第02話【三姫との邂逅】
こちらの世界に来た時に付けられたのであろうか。左手首には宝玉が4つ着いているブレスレットが装備されてた。
どうにもこれで個人の『ステータス』というものが確認する事ができるというのだ。そこには個人の職業とレベル、スキル、ステータス、ランクが記載されている。ランクは各個人の能力ごとにAからEまで判定されて別れているというのだ。
神官が個人のステータスと職業を確認してステータスごとにクラスメイト達を選別し、ランクと職業にあった武具を手渡されていた。
草加 丈
・名前:クサカ ジョウ レベル1
職業クラス:鎌使い
固有スキル:武器成長
選択スキル:
筋力+32 敏捷+70 体力+50
器用+50 知能+55 魔力+30
(鎌って大鎌じゃなくて草刈り鎌かよ。これで魔物倒せるのか…?一応は武器判定なんだよな?)
ステータスを測られて渡されたのは二本の草刈り鎌であった。戦闘能力や突出した才もない為にEランク。
当然といえば当然である。魔王を倒す為に選ばれた勇者ならばA~Cランクに大多数の人数が纏まっていても何ら不思議ではない。
一番驚いた事は自分よりも1つ上のDランクに学年の三姫がいた事だ。
ランク分けされると、マルシェ王女からはレベルを上げて職業を磨き上げてスキルを揃える事と魔物を倒して依頼金や経験値を貯めて魔王討伐に力をいれて欲しいと王女らしい笑みを見せてきた。
(その前に鎌使いって職業的に何やればいいんだ…?)
渡された唯一の武器である二つの草刈り鎌を見つめたが攻撃手段として思い付くのはカマキリのように獲物に刃先を突き刺すぐらいしかできなさそうだ。漫画やゲームみたいに鎌をブーメランのように投げて扱ったり斬りつける事ができるかは訓練次第かレベルを上げてみない事にはわからない。
Eランクは俺1人だけでDランクと合同で鍛えるそうだ。Dランク以下の者は勇者の素質として期待が出来ないようで王国内で鍛えてもらえる訳でないようで『冒険者ギルド』で個人的に鍛える事になるらしい。
「1個だけ教えて欲しいんだが、Aクラスのステータスってどんなもんだ?」
「ステータス値が3桁以上の者だな。お前らは2桁や1桁があるからな。レベルアップしても格差が着くだろう」
自分のステータスを確認し直すと確かに3桁を越えているステータス値はない。
質より量って感じなのだろうか。取りあえずは早く冒険者ギルドに向かってある程度の情報収集をして判断材料を得た方が良いだろうなと思い教えてくれた神官にお礼をいう。そして、ウチのクラスの『三姫』の元に行くと他のクラスメイト達が睨み付けてきた。まぁすぐに兵士達に連れて行かれてしまって俺達は神殿っぽい場所から出された。
クラスメイト達から睨まれても別にこの三姫と仲良くする予定は今のところはないが俺の存在に気づいた九条梨沙が声を掛けてきた。清楚な見た目に合う僧侶らしい格好をしていたが、武器しか貰えなかった俺とは違い、防具もちゃんと支給されていたようだ。
「あー、草加くんやろ?席近かったで良く覚えとるで?」
「まぁ、ほとんど学校に来てなかったしなぁ。これても午後からとか多かったからな…」
どうにも兵士から冒険者ギルドまでの地図を渡されたが土地勘がない為に困っていたようだ。地図を見せて貰うと簡易的に書かれていたが、何と無くは理解できる。
すると、三姫の1人本城綾香が絡んできた。胸当ての革鎧を着用しており戦士のようだ。
「アタシと桃華の事は知ってるよな?」
「そりゃ、有名な三姫だから知ってる」
「お前、異世界に来たからってその、へ、変な気は起こすなよ!!?」
「…そんな余裕はないだろう?現実主義だからこっちの世界でも身丈にあった生活ができれば良い。俺から見たら三人とも高嶺の花だしな…」
側にいるだけでもクラスメイトから妬みを買いそうで面倒くさいし、状況が状況なだけに余計なことを増やすメリットはない。教会から出てクラスメイトや他の兵士達から暫く離れた所で九条が隣に来て再び声を掛けてきた。用事の議題はあの王女の言っていることが正しいのかどうかであった。
「ウチは個人的に何か嫌な感じがしたんよ。草加くんはどう思っとるん?」
「…わからないが今の答えかな?判断材料が少なすぎる。けど、あの王女様は嘘をついてるとは思ってるがな」
「あん?何でそう思うんだよ?梨沙もだけど、魔王を倒せば返してくれるって言ってたじゃねぇか?」
「そうだよ?困ってて助けて欲しかったって言ってたじゃんか?」
この2人は人が良すぎるだろうか。それとも本当にあの王女様の言葉を理解しているのかわからない。
面倒だなとため息を吐く。それに本城は激怒するが高城が止めてくれた。九条は何と無くは理解できる為か何も言わないが緊張しているのはわかる。少なくとも冒険者ギルドに送られた理由を少し考えればわかると思うのだが。
「…俺達はこの世界で生き残る為に魔物を倒さなきゃならない状況なんだ。俺達はレベルアップ前に魔物に殺される可能性があるんだよ」
「だから、死なねぇ為に冒険者ギルドで鍛えて貰うワケだろ?」
「他の連中が城の中での訓練で済むのに、俺達だけ冒険者ギルドって事は訓練よりも実戦積んで使えるようになれって事かも知れないぞ?」
「ウチも同意見やわ。ランクが低いだけでウチらだけ冒険者ギルドで鍛えて貰うのは何か変やろ?」
九条は何と無くは理解できる為か何も言わないが緊張しているのはわかる。少なくとも冒険者ギルドに送られた理由を少し考えればわかる。
どうにも本城と高城は余り頭が良い方ではないらしい。一方で九条が仲の良い二人に相談せずに顔馴染みでない俺に相談する辺りを踏まえるとそうなのだろう。
勇者の適正が低い俺達を国で鍛えるよう冒険者として魔物と戦わせて魔物に処分させるつもりなのだろう。
再びため息をついて今、手元にこちらの世界の金を持っていない為に食うためには稼ぐしかない状態だ。つまりは冒険者ギルドで依頼を受けて自分の食う飯ぐらいは稼いでこいという意味だとある建物を指差す。盾のシンボルに剣が突き刺さったような旗がある建物こそ目当ての冒険者ギルドであった。
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