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第56話【クラフト鉱山ダンジョン化(後編)】



 気づかれないように合図をし、それぞれが各持ち場につき、九条がモーニングスターの鉄球に油を掛けると臭いに反応して一斉にこちらを振り向いてきた。

 

 九条が思い切り鉄球をブン投げると、リリアンが火魔法を詠唱して火の弾が発射される。

 

 それが鉄球当たると油に着火し、九条は鉄球を巨大化されてそれを魔物で密集してる穴の中に落下させた。

 

 ポーチの中から予備の油が入った瓶を何本か下に投げつて風魔法を発動させ、穴の中で火ダルマになった魔物達の悲鳴のような雄叫びが轟いてくる。

 

 追加で油の瓶を何本か入れて火が全体的に周ったのを確認し、自分達の足場を確保して大地魔法を発動させて生き埋めにした。

 

「うわっ…エグいやり方したな。殆んど死んだんじゃネェか?」

 

「上位種がそれで死んでくれたら儲けもんだ。梨沙、鉄球を元に戻して回収してくれ。瓦礫が崩れきったら下に降りて生き残りを殲滅だ」

 

 指示を出すと九条はモーニングスターの鉄球を元に戻し、上に乗っていた瓦礫が崩壊すると土煙がたったが、上位種は2メートルから5メートルのデカブツばかりで目立っていた。

 

 イザベルがフィーナに合図を出すと本城とバレッタも続いた。九条にリリアンと高城を任せて飛び降りると、殆んどの魔物は死んでしまっていた。

 

「ウガールは俺が時間稼ぐから残りの上位種は頼むぞ?」

 

 それぞれが自分の標的を定めて戦闘が始まったが、イザベルは桁違いの力を見せてゴブリン・チャンピオンとコボルト・ナイトを一刀両断してしまった。

 

 残ったオーク・ジェネラルも火傷と瓦礫のダメージがあったせいか本城とバレッタが直ぐに倒してしまったので予想よりも早く全員でウガール退治に取り組めそうだ。

 

 鈍感なウガールはようやく手下が全て倒されてしまった事に気づいたのか、こちらに向かって咆哮をあげてきた。

 

 魔族の大部隊を率いる隊長格の1体としての矜持(プライド)というものなのか、右手に持たれた巨大な鉄の棍棒を振り上げてくる。

 

 だが相手が悪かった。イザベルが右手に攻撃を仕掛けるのを見て反対側の左手首を切り裂かれてしまった。左手と右腕が地面に落ちるのと同時にウガールは獣のような唸り声を上げた。

 

 すると、フィーナがウガールの目にナイフを投げて命中させると、バレッタが鎧を一撃で破壊し、本城が大盾で突進して距離を取った。

 

 合図をすると、高城がトランプのカードをウガールの足元に突き刺すと、炎の柱が立ち上がりウガールは雄叫び上げながら丸焦げになり、そのまま倒してしまった。

 

 イザベルが念の為にとウガールの首を切り落として死亡を確認する。九条達の足場を作ってこちらに下ろしてウガールの死体を見つめた。

 

「う~ん。数は多かったけど、こっちのが過剰戦力だったな。まだ上位種も成り立てであんな雑な戦法でもダメージ通ったのが証拠だろうな…」

 

「後はダンジョン・コアだろ?どこにあるんだ?」

 

「イザベル、バレッタ、綾香。後ろのあのデカい岩ぶっ壊せるか?無理なら俺の砂塵魔法で砂にするけど…」

 

 3人は顔を見合わせてぶっ壊すと言い、それぞれが好き勝手に攻撃をするとデカい岩が見事に砕け散った。

 

 その後ろに通路を発見し、そのまま道なりに進んで行くと巨大な蒼い色を発光させた巨大な球体とその近くにゴブリン・シャーマンがいた。

 

 ゴブリン・シャーマンは俺達に気付くと慌てた様子で杖を巨大な球体に当てようとした為、鎌を投げて首を撥ね飛ばした。練習したお陰で鎌をブーメランのように扱えるようになったのだ。

 

 首を切断されたコブリン・シャーマンの右手につけられたブレスレットを奪い取り、ダンジョン・コアに当てると魔力が吸収されていき、部屋には大小無数の魔鉱石が姿を現した。すると、イザベルが手にもったブレスレットをジッと見つめてきた。

 

「これがダンジョンマスターの証か。1500年生きているが実物を見るのは初めてだ…」

 

「えっ!?せ、1500年も!?見た目二十代にしか見えないのに…」

 

「エルフやドワーフは一定の成長をしたら老いるまで時間が掛かるからな…。にしてもクサカ ジョウの作戦は見事だったな」

 

「もうちょっと苦戦すると思ってたけど、魔物が弱かった事と流石に戦力揃いすぎてたから作戦が雑でも勝てたのがデカいけどな…」

 

 作戦は大雑把であったが、ウガールはタウキングよりも弱い魔物でゴブリン、コボルト、オークしか支配できない。普通の戦場ならば人数を集めて装備品を破壊して火魔法を使えば意外と簡単に倒せる。

 

 問題はどうやってこれを扱うのか分からない為、冒険者ギルドや騎士団に管理を任せる事にしても使い方がわからなければ意味がない。

 

 一人で悩んでいると九条が後ろから抱き着いてきた。

 

「ウチらもおるんやから相談してや。ひとりで考えすぎやで~?」

 

「ダンジョン奪い取るまでは良いが、使い方わからねぇからこのまま冒険者ギルドと騎士団に丸投げして良いものかと考えてな…」

 

「ああ、それならダンジョンマスターの証をダンジョン・コアに合わせると魔力が通じて出現する魔物が選べる筈だ。大森林にいた頃に長老からダンジョンの生い立ちを聞いたことがある」

 

「な?周りに相談する癖も着けんと。一人で考え込んで仮説立てるもの大事やけどな?周りに頼って話すンも大事やで?」

 

 九条にそう言われてまた悪い癖が出てしまったと謝ると頭を撫でてきた。その後、全員で話し合い、取りあえずイザベルの話通りに1通り試してみる事に決まった。

 

 

 

 


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