第48話【イタチ達の名前】
ダンジョンを踏破した為宝物の間に移動すると、今までの比でないほどの金銀財宝が山のようにあった。流石に30階層のダンジョンなだけあって量が物凄い。
早速手分けしてトレジャーボックスにつめる作業をしても貰っている間に3匹の子分のイタチ達が名前をくれと首もとで騒ぐ。
取りあえず3匹の役割りごとに名前を着けてやるというと喜んだ。どうにも妖怪・鎌鼬は三匹のイタチの子分を従えた者を指すようで俺にその素質があったようだ。
相手を『転ばす役割りのイタチ』は土や岩を操る事が得意で地形なども見れば大体の位置が把握でき、ダンジョンなどの場所も分かるそうだ。ダンジョンの近くに行けば大方の階層の把握できる。
次に『切る役割りのイタチ』は風を斬撃に変えてどんな物でも切り裂いてしまう事ができる。風で大体の魔物の位置や数を判断できる為に索敵が得意。
最後に『治療する役割りのイタチ』は切りつけた相手を治す力を持っているが、時間が経てば傷口が開いてしまったり、毒を体内に埋め込んだりする事ができる。薬草や毒を見つける事と薬や毒になる魔物の体液を吸い出す事ができるらしい。
3匹の話を聴いていると、どうにも俺が獲得してきたスキルはほぼ妖怪・鎌鼬として必要なスキルばかりだったのだと気が付いた。
するとトレジャーボックスに金銀財宝を詰め込んだ3人も近くによってきて、3匹の特徴と名前をまだ決めてない事を話すと、一緒に考えてくれるというとイタチ達は不服そうにした。
『俺達は親分が!』『いいんだ!』『嫁は関係ない!』
「…いや、子分なら俺らの『子』でもあるから間違ってねぇだろ?少なくともイー、ター、チィーよりマシなの考えてくれると思うぞ?それでいいなら…」
『『『流石にそれはヤダッ!!!』』』
ネーミングセンスなど俺にはない。3匹のイタチだからそのまま伸ばした名を提案したが、3匹とも嫌だと騒ぎ始めた。
3人も流石に可愛そうだと色々と案を出してもらった。結果、転ばす役割りのイタチ改めグランド。切る役割りのイタチ改めウィング。治療する役割りのイタチ改めフィリーと決まった。
『僕、グランド!』『俺、ウィング!』『私、フィリー!』
自分の名前が決まり余程嬉しいのか首の周りで騒ぐ。
取りあえずはこのダンジョンの事も冒険者ギルドに報告しなきゃならないし、一度街に戻る事を提案したが3人は反対した。
理由はいくつかあるが、やはりレベルアップして自身も転生したいらしい。
アイギスの話では高城も九条もレベルアップすれば条件が満たされるらしいが、このダンジョンで得たレベルでは足りなかったということだろう。
魔法陣に乗り、ダンジョンを脱出すると前に温泉のあった場所に造った壁が視界に入ってきた。
元の場所に戻って一息着くと、グランドがここのダンジョン以外にもまだ三つダンジョンがあるというのだ。
だが、一つは絶対にいっちゃダメだと警告をする。強敵相手には無理して戦わない方がいいとウィングとフィリーにも念を押される。
「わかったわかった。取りあえずは残りの依頼を達成してついでに他の場所にもダンジョン無いか確認しにいくか。まだ朝になったばかりみたいだからな…」
「大体2日くらいはダンジョンにおったみたいやな…」
ダンジョンの中では外でどれだけ日数がたったのか分からない。少なくとも入ってきた時よりも日が高いところを見ると1日か2日は経っているだろう。
ホノル火山を下山して近くの断崖の草原で大量発生してしまったホーンブルの討伐をしたが、本城一人で充分であった。流石の九条もあそこまで強くなると羨ましいと口を尖らせる。
ホーンブルをトレジャーボックスに回収すると、それを横取りしようと湖から巨大なカエルの魔物が姿を現した。
だが、マグマタイタスやロックタイタス。溶岩バジリスクに比べるとかなり小さい。せいぜい2、3メートル程で九条がモーニングスターで頭を叩き潰して倒した。
この辺りはホノルの初心者向けである為か90センチほどの猪のクルボーやスライム、薬草などがかなり生えていた。少しだけ薬草を集めていると、辺りを見てきたグランドからこの辺りには5つほどダンジョンがあるが、俺達なら余裕で踏破できそうな物ぱかりだという。
後はタンザアの森のキラーマンティスの討伐である。
◇◆◇
タンザアの森は渓谷にある薄暗い森で、ゴブリンやオーク、コボルト、スライムの他に大型の昆虫系の魔物が生息している。
「あれがキラーマンティスやね。5メートルぐらいはありそうや。他にもチラホラ魔物いるなぁ~」
「取りあえず、あの辺り片付けてくるね!私らだけでも大丈夫そう!」
「桃華と梨沙に任せても大丈夫そうか?最悪ワタシが盾になれば防げるし…」
守護者になった本城の固有スキル【完全防御】は敵意ある者からの物理攻撃及び魔法攻撃を完全に防御するスキルである。
この辺りの魔物であれば護れるだろう。3人の戦闘を見守りつつ薬草を採集しているとグランドとウィングが森の奥の調査から帰ってきた。森の奥には絶対にいかない方がよいというのだ。
自分達よりも格上の大妖怪がダンジョンを作っていると警告をする。怯える2匹を宥めていると、キラーマンティス並びにその場にいた魔物をあらかた倒して終わったようで、高城が呼びに来てトレジャーボックスに魔物の死体を回収していく。
ホノルの冒険者ギルドからの依頼はこれで終わりであるため、街に帰還する事を提案すると3人とも賛成し、ホノルの街に向かって帰路に着いた。
すると、後ろから嫌な気配を感じて鎌を持ち、振り返ったが魔物の姿もなく気配も消えてしまった。首を傾げ気のせいだったと本城達の元に駆け寄った。
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