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第06話【ポンコツ魔法使い】



この世界の植物は独自の進化をして万能であるようだ。冒険者ギルドにある薬草についての本を借りて読んで調べてみると、調薬次第では様々な薬を造る事が可能であった。レイドリス王国周辺の魔物もゴブリン以外は角や蹄、粘液等が薬の材料になるようだ。

 

 取りあえずは作れる薬のリストを纏めてギルドマスターに提出して何がどれくらいの金額になるか知っておく必要がある。

 

 特に重要な魔物がファンタジーモノの定番の魔物・スライム。スライムは核を潰せば倒せる魔物であるがその身体自体に効力がある為に調合次第で泡立ちの良い石けんや美容品などになるようだ。そして、よりによってあってしまったのだ。異世界の避妊薬の作り方が。

 

「あったよ。避妊薬。しかもコレって…」

 

「なんや?エロいヤツか?ウチで試してみるか?」

 

「クラスメイトに殺されそうなことをいわないで?少なくとも本城が先に斬りかかってきそうだな…」

 

「色々な薬あるんやなぁ。この辺りの魔物や植物や薬草でも調合できるんなら商売できるんちゃうんか?」

 

 九条のいう通り、獲得した調合知識通りに調合すれば大金が手に入りやすいのは事実だ。ただそうなってくると面倒なのがレイドリス王国のマルシュ王女の存在だ。何だかんだ理由を着けて売上金を国に献上する方法を取るかも知れない。そうなってくるとレイドリス王国から抜け出すのは難しくなる。

 

 後は本城と高城がスキルを獲得出来ない課題もある。レベルアップしたにも関わらず必要なスキルを獲得できない。そのせいか本城は無理をして風邪を引き、九条が看病している。

 

 普段元気っ子である高城も元気がない。コレットの話では少なくとも適性にあったスキルを獲得できる筈だという。


だが、どうにも二人にはその適性が当てはまっていないのかもしれないというのだ。九条に本城の面倒を任せて今日は高城と冒険者ギルドの訓練場で見ていたが何かぎこちない感じだ。

 

「何でレベルアップしたのに魔法が使えないの~!?」

 

「ちょっと落ち着け。なんか原因ある筈だからそれさえわかれば…」

 

「だって、その原因がわからないんだもん。私、このままだとどうなるの?クラスメイトに養ってもらう為にエッチなことしないとダメなの?」

 

 高城にそう言われたが、コレットとどんな訓練をしていたのか知らない為に高城から訓練内容を訊ねるとある本を手渡してきた。魔法使いが覚える詠唱が書いてある本のようだ。こんな詠唱もかなり長いし、覚えるのに一苦労するだろう。

 

 火・水・風・土の基本の四属性から適正のある魔法が覚えられるそうだ。取りあえずはステータスを確認して見る事にした。

 

  草加 丈(くさか じょう)


・名前:クサカ ジョウ レベル10


 職業クラス:鎌使い

 固有スキル:武器成長


 選択スキル: 調合知識・ 回避・風魔法・土魔法


筋力+42 敏捷+90 体力+70


 器用+80 知能+85 魔力+55

 

 いや、風魔法と土魔法獲得できたんだが?何でだ?

 

 「あー、高城。俺、風魔法と土魔法を獲得できたぞ?」

 

  「ええ!?なんで?なんで!?教えてよ!」

 

 いっても渡してくれた本読んでただけだ。高城もこの本を読んでたなら獲得できる筈なのだろう。何か引っ掛かる。

 

  高城にお願いしてステータスを見せて貰った。

 

  高城 桃華(たかじょう ももか)


・名前:タカジョウ モモカ レベル5


 職業クラス:魔法使い

 固有スキル:魔力軽減

 選択スキル:


筋力+150 敏捷+150 体力+170


 器用+45 知能+10 魔力+95

 

「…何となく原因分かったわ。高城、真面目な話だけどな?」

 

「う、うん!な、何!?」

 

「…魔法の詠唱、全然理解できてないだろ?」

 

「うっ…な、何でわかったの!?」


 発動条件は大雑把に3つに纏めると長文祝詞詠唱の理解、適性魔法を把握して獲得する為にイメージを頭の中で作り魔力の波長を合わせるだけだ。後は個人の魔力量によるものだろう。

 

 的として設置してある丸太に風魔法を試しに詠唱をしてみる。

 

「大いなる風の精霊よ。切り裂く刃と化して敵を切り裂け。 ウインド・カッター!!」

 

草刈り鎌の刃先に風を纏い、それを押し出すように鎌を振ると風の刃が的に命中する。だが、俺には致命的な弱点がある。魔力量が極端に少ないということだ。レベルアップはしたが、55しかない魔力のうち25も消費してしまった。

 

 残りは30で土魔法を詠唱するのには心許ない数値だ。おそらくは魔力量50以上必要であり魔力軽減がないと魔法も使える回数が限られてくるのだろう。

 

「取りあえずは詠唱を復唱してみるところから初めてみるか?」

 

「大いなる風の精霊よ。切り裂け我が身を…?あれ?」

 

「…切り裂く刃と化して敵を切り裂け」

 

「大いなる風の精!切り裂け我が身を…?あれ?」

 

「うぅん??わざとじゃないんだよな?」

 

 高城は長文祝詞詠唱をちゃんと最後まで詠唱する事ができなかった。何度か復唱を繰り返したが頓珍漢な詠唱になってしまう。俺が覚えた土と風以外にも水と火の魔法の詠唱を読んで復唱させてみたがダメだった。これは魔法使いとして致命傷だぞ。どうするんだよ。俺には手に負えんぞ。

 

「と、取りあえず部屋に戻って九条と相談するか…」

 

「ウインド・カッターはわかったよ!」

 

「…無詠唱が出来ればそれでいいと思うけどなぁ…」

 

「むぅ。泳ぎと走るのは得意なのに…」

 

 人懐こい性格の高城はこういった所が人気でもある。ただ勉強の方は本城と同じく赤点ギリギリで大会なども参加できなかった年もあったと九条から聞いている。それが記憶力が必須の魔法使いだと教えるのは骨が折れる。

 

 

 


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