第38話【新しい家族】
ある程度屋敷の内部を把握したところで応接室に行き、ヴィクターに今のダイアラック王国の情勢を訊いたが余り良くはない。冒険者活動できないレベルまで落ち込んでしまった為に魔物の素材が不足してしまい、ダイアラック王国全体が不景気気味であるとため息をつく。
西にある鉱山も余り金銀が採れなくなっていて、冒険者ギルドの急ぎの依頼を早急に達成して欲しい事とニコラスとセリスに薬の調薬を教えてそれを売って欲しいというのだ。
「確かに冒険者家業やりながらだと調薬する時間とるのに睡眠時間を削ってたが…」
「夜に嫁さんほったらかしはダメだろう。三人もいるし、相手しねぇのは旦那の役割りを果たせてねぇぞ?」
「…それはいいとしてニコラスとセリスを俺が育てて良いのか?モーグル商会の薬師の育成とかあるんじゃ?」
「あー、結論から言えば、クサカくんが作る製品のが効果高いんだよ。同じ素材を使ってるんだけど何故かね?だから二人に技術を教えてくれたら、それだけウチの商会も儲かるって話なんだ。二人も仕事を見つけないと困るしね…」
なるほど。そういう理由か。ニコラスとセリスに近づきしゃがみこむと不安そうな顔をしていた。そっと手を触ると豆ができており薬師として頑張っていた証拠だろう。
責任を持って面倒を見ると二人の頭に手を置くと明るい表情になった。ヴィクターはモーグルから聞いていた大浴場の一件も耳しているが、ホットストーンが採れる場所に溶岩バジリスクが何故か集まり採取が難しいというのだ。
溶岩バジリスクは火山付近の高温な場所を好むので、わざわざ下山してくる事が無いため、ホノル火山でなにか起こっているが調査できるほどの高ランク冒険者や国の騎士団を派遣することも難しい事から俺達に期待しているという。
◇◆◇
ヴィクターが帰宅した後、暫く休むことにしたが、持っていたスライムゼリーとスキマ草、アワダチ草を棚に並べ、ニコラスとセリスにクリーンジェル、避妊ジェル、液体ソープの作り方の手順を教えると、二人ともすんなりと作れていた。
試しにポーションを作ってみるように言うと、それも簡単に作り出していた。試しに飲んでみたが、確かに俺のポーションと味が違う。
何度か二人がポーションを作るのを見ていて、ニコラスは乾燥させたスキマ草の量が多く、セリスは水の量が多い事に気が付いた。
どうしたものかと考えていると、見ていた九条がコップに線を引いた物と小さい小皿を持ってきてくれた。
俺自身は気づいていなかったが、大体この容器に入る位でポーションができていると言い、試しに九条がその容器で3本作り出すと確かに俺と同じ味がした。
二人も同じように作ってみて飲んでみると同じだったので間違いないだろう。
九条に礼をいうと微笑み、風呂の準備ができたから皆で入ろうと言い、俺の腕を掴みセリスとニコラスの背を押した。
「い、良いんですか?僕たちも。皆さん夫婦なんですよね?お邪魔じゃないですか?」
「子どもがそんな事気にしたらアカンよ?ウチらはまだ子ども作る予定ないしな~、二人もウチらの事はパパとママやと思ってエエで?」
「パパとママは死んじゃったから私は嬉しいな…」
「…この際混浴には突っ込まんが色々とやることは多そうだな」
本城と高城も既に大浴場の風呂につかっており、九条がセリスを俺がニコラスの身体を洗い、自分達も洗い終わると湯船につかった。久しぶりに湯船につかったがやはりいい。何よりも大人四人と子ども二人でも充分余裕がある広さだ。
それにしても、九条がニコラスとセリスに母親のように接しているのに対して本城と高城は姉のように接していた。緊張気味であったために良いかもしれない。
少なくともまだ幼く誰かに甘えたい年頃だろうし、俺達で面倒を見てやろう。
風呂から上がるとロートンとエレノアが食事の用意をしてくれており、久しぶりの米とハンバーグであった。
九条はセリスを面倒見ながら食べていたが、子ども好きな一面を見れた。高城も本城もいいお姉ちゃんをしている。
◇◆◇
夕食を終えてニコラスとセリスは部屋に戻ってしまった。流石に一緒に寝るのは申し訳ないと断られてしまったのだ。
部屋の豪華なソファーに腰掛けて一息着くと九条がお疲れ様と水の入ったコップを渡してくれた。口に含み、飲み込むと隣に座った。
「梨沙って子ども好きなんだな。桃華と綾香もお姉ちゃんしてたし…」
「まぁ、それもあるけどなぁ~丈くんが家族知らんから家族『ごっこ』に近いけどな。まだ…な?」
「いつかは家族になるんだし、良いじゃねぇか?楽しいしよ!」
「明日は朝にバーグさんのところに行かないと行けないから軽めに…ね?」
そういって服を脱ぎはじめて軽めにすると、気が付けば翌朝になっていた。
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