閑話【新兵騎士団の合同遠征(守谷編)①】
西城玲香のパーティーから外れた守谷聡、藤原寛太、横山祐哉は3ケ国合同の長期遠征に旅立っていた。最初は隣国でも権力が強く魔物のレベルも高いエルドル王国近辺の魔物討伐であった。
「守谷!こっちにオーク5匹接近!他は混戦中だ!」
藤原寛太 (人間)18歳
・名前:フジハラ カンタ レベル18
職業クラス:斥候
固有スキル:神速
選択スキル:短剣術・支援魔法・身体増強・トレジャーボックス
筋力+550 敏捷+1048 体力+580
器用+842 知能+285 魔力+0
「わかった。横山と俺で対応する。横山行くぞ」
守谷聡(人間)18歳
・名前:モリヤ サトル レベル22
職業クラス:重騎士
固有スキル:重量武具軽減
選択スキル:盾技・棍棒技・筋力増強・回復魔法
筋力+1050 敏捷+48 体力+1080
器用+542 知能+285 魔力+200
「ウッス!任せて下さい」
横山祐哉(人間) 18歳
・名前:ヨコヤマ ユウヤ レベル17
職業クラス:戦士
固有スキル:怪力
選択スキル:斧技・解体・料理・体力強化
筋力+950 敏捷+18 体力+780
器用+542 知能+285 魔力+0
元々守谷とつるんでいた3人は西城という抑制が無くなったことで元の世界での連携を取り戻してきていた。
足の早い藤原が動きを把握して巨漢の俺と横山で対処する。
横山が大斧でオークを真っ二つに切り裂く中、重量級のヘヴィタワーシールドでオークの攻撃を防ぎ、ロングメイスを片手にオークの頭を叩き潰した。
この武器は佐藤 悠人から助言を受けて変えて貰った物だ。手に合い使い勝手も良く戦いやすかったが、パーティーリーダーである西城には他のパーティーの助言を受けていた俺が不服であったようだ。
ハッキリ言ってろくな指示も出せず、パーティーを機能させる事ができなかった西城を将として認める気になれなかった。それは藤原と横山も同じであり、どのみち勇者適正が高かろうが魔物にやられてしまえば、普通の冒険者だろうが勇者候補だろうが変わりはない。俺達はこの異世界で生き残る為に強くなる事が最優先事項であった。
西城と東条の派閥争いに巻き込まれてこちらまで被害を被る所であったが、パーティーメンバーを減らすというので俺達3人は是が非でも西城のパーティーから抜け出したかった為、騎士団の長期遠征への参加をダリウスさんに打診した。
ダリウスさんは騎士団長から近衛騎士団になった事で騎士団団長に空きが出来てしまったが、エルドル王国でレイドリス軍を率いている騎士団長が国に帰還する事が決まり、副団長がそのままレイドリス軍を指揮する事が決まっている。
こちらが片付いたので藤原にオークの回収と他の状況を確認しに行ってもらった。ひと息着くと横山が近づいて話しかけてきた。
「守谷さん、とりあえずはウチの部隊は全員無事ッス」
「まぁ、レイドリスの騎士が一番少ないからな…」
「騎士団自体人数が少ないみたいッスからね…」
魔王領土から来る魔族を相手にする騎士団が不人気なのは、農民出身で腕に自信がある者か貴族出身で家柄のためだったりする。今回はレベルが15以上の者が参加しているが、レイドリス王国は自分達を含めても10人だけでエルドル王国とソドリア王国の新兵50人とは規模が違う。
実際に一番レベルの高い俺達3人が隊長に任命されてしまう位だと国の兵力の差が伺えた。
辺りを見回っていた藤原が、慌てた様子で駆け寄ってきた。何があったのか訊ねるとソドリア王国とエルドル王国の騎士団がオークジェネラル2匹とオークおおよそ50体と交戦しており、押されているというのだ。
「どうするよ守谷?数も負けてるぜ?」
「…見捨てる訳にもいかねぇだろ?突撃してオークジェネラル2体をやる。その後は騎士達を盛り立てて一気に押し込む。藤原は先にいって各国の将に伝達を頼む」
「レイドリス王国の騎士団舐めんなッスよ!」
「お、オークジェネラルもいるのにたった10人で助けに向かうつもりですか!?」
俺らの次にレベルの高い年下の男の子にそう言われたが、オーク・ジェネラルさえやれば、後は指揮系統が崩れて逃げ出すだろう。あの時のようにオークキングがいるとすれば話は変わってくるが、そこはエルドル王国とソドリア王国と共同して倒せば良い。
◇◆◇
ソドリア王国とエルドル王国の新兵主体の騎士達は森から突如として現れたオークの軍勢に押されていた。新兵主体とはいえ数も互角であり、オークジェネラル2匹の存在が厄介であった。
エルドル王国新兵騎士団隊長であるルルシアは苦戦を強いられながらもオークに果敢に挑んでいた。
「エルドル王国の騎士達よ!私に続け!」
「リオノーラ様!ソドリア王国隊長のクエトル様がオークジェネラルに倒され、ソドリア軍が崩壊を…」
「裏手にもオーク出現!その数10…じゅ、・・・15匹です!」
頼みの綱であった隣国のソドリア王国の騎士団が崩れたことにより、ここから建て直すのは難しい。リオノーラは両手剣を握り締めて目の前のオークジェネラルに立ち向かおうとしたが、横からオークの攻撃を受けてその場にたおれてしまった。リオノーラは諦めたように空を見上げた。だが、藤原は素早く助け出して自軍まで引き下がった。
すると、オークジェネラルの後ろから雄叫びを上げながら突っ込んでくる重装歩兵の姿がリオノーラの目に入ってきたのだった。
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