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第19話【マリアスの迷宮(中編)】



 高城の魔法は一般的に獲得できるスキルとは性質が違うようでイメージした魔法をそのまま再現できるようだ。

 

 ただ一つ言えるのは罠だと言っているのに押しまくるのは辞めて欲しい。

 

「だあぁああー!!岩が転がってきたぞ!?丈、急げ!!」

 

 「丈くんここが頑張りどころやで~?」

 

 「良いからこっち!この角まで走って!早く早く!!」

 

「ふざけんなぁ!!俺は梨沙と綾香を抱えてんだぞ!?」

 

 敏捷性が低い二人を両肩に抱えて通路を塞ぐ大きさの大岩から逃げていた。一番敏捷性と力のある高城は先行して俺達を誘導する。

 

  声がする方を見ると曲がり角があり、強引にブレーキを掛けて飛び込んだ。

 

  息を切らして床に顔を押し付けると後ろの方で大岩が壁に激突する衝撃音が鳴り響いた。

 

 走り疲れて床にへばり着くようにしていると、後頭部を叩かれ、頭を上げると高城がしゃがみこんで手を離した方がいいといってきた。

 

 どういう意味か理解できなかったが、固い床にしては掌が片方が柔らかくもう片方は革のような感触がした。

 

 まさかと思い、上半身を少し浮かせると本城と九条が色っぽい声を出した。慌てて飛び上がり土下座(しゃざい)した。

 

 さっき飛び込んだ際に二人の後頭部が当たらないよう手を回していたが、起き上がろうとして手を移動させた際に二人の片胸を揉む形になってしまったのだろう。

 

 二人は起き上がると俺に怒るのでなく一人で先行していってしまった高城の頬を二人で引っ張っていた。

 

 九条はともかく本城は怒ってビンタぐらいすると思っていたのだが…。


二人は高城の頬をつねりながら片手で胸を抑えていた。

 

「いや、流石にあの状況は仕方ねぇだろう?なぁ、梨沙?」

 

「せやね。それにウチは丈くん好きやしええよ?けどウチら置いて先にいったのは許せんなぁ~」

 

「二人とも俺が悪かったんだからそれくらいで許してやってくれよ? 桃華が先行してくれなかったら逃げ場も分からなかったワケだし…」

 

「そーだよ。それに異世界で結婚するなら三人で丈くんにしようねって話してたし良いじゃんか!丈くんのチ…」

 

 高城が余計な事を言いそうになった為に二人が口を塞いだ。それは男として嬉しい事なのだろうが自身が結婚して幸せな家庭を持っている姿が想像できない。

 

 言い合っている三人を置いて大岩が激突した場所を確認すると新たに通路が出来てきた。隠し通路というヤツなのだろうが大魔導士マリアスの性格の悪さがわかる。

 

  三人に呼び掛けて隠し通路があったことを伝えるとこちらにやってきた。

 

 ◇◆◇

 

 隠し通路の先は暗く青白い石が幻想的に輝いていた。前方を注意しながら本城と進んでいくと廃教会ダンジョンと同じように豪華な装飾がされた巨大な扉があったのだ。

 

 高城に変身魔法でチアリーダーになって貰い顔を見合わせて扉を押し開ける。

 

  内部は神殿のような造りになっており中は不思議な光が照らされているおかげでかなり明るい。

 

 中央には身体が岩石に覆われ、頭部が天井に擦れるほどの巨躯でゴリラのような姿をした大型のゴーレム。

 

 このゴーレムはマリアスの迷宮のダンジョンボスだろう。

 

 俺達に反応すると、顔部分の岩石の隙間から人魂の様な青白い光を覗かせてこちらに向けてきた。

 

 つい最近まで苦戦していたデュラハンや森の強者・バースト・ボアよりも明らかに強い魔物だ。

 

「ね、ねぇ!こんな大きなヤツと戦ったことないけど大丈夫なの!?」

 

「倒すしか生き残る術はない。綾香は無理に大盾を使うなよ? あの岩石の拳で何発も殴れたら流石に盾が壊れる可能性がある」

 

「分かった。けど、ワタシはどうしたらいいんだ?」

 

「ウチと丈くんで弱点を見つけるんや。多分、このゴーレムに勝つには桃華の変身魔法が鍵になると思うわ」


 マリアスの迷宮を攻略できたのは高城の変身魔法のおかげである。ならば、このゴーレムも高城の変身魔法が勝利の鍵になるだろう。

 

 ポーションやマナポーションの入ったポーチを高城に預け、本城には高城を守って欲しいと頼み、ゴーレムに攻撃を仕掛けた。

 

 ゴーレムの動きは緩慢だった。岩石でできたゴリラのような逞しい腕を足場に掛け登り、頭の部分の鎌先を突き刺した。

 

 レベルも上がり魔物を倒すことで武器の強度が上がる武器成長の固有スキルのおかげで鎌が壊れる事はない。

 

(ただの岩石の塊じゃねぇな。鎌先が通らねぇ…)

 

 突き刺した筈が弾かれてしまい、肩を足場に斬り着けるが岩石に少し割れ目が入っただけであった。

 

 九条はモーニングスターの鉄球の大きさを自在に操る事ができるようになった為に遠心力を使いゴーレムの腕の破壊を試みた。

 

 破壊僧の固有スキルに適したユニーク装備の攻撃。

 

 これならば、流石に岩石に覆われていても崩れてしまった。

 

 だが、破壊され粉々になった石片がカタカタと動き始めて元の場所に戻り修復してしまったのだ。

 

 九条も驚いた表情でゴーレムを見つめるとゴーレムはゆっくりと巨大な腕を上に上げ始めた。

 

 何をするつもりだと警戒すると、握った岩石の拳で床を叩きつけて衝撃波を当たり一面に放った。

 

  九条はモーニングスターの鉄球を巨大化させて床にめり込ませて衝撃に防ぐ。本城も大盾で高城を護った。

 

 だが、ゴーレムが床を叩きつけたのは衝撃波を起こすだけではなく部屋の天井を崩して瓦礫の雨を降らせてきた。

 

 


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