

 

 難しい事は指示を出さない為、本人らが分かりやすく戦えればそれで良いというので、基本的には本城が九条か高城を護る時は後衛で、俺と組む時は敵を挑発して隙を作るのが役割だ。高城の場合は変身魔法で莫大な魔力量が必要になる為、チアリーダーをメインに弱点の魔法がわかったら、それに変身して放つのが役割と大雑把な立ち回りをさせている。

 

 今回の地竜(アースドラゴン)討伐でパーティーの動きや個人の特徴などを大方掴めたと、九条は自慢げにいうが、実際、九条に才覚がある事を認めるしかない。

 

「ぶっちゃけ後方のが色々と見えるから、回復のタイミングとか合わせやすいんや。丈くんのポーションでな、僧侶としての出番無いけどな~」

 

「逆にいえば、ポーション無くなっても九条がいるから長期戦になれば戦いながら得た情報を元に倒しやすいのは、間違いないがな…」

 

 そう褒めると九条は微笑んだ。ただ相手が上級悪魔(グレーターデーモン)であるため、聖魔法が使える九条が鍵になる。本城には九条の護りを固めて欲しいとお願いすると快く引き受けてくれた。

 

 目標はフォレスト・ジャイアント討伐後に上級悪魔(グレーターデーモン)がいる穴蔵に入って戦い、その後ミスリル鉱石を掘り起こす為の穴を空け、西の街・ヴァルカンに開通させる事であると参加メンバーに伝える。


 モーグルはヴィクターと開通後の鉱夫の人員確保もしてくれると言い、なるべく質のいい奴隷を揃えてくれると言われ、本城と高城は顔を見合わせる。



この世界の奴隷は農家や冒険者で依頼の違約金払えなくて仕方なく奴隷になる者も多いが、犯罪歴が無い限り酷い扱いをされることはないと説明する。すると、モーグルが異世界出身で『奴隷』に対するイメージは悪く持っていると思うだろうが、奴隷といっても従業員で商人にとっては大事な働き手であるのだと説明した。

 

「酷い扱いをされるのは犯罪歴がある奴らだな。盗賊・強盗・殺人歴があって人格的に問題があるって判断された連中は、魔族領土の調査隊に派遣されるからな…」

 

「けど、犯罪者ばっかりで調査できるもんなの?」

 

 そう訊ねられるとモーグルは苦笑いし、犯罪歴が付くのは平民だけでなく貴族も例外ではないと話す。

 

「まぁ、裏金とかうす汚い事を裏でした貴族が名誉挽回で出来るチャンスだから、一応は大丈夫だな。特に魔族領土となっている北の大陸は全然情報がないし、強い魔物や魔族もいるから実質死刑だからな…」

 

 モーグルやヴィクターは病気などで田畑を売らなければポーションを買えない農民や、依頼の違約金が払えなくて奴隷になってしまった冒険者などを多く抱えている。各国にモーグル商会の奴隷はいるが、しっかりと従業員として働いていくている。

 多くの奴隷が必要になればその分借金返済のために働ける場所へ派遣されるなら、それがいいというのがこちらの認識のようだ。

 




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