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第57話【西の街・ヴァルカンの変化(その1)】



 クラフト鉱山の攻略から約1ヶ月が経過した。


俺達は西の街・ヴァルカンで活動をしている。


──理由は大きく分けて3つある。


1つはクラフト鉱山がダンジョン化してこちらで管理できる事がわかった為に冒険者ギルドと騎士団の訓練場として利用される事に決まった。

 

 クラフト鉱山周辺を大改装して冒険者・騎士団の合同訓練場や大食堂、宿屋・武具屋などが建設され、商人ヴィクターは南の街・ヘイヴンとの物流路を確保するために道路建設に土魔法を使える者を大量に雇用した。

 

 2つ目はホノル火山、断崖の草原、タンザアの森に出現していた強力な魔物の討伐が済んだ事で兼業冒険者達がホノルの冒険者ギルドに戻ってきた事で活気が戻った。


そもそもホノルの冒険者ギルドに在籍できるのはB級冒険者に近い冒険者のみなので、俺達が依頼を受けるとその冒険者の仕事が無くなってしまうからだ。

 

 3つ目はクラフト鉱山がダンジョン化した事で近くのエルサレム森林の魔物が活発化して強力な魔物がヴァルカンの街に出現するようになった為、俺達のパーティーとイザベル、バレッタのパーティーが騎士団と合同で対応に当たっていた。

 

「イタチの兄ちゃん、魔法教えて~!」

 

「…イタチの兄ちゃんこれでも忙しいんだぞ?」

 

 俺の尻尾を引っ張る子どもらは、ヴァルカンの街にある教会の孤児院の子ども等だ。近くにダンジョンが出来た事から冒険者に憧れる子どもらが多く、暇を見つけては魔法や戦術を教えている。

 

 バレッタ達はB級冒険者になる為にイザベルとエルサレム森林の攻略をモーリアから受けている。俺達は街に降りてきた魔物の退治と指導が主な仕事である。

 

 屋敷には一応戻れているが、俺か九条。ロックスさんがいないと指揮系統が難しい為にローテーションで休みを取っている。

 

 本来ならば騎士団には軍師的な役割りがあるのだが、人手不足の為に騎士団の指揮は全てロックスさんありきのものであるからだ。

 

 しかも悪い事に、ロックスさんはゴリゴリの武闘派で前線に出て士気を挙げつつ体制を整えている事から、ロックスさんさえ倒してしまえば簡単に崩壊する騎士団であった。


そこでロックスさんに部隊長になり得る人材育成を提案し、今、ヴァルカンの街には多くの騎士団候補生が試験を受けに来ている。

 

「俺が教えられるのは風と土だぞ?火とか水は覚えられなかったからな~」

 

「えー、だって魔力適正テスト考えたのイタチの兄ちゃんじゃん?」

 

 魔力適正テストはイザベルと九条に相談してバーグに作って貰ったものだ。魔力が伝わりやすい魔鉄を利用して魔力を流し込むと適正のある魔法がわかる物だ。


 火魔法なら赤。水魔法なら青。風魔法なら緑。土魔法なら黄と適正の魔法を獲得するのに利用させている。


 ヴィクターの話では、これも言い値で買い取らせて貰うといっていた。

 俺に魔法を教え欲しい子どもらは、風魔法を土魔法の適正があるから俺に教えて貰いたいのだ。

 

「だって、この前バースト・ボアの群れを風魔法と土魔法使って一人で倒しちゃったじゃん!」

 

「あれは暴風魔法と大地魔法っていって、その2種類の上位魔法だな…」


 前に、エルサレム森林から降りてきたバースト・ボアの群れを1人で倒したところを子ども達に見られてからはこの有り様である。本城は騎士団や冒険者相手に実戦で指導しており、高城は魔法少女で全属性使えるが指導力が皆無の為に九条とペアを組んで指導力を鍛えて貰っている。

 

 ──1つ悩みがあるとすれば、九条らとの時間が作れない事であった。

 

まぁ、ホノルの依頼で持って帰ってきた魔物で得た金額が金貨5000枚。ダンジョンの金銀財宝やドロップアイテム等の買い取り額が金貨25,000枚、合計で金貨30,000枚になったそうだ。

 

 普通に考えれば、遊んで暮らせる額である。


九条らは俺に相談があると言い、この孤児院をやっている教会とヴァルカンの街に宿屋を作る資金にしたいと提案したのだ。


 理由を訊ねると、ギルドが管理するダンジョンがヴァルカンの街に出来た為、宿屋を作ってオーナーになれば定期的にお金が入ってるので悪い話ではないというのが1つだ。

 

 もう1つは、街の物価を見たところ、そこまで金があっても貯金するより子どもらの教育に使った方が今後のダイアラック王国との関係も友好的になるという九条らの考えを尊重して教会に寄付をし、ヴァルカンの街に宿屋を建てるが、そこはヴィクターに仲介役として入って貰い運営を任せる事になった。


 冒険者ギルドと騎士団の合同訓練場ができるのと同時に宿屋も完成した。大浴場と大食堂での食事付きで銅貨5枚と、他の宿屋より比較的安い。理由はヴァルカンの街の人々が街に大金を出してくれた事を感謝して野菜などを無料で分けてくれるからだ。肉などは魔物の肉を使う為に食材も一級品である。

 

 しかも、南の街から娼婦を何人か住み込みで雇ってウェイターとして働いて貰う事になった。南の街のギルドマスターで娼館のオーナーをやっているアメリアさんから話を持ち掛けた。


ヴィクターと九条の3人で儲け話をしていたらしいが、その時は本城と高城の3人でフォレスト・アントの群れの討伐をしていた為に詳しくは知らない。

 

 少なくともいえるのは、冒険者も騎士団も男女問わずあの宿屋に入り浸っている事だ。


そして、魔物討伐やダンジョン攻略で得た金を落としてくれているらしい。

 

 ロックスさんに聴いたら、どうやら宿屋に泊まる代わりにウエイターの娼婦を買えるシステムを導入したらしく、指名料はその娼婦によって変わってくる。

 

しかもウチで雇っているのは女だけでなく男も雇っている。そのため、女冒険者や女騎士も気に入ってるようだ。

 

 まぁ、お互いに同意ならOKにしているようなので『色々と満足できる宿屋』として人気らしいのだ。

 


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