第21話【大魔導士・マリアス】
ゴーレムを倒した高城は銃口にふぅと息を吹き掛けてカウボーイハットを深く被り勝利のポーズを決めた。
本城と九条が駆け寄ってくるとその間に変身魔法が解けてしまった。やはり魔法少女だけあって必要魔力も桁違いだったようだ。
本城が抱き締めて九条が頭を撫でると、自慢げに笑みを見せてくる。やはり高城は何かをもっているようだ。
本城から離れて俺とハイタッチをしようと両手を上げてきた為に構えたがピタッと止まった。
どうしたのかと思い、声を掛けたら内股になり漏れそうと言い始めたのだ。無理もない。
マナポーションを何本も飲んだのだ。膀胱が限界に到達しても不思議な話ではない。
慌てて石柱の影にお姫様抱っこをして運び、九条達の元に戻ってきた。
「流石にあれはもう使えないだろう?ゴーレムの動きが決まってたからできた事だし…」
「けど、折角魔法少女に成れたのに可哀想じゃねぇか?」
「せやけどなぁ。漏らすまでマナポーション飲まし続けるのは不味いやろ?最悪、敵倒した瞬間に漏らす可能性あるで?」
「桃華に変な性癖ができるのはワタシもヤダなぁ~…」
勝利のポーズで失禁する魔法少女など高城も絶対に嫌だろう。岩柱から出てきた高城の手を水筒の水で洗い流してタオルを渡す。
高城に先ほどの話をすると、流石に失禁魔法少女はイヤと内股になり、首を横に振り手でバツ印をした。
また対策を考えようなと頭を撫でてゴーレム討伐した事を褒めた。後はここにあるという『勇者のつるぎ』の回収をして依頼は完了だ。
ゴーレムが守護していた場所に近づくと、眼鏡を掛けた男の霊が姿を現した。廃教会ダンジョンのモルツと同じ現象だ。
「もしかして大魔導士・マリアス…?」
『おお、僕の事を知っているのかい?いや、弟子達が残した本で知った感じだね?君達はこの世界の住人じゃない異世界人だろう?』
「そうです。俺達はレイドリス王国に召喚された異世界人です。魔王討伐の為に呼ばれました」
『やっぱりかぁ~召喚魔法自体がリスクあるし、魔王は今の領土の管理だけでも大変なのに…』
マリアスは気さくな性格で魔王領土に入った時の事を教えてくれた。マリアス達のパーティーは確かに魔王討伐の為に領土に入り冒険をしたがそこに住む魔族達は全員が悪い魔族ではなかったというのだ。
実際に領土に来ている魔物は獣程度の知性しかない魔物ばかりで魔王の指示に従わない野生動物のようだ。
それを魔王の指示だと人間側が勝手に思い込んでいるだけだというのだ。
実際に魔王を倒す勇者のつるぎはこのマリアスの迷宮にあるがそれだけではダメだというのだ。
【勇者の試練】というダンジョンを見つけてそこを踏破して真の勇者として女神に祝福して貰わなければならないが、その場所が何処にあるのかはマリアスも知らない。
どのみち魔王を倒すと人間側にもデメリットがあり、ダンジョンが生み出す財宝が無くなってしまい国同士の戦争が始まる原因にもなってしまう為に魔王討伐は現実的ではないと話す。
「元の世界に帰れる方法は存在するのでしょうか?」
『うーん。僕が知る限りだとないよ?ただ君に取っては悪い話ではないと思うけどね?記憶を見せてもらったけどこっちは一夫多妻制か一妻多夫制の国だよ?』
「そういう問題じゃありませんよ。戻れるなら元の世界に戻してやりたい。俺とは違って元の世界に家族がいるんですから」
『なるほどねぇ。う~ん。協力して上げたいけどこればかりはね。ただ、そこの魔法使いの女の子の願い事は叶えて上げられるよ?はい、ステータス見てごらん?』
マリアスは高城に向かって指をパチンッと鳴らすとステータスを見るように言ってきた。
高城 桃華
・名前:タカジョウ モモカ レベル36
職業クラス:魔法少女
固有スキル:魔力軽減
選択スキル:変身魔法・支援魔法・変身強化・魔力増強
筋力+420 敏捷+460 体力+480
器用+285 知能+10 魔力+700
高城の職業が魔法使いから魔法少女に代わり、選択スキルに変身強化と魔力増強が加わった。
先ほど使った銃は風モチーフし、トランプは火、槍は水、そして土は槌と4属性をそれぞれ武器に特別な魔力を流し込んだ物をプレゼントしてくれた。
そして、職業を魔法少女として戦えるように調整してくれたのだ。
高城は大はしゃぎでマリアスにお礼をいうとマリアスは微笑んだ。
マリアスは九条にも魔力強化と魔力増強のスキルを与えたといい九条のステータスを確認させる。
九条 梨沙
・名前:クジョウ リサ レベル39
職業クラス:僧侶
固有スキル:破戒僧
選択スキル:全回復魔法・聖魔法・魔力強化・魔力増強
筋力+10 敏捷+5 体力+360
器用+250 知能+300 魔力+700
九条はもう40レベル近い。そろそろレベルアップするのが難しくなってきた所での高火力持ちの高城が戦力になるのは心強い。
マリアスは奥の宝物の間に『勇者のつるぎ』があると言い案内をしてくれた。
すると、マリアスはレイドリス王国の王族に誰か会ったかと聴かれマルシェ王女しか出会った事がない事を伝えると少し悩んだ顔をしていた。その理由は宝物の間についてからゆっくりと話された。
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