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第54話【クラフト鉱山ダンジョン化(前編)】



  それぞれにポーションやマナポーションを渡してポーチに入れると、モーリアさんとロックスさんにあるお願い事をした。今から線を引く場所に簡易的な柵や土嚢をできる限り積み上げてほしいのと投石用の石と槍使いを配置してほしい事を頼み冒険者と騎士団を指示を出して貰った。

 

その間に俺達はクラフト鉱山の攻略についての会議だ。

 

「悪いけど最悪の予想が当たったわ。中にウガールがいるし、その周りにゴブリン・コボルト・オークが数百から数千匹確認した」

 

「いやいや!?う、嘘だろ!?あーしらそんな所に挑むのかよ!?」

 

「まぁ、そうなるな。後、このクラフト鉱山はダンジョン化しているみたいで、中で溢れたゴブリンやコボルトが外に出てきているみたいだ」

 

「なるほどね。私も中の魔物は殲滅したのに沸いてくる理由はそれなのね…」

 

 バレッタ達は信じられないといった表情で俺を見てくるが、イザベルは納得した様子だ。恐らくは上位種以外のゴブリンやコボルトが外に追い出されていて、そいつらが掘った穴を使って鉱山内と外に出てきているのだろう。

 

 ウガールは火の魔法に弱いがそれまでやることが2つある。先ずは周りにいる数百から数千匹のゴブリン・コボルト・オークの殲滅。そして、ウガールの装備を破壊する事だ。

 

 九条と調べた際にウガールが身に纏っている兜や鎧、大盾は魔族の力が宿っており、全ての魔法を打ち消す力があるとさせれている為、その装備を破壊する必要がある。

 

 ただ、ウガールの最大の特徴はタウキングに匹敵する巨体と片手で鉄の棍棒を振り回す力があることだ。


 戦力的に見ても上位種相手ならば俺と本城、九条で雑魚狩りをすれば良い。バレッタは大剣でイザベルは大太刀が武器なので狭い場所で振り回すのに向いてない。

 

 恐らくは集団で密集している広い場所が作られているので、そこで本城と九条と前衛と後衛を入れ替わって貰うつもりだ。フィーナとリリアンには獣人族特有の優れた聴覚を利用して壁からの不意打ちに警戒してほしい旨を伝えると頷いた。

 

 すると、モーリアさんとロックスさんがある程度の準備ができたと声を掛けてきた。メンバーを先ほど描いた線の枠に入って貰うと先ほどの説明をした。

 

 当然疑う者もいたが、どのみちここでゴブリンやコボルトとの戦闘は避けられない事を教える。

 

「取りあえず問題の場所に向かいます。先にゴブリンとコボルトを外に出しますので、その討伐はお願いしますね?」

 

「それは構わないが、一体何をする気なんだ…?」

 

 ロックスさんに訊ねられ、その場にしゃがみこんで両鎌の刃先を地面に突き刺して地面を下げる土魔法『グランド・フォール』を発動させて、元々の場所から5メートル程地面を下げた。

 

 クラフト鉱山の下に穴がいくつも空いており、突如としてゴブリンとコボルトが一斉に飛び出してきた。

 

「モーリアさん!ロックスさん!適当に倒して行くんで残りは上から槍と投石で対処して下さい!お前ら行くぞ!」

 

「桃華とフィーナ、リリアンはワタシの後ろから着いてこい。丈、梨沙、バレッタ、イザベルで立ち向かってるゴブリンとコボルトの殲滅でいいか?」

 

「エエ判断やね。ロートンさんに鍛えられとるわ!!」



 グランドは土と岩を操る力を持ち、ウイングは風と暴風を鎌に宿らせる事ができ、フィリーは調薬で製造した薬や毒物を刃先に宿らせる能力を持っている。

 妖怪・鎌鼬(カマイタチ)としての能力を魔力量無しで使用させてくれる子分達は大きな存在だ。

 

(にしても、ダークエルフのイザベルか。スゲェ強いな。これならエルドラにいっても他のパーティーからスカウトされてもおかしくないと思うが…)

 

 実際にイザベルは大太刀を見事に使いこなしてゴブリン達を纏めて一刀両断した。まだ本気を見せてないだろうし、ステータスで見た影魔法や空間魔法は訊いた事がない。

 

 すると、倒したゴブリン達の身体が地面に吸われていき、魔石だけが残った。九条に声を掛けてコボルトがどうなったか聴くと向こうも魔石だけが残ったという。

 

 推測が当たってしまったようだ。クラフト鉱山はダンジョン化してしまっていると全員に伝えると、九条とイザベル以外は首を傾げる。


 先ずは洞窟や建物等がダンジョンするには大きく別けて2つ。魔族が意図的に作り出した物と人工的にできてしまった物。今回の場合は後者に当たる。

 

 ダンジョン化は基本的に下から上に掛けて徐々に変化していく。本来ならば発見するのは稀な事だ。

 

「あーしら、ダンジョン攻略経験はないけどさ?そもそもそれって意味あるのか?」

 

「雑にいうと、人が来ることを想定してない魔物の拠点の状態だな。ダンジョンは冒険者、人間を誘き寄せる為に戦いやすい構造にして魔物と戦わせる。けど、このクラフト鉱山はそうなってないんだ。イザベルやバレッタみたいに長物の武器を扱う冒険者には色々と不便だろ?」

 

「んじゃ、どうするんだよ? 魔法も魔力尽きたら身体に負担くるし、丈と梨沙。フィーナしかまもとに戦えねぇじゃん?」

 

「正攻法での攻略はしない。完成されてないならそのままウガールの元に行ってダンジョンを奪い取った方が楽だ」

 

「えっ?ダンジョンを奪い取るってどうするの?」

 

 奪い取る方法はあるらしいが、実際に成功した実例は片手で数えられるほどだ。だが、条件が揃っており、前衛で高火力持ちのイザベルとバレッタ、火魔法が使えるリリアン。そして、斥候のフィーナがいれば、ウガール相手ににも戦える。何せ真の狙いはゴブリン・シャーマンであるからだ。 

 

 



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